最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、ロッキード事件のうち、全日空ルートの被告人若狹に対する上告審判決である。ロッキード事件は、三ルート(丸紅ルート、全日空ルート、児玉・小佐野ルート)に分かれて審理されたが、全日空ルートの関係では、社長であった被告人ほか全日空の関係者五名が議院証言法違反ないし外為法違反...
《解 説》
一 本判決は、いわゆるリクルート事件労働省ルートの収賄側被告人である元労働事務次官に対する判決である。本判決で認定された犯罪事実は、「労働事務次官であった被告人が、労働省職業安定局長であった当時、就職情報誌の発行等に対して職業安定法を改正して法規制をする等の問題に関し、株式会社...
《解 説》
本件は、産婦人科医院において昭和五〇年一一月一五日に未熟児として出生した直後から保育器内で酸素の投与を受けた結果、未熟児網膜症に罹患して失明した子と両親が、養育医療にたずさわった同医院の医師二名に対して損害賠償を求めた事案である。原告は、医師の責任原因として、①早産を招いた母体...
《解 説》
一 本件の概要
A夫妻は、本件建物(貸ビル、六階建)を土地賃借権付で購入・所有していたところ、土地所有者がY(不動産業者)に本件土地を売却し、Yは賃貸人の地位を承継した。A夫妻は、その後、本件建物の四階の一室を娘夫婦であるB夫妻に賃貸し、また、弁護士X(東京弁護士会所属、懲戒...
《解 説》
本件は、日蓮正宗の内部において創価学会を巡る教義、信仰や宗教活動に関する対立が生じ、同宗が、いわゆる正信覚醒運動を進める僧侶を、僧藉〓奪処分である擯斥処分に付したことによる一連の事件のひとつである。被控訴人ら(同宗に包括される宗教法人)は、右処分によって控訴人らが僧侶の地位を喪...
《解 説》
一 本件は免職等の懲戒処分を受けた元自衛官たる原告が、右処分の取消を求めたものであるが、本判決は、右訴えが行政事件訴訟法一四条一項所定の出訴期間を徒過した不適法な訴えであるとして、これを却下したものである。
二 自衛隊法四八条の二は、自衛隊員に対する免職等の処分について審査請...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年八月当時、大分県大野町立西部小学校のPTAの役員であったが、同校校長から依頼されて校庭の楠の大木の樹上で枝うち作業に従事中、切断した枝の別れ枝の接触により地上に転落して重傷を負った。
そこで、Xは、Xに対し高所での危険な作業を依頼した校長等に過失があったと...
《解 説》
一 X1は、京都市内の宅地建物取引業者であり、X2は、右業者の従業員であるが、昭和六〇年六月、京都市内の店舗等の賃貸の媒介に関し、入居者から保証金・権利金名下に数百万円を騙取するなどしたとして詐欺及び宅地建物取引業法違反の嫌疑を受け、X2は、同月二六日逮捕され、勾留の後宅地建物...
《解 説》
一 事案の概要
1 原告は、第二東京弁護士会に所属する弁護士で、本件被疑者Aに係る窃盗被疑事件の弁護人であった者(本件接見拒否当時は「弁護人となろうとする者」)であり、訴外Pは、浦和地方検察庁検察官検事であり、Aの捜査及び勾留の職務を遂行していた者である。
2 Aは、昭和六...
《解 説》
甲市とY2らは、昭和五九年五月一五日、甲市所有の本件土地七八二五平方メートルとY2ら所有のY2らが宅地造成中の区域内の土地二万二六一八平方メートルを宅地造成したうえ交換するとの協定を締結し、その旨の協定書覚書を取り交わした。これに基づき、Y2らは現在本件土地を占有し、また、平成...
《解 説》
一 Xは、東京都内で書籍、雑誌の販売を業とする会社であるが、Xの正社員及びパートタイマーをもって結成された労働組合であるY1は、昭和五三年の賃上げ等の春闘要求の実現を目指して、同年四月から翌五四年四月にかけてストライキを実施した際、書店前で違法なピケッティングを行ったために書店...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年八月、自宅として神奈川県海老名市所在の建物を購入し、以後家族とともに居住していたが、昭和六二年一月、福岡県にある関連会社へ出向することになったため、Yに対し、右建物を期間を定めて賃貸し、その後期間を二年として更新した。
ところが、Xは、平成二年に福岡から神...
《解 説》
Xら八名は、神奈川県逗子市内にある池子の森と称する在日米軍弾薬貯蔵施設内の土地の所有名義人であるが、右施設を提供している国Yを相手に各土地の所有権の確認、明渡し及び賃料相当の損害金の支払を求めて本訴を提起した。これに対しYは、本件各土地は旧海軍が昭和一三年から同一八年にかけて弾...
