最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、殺人罪の共謀共同正犯者中、直接実行行為に出た者については過剰防衛の成立が認められたが、共謀者である被告人については過剰防衛の成立が認められなかったという事案である。
本件の事実関係については、本決定がその理由中において、控訴審判決(東高刑時報四一巻五~八号五〇頁、...
《解 説》
一 本件は、信号機柱、電柱、道路案内標識柱に順次ビラをはったという事案で、これが軽犯罪法違反の包括一罪を構成するとともに、信号機柱と道路案内標識柱に対するビラはりが同時に大阪府屋外広告物条例違反の包括一罪を構成するとされたものである。時間的場所的に接続した行為であって、右のとお...
《解 説》
Xらは本件土地区画整理事業の施行地内の土地所有者である。YがXら所有の従前地につき仮換地をした後、事業区域内の全路線価図の閲覧を請求したがYが拒否したので、仮換地及び閲覧拒否の取り消し並びに全路線価図を閲覧させる(義務付け)訴訟を提起した。
本判決は、路線価図の閲覧を求める訴...
《解 説》
Xは市街化区域内に農地を取得し、農地転用届をしたうえ、同地上に木造瓦葺二階建居宅を建築するため、Y建築主事に建築確認の申請をしたところ、Yは、都市計画法二九条の開発許可権者(県知事から土木事務所長に委任されている)の判断により開発許可が必要であるとされており、その適合証明書が添...
《解 説》
東京拘置所長Yは、死刑判決確定者として処遇されているXから外部交通(面会又は信書の発受)の相手方として申出のあったZら外一三一名につき、外部交通の相手方としては適当でない旨の告知をした。そこでXは、右告知が外部交通の不許可処分であるとして行政処分取消請求訴訟を提起し、Zらは、X...
《解 説》
昭和五三年六月一二日夕刻、金華山沖の東方約六〇キロメートルを震央とするマグニチュード七・四の宮城県沖地震が同県一帯を襲い、死者二七名、負傷者一万〇九六二名、住家全壊一三七七戸、同半壊六一二三戸、被害総額二六八七億円という大規模な被害を及ぼした。Xら一四名は、仙台市緑ケ丘地区に不...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年四月当時、千葉県松戸市内の中学校の特殊学級に在籍していた者であるが、同月一二日、校外学習として実施されたフィールドアスレチックに参加し、「高台のぼり」と呼ばれる遊具に登ったのち丸太を伝って降りようとした際、バランスを失って地上に落下し、脊髄損傷の傷害を負っ...
《解 説》
一 X1~X11はY会社(JR東日本)の従業員であるが、運転所事務室に無断で立ち入り、退去通告に従わなかったこと等(以下「本件行為」という。)を理由に、X2は訓告、その余のXらは厳重注意の各処分(以下「本件処分」という。)をY会社から受けた。
Xらは、Xら全員について本件処分...
《解 説》
本件は、郵便局の「職場ヘルパー」として一一年余にわたり郵便外務員の身だしなみの世話などの業務に従事していたXが、Y(国)に対し、非常勤職員としての地位の確認などを求めた事件の控訴審判決である(なお、一審判決については、労判五三五号三三頁参照)。
郵政省では、郵便外務員の定着化...
《解 説》
一 本件は仮処分申立却下決定に対する即時抗告事件であるが、建築基準法四二条二項として見做し位置指定されている私道上の塀の撤去請求をめぐる仮処分紛争であるが、旧建物解体・新建物建築施行の自動車利用を目的とする通行自由権に基づく塀撤去申立が否定された原仮処分申立て却下決定が維持され...
《解 説》
一 本件は、都市銀行系列の住宅融資会社X会社(原告・控訴人)から借主Y(被告・被控訴人)及び連帯保証人Z社(被告・被控訴人)に対する住宅ローン貸付金及び連帯保証責任に基づく金銭請求訴訟である(被告等補助参加人甲・乙社は連帯保証人Z社のための物上保証人)が、この住宅販売等に関連し...
《解 説》
本件は、京都地判平3・4・23本誌七六〇号二八四頁の控訴審判決である。
Xは、Y1の強制執行が不法行為に当たるとして損害賠償請求訴訟を提起して、勝訴し(判決確定、債務名義①)、一部弁済を受けた。ところが、Y1は、弁護士Y2を訴訟代理人として、右債務の残部とABのXに対する事前...
《解 説》
一 X1は、平安学園の理事であるとともに平安高校の校長であり、X2は、平安高校の事務局長兼理事であった。また、Yは、平安高校の在学生の父親であり、浄土宗本願寺派の住職である。
平安高校は、かねてから竜谷大学の推薦入学指定校であったが、昭和六〇年三月、平安高校の教師が生徒の学習...
《解 説》
Xは、平元・12・3号のサンデー毎日(Y1発行、Y2編集長)の記載中で前科があることを掲載され、プライバシーを侵害されたと主張して、Y1Y2に対して、慰謝料と「判決の結論の広告」を求めた。最大の争点は、前科の掲載の違法性の有無であった。
本判決は、要旨次のとおり判示して、請求...