《解 説》
国会議員Xは、脱税で摘発された会社経営者に対し、自らの出捐なしに秘書名義で株式を購入するよう依頼し、その後、株式の売却益一二〇〇万円を受け取った等の内容の新聞報道が名誉毀損に当たるとして、右記事を配信したY1社及びこれを掲載した新聞社Y2ら三六社に対し、謝罪広告等を求めて出訴し...
《解 説》
一 Xは、Y1社の社員であり、同社の有する工場内で同僚のAと向かい合ってコンテナの運搬作業をしていたところ、近くで作業をしていた同僚Bが不用意に押したコンベア上のカットコアに接触するなどしてバランスを失い、コンテナを支えきれずに手を離し、コンテナの片側を床面に落とした。Xは、右...
《解 説》
一 Aは、分娩予定日を昭和六三年三月二五日とする三一歳の初産婦であったが、同年一月八日からYの開設する医院で受診していた。Aの血圧は、昭和六二年八月二四日には最高一〇六、最低七六であったが、昭和六三年二月二日には最高一四三、最低七八となり、三月一四日には最高一六九、最低九九、さ...
《解 説》
一 Y会社は、電気工事の設計及び施工、電気機器の販売等を目的とする株式会社であるが、昭和六一年七月一〇日、臨時株主総会を開催し、任期満了により退任した役員の後任として、取締役三名、監査役一名を選任する旨の決議をした。
しかし、Y会社の株主であるX1(九七九二株保有)とX2(六...
《解 説》
本件は、女子高校生を読者層として発行されている月刊漫画雑誌の題号「別冊フレンド」が、商標登録のための具体的登録要件(登録阻却要件の有無)をみたすかどうかが争われた事案で、日刊紙上の話題ともなった。
特許庁は、本願商標「別冊フレンド」からは、自他識別標識の機能を持たない「別冊」...
《解 説》
一 原告らは、主位的に、被告らの製造販売する患者用移動介助装置が、原告らの共有する本件実用新案権を侵害するものであるとして、右被告装置の製造販売の差止め、損害賠償及び謝罪広告の掲載を求め、予備的に、原告製品の形態が不正競争防止法一条一項一号の周知商品表示であることを前提に、被告...
《解 説》
一 Xは、訴外Aから、四階建旅館(本件増築前の建物)を買受け、その後右建物に接して増築(本件増築部分)したが、本件増築前の建物について、訴外BからCに所有権移転登記がなされたうえ、本件増築前の建物から本件増築後の建物へと建物表示登記の変更登記がなされているため、本件増築部分につ...
《解 説》
本決定は、不動産の競売事件において、最低売却価額が低廉に過ぎるとして、売却許可決定に対する執行抗告がなされたのに対し、これを棄却したものである。
注目すべき点は、「民事執行法による不動産の売却は、目的物件の所有に対する事実上法律上の障害を解消させたうえで行うものとはされていな...
《解 説》
一1 本決定は、競売建物の占有者を相手方として、建物退去を命ずる売却のための保全処分(①事件)及び執行官保管を命ずる売却のための保全処分(②事件)が認められた事例である。
2 本件建物は、不動産業者である債務者兼所有者会社の所有する、分譲用の高級一戸建新築住宅六棟のうちの一...
《解 説》
一 Y株式会社は、Aが個人で経営していた家具販売店が法人成りして設立された同族会社であり、その資金繰りに窮したときは、Aやその長男のB、次男のXら一族で資金を提供して切り抜けてきた。そして、それらの資金提供はYの帳簿上借入金等の負債として計上されていた。その後、BはAに替わりY...
《解 説》
本件は、競馬にふけり、サラ金業者に多額の負債を生じた被告人が、自己破産の申立てをし、破産宣告決定を得て免責の申立てをしたところ、委任した弁護士から、免責決定が得られないおそれのあることを告げられ、思い悩むうち、たまたま目にした週刊誌の記事から、暴力団員を装い開業医から金員を脅し...
《解 説》
本件は、著名な俳優である被告人が、布袋に入れた麻薬(塩酸コカイン)約一グラムと大麻約九グラム(以下、「本件薬物」と総称する。)を着衣内に隠し持って、羽田発ホノルル行きの航空機に搭乗し、羽田空港を出発して、本件薬物を輸出したとして起訴された事案である。
公判において、被告人は、...
《解 説》
本件は、昭和五九年制定の東京都条例「東京都公文書の開示等に関する条例」に基づき、法人格のない団体である原告が、被告東京都知事に対し、東京都知事の交際費に関する支出命令書、現金出納簿等の書面の開示を請求したのに対し、被告が、支出命令書のみを認め、その他の書面は開示しなかったため、...