《解 説》
Y2は、Xと婚姻したものの二か月余りで別居するに至り、慰謝料及び財産分与請求権を保全するために、代理人弁護士Y1がY2に代わって銀行と支払保証委託契約を締結する方法で合計一一〇万円の担保を立てて、X所有建物、預金を仮差押えした上、離婚、慰謝料六〇〇万円、財産分与一二〇〇万円を求...
《解 説》
一 本件は、「事案の概要」欄にも記載されている通り、麻酔薬テトカインに関する薬害訴訟である。
昭和六二年六月、当時一五才であったAはB病院において、脊椎麻酔による虫垂炎の手術を受けたが、手術終了直後から呼吸困難、低血圧、不整脈を生じて死亡した。Aの相続人であるX1、X2(両親...
《解 説》
一 本件は、離婚した前妻Aを登山ナイフや牛刀で刺して殺害したYに対し、Aの父と母と兄が不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。主要な争点は、(1)Aの兄に固有の慰謝料請求権があるか、(2)Aの父が捜査協力や刑事裁判傍聴のために上京するのに要した旅費、宿泊費等の費用は、本件...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年七月当時、桶川市立日出谷小学校六年に在学していたが、同月一日、学級会の授業としてのソフトボールの試合に参加し、審判をしていたところ、打者のファウルチップのボールが左眼に当たり、外傷性虹彩炎と診断されて治療を受けていたが、同年八月、網膜剥離が発症して失明するに...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
Tは、大正時代に日本に移住し約六〇年間にわたって日本に居住していたソ連国籍のロシア人であるが、いったん自己の所有する土地建物(本件不動産)をソ連(X)に遺贈する旨の遺言(第一の遺言)をした。しかし、その後、Tは、晩年病気治療をしてもらった...
《解 説》
一 本判決は、米軍の家族住宅建設をめぐるいわゆる池子訴訟の控訴審判決であり、その事案の概要は、右建設の事業主体であるY(国、被告・被控訴人)の行政機関A(横浜防衛施設局長)が、右事業に伴い準用河川である池子川の洪水対策のため仮設調整池の設置を計画し、工事を開始したところ、右河川...
《解 説》
一 本件は、カーポート兼バルコニーの設置及びこれに附随する工事契約につき、訪販法の適用の有無が争われた事例である。
Xは、YとY所有建物につき改修工事請負契約をし、施工していたところ、Yは民法六四一条により契約を解除したので、Xは工事出来高相当の損害を被ったとして、その賠償を...
《解 説》
Xはクレジットカードによる信用供与を行っている協同組合であるが、Aを主債務者、その夫Yを連帯保証人とする昭和五四年九月三〇日付の立替払契約に基づき、Yに対してのみ支払命令を申し立て、同五六年七月二〇日同命令を得(同年八月中旬までに送達手続がとられたと推認される)、同年九月三日に...
《解 説》
一 本件では、原審執行裁判所は、抗告人の抵当権に基づく本件不動産に対する競売手続について、本件不動産の最低売却価額が約一億三三〇〇万円であるのに、手続費用及び差押債権者(根抵当権者・抗告人)に優先する債権は約三億五〇〇〇万円で、これを弁済すると剰余を生じる見込みがないとして、本...
《解 説》
一 本件は、正会員の三〇倍近い約五二〇〇〇人に会員権を乱売した「茨城カントリークラブ」の会員権購入者一九二名が、実質的なオーナ会社である「ケン・インターナショナル」に対して破産の申立てをした事案である。
「ケン・インターナショナル」は、昭和四七年二月、経営コンサルタント業務、ゴ...
《解 説》
一 本件は、暴力団員と競売物件の所有者が行った不動産競売手続に関する執行妨害行為について、公正証書原本不実記載罪、競売入札妨害罪等が成立するとされた事例である。すなわち、第一に、競売物件につき、内容虚偽の賃借権設定仮登記を経由したことが、公正証書原本不実記載罪等に該当するとされ...
《解 説》
一 本誌本号には、現金買収の事案につき、供与者二名に対し無罪の言渡しをした東京高裁第三刑事部の判決が登載されているが、ここに紹介するのは、右判決の約二月後に同高裁第一一刑事部により言い渡された、同一事件の受供与者五名に対する無罪判決である。
二 本件においても、供与者側の事件...
《解 説》
一 本件は、当時長野県飯田市の市議会議員で、衆議院議員(N)の後援会会員であった被告人両名が、昭和六一年七月六日施行の衆議院議員総選挙に際し、長野県第三区から立候補する予定のNに当選を得させる目的で、共謀の上、立候補届出のない同年六月一一日に、右後援会支部事務所内において、選挙...
《解 説》
一 本件は、被告人が、ホテル内において、覚せい剤使用による影響と思われる異常な言動をしたことから、右言動に不安を抱いた相宿泊者より要請を受けて臨場した警察官らに職務質問を受け、バッグのポケットから覗いていた注射器を発見された上、更にバッグの中身を開示するよう促されたが、これを無...
《解 説》
一 本決定は、殺人被告事件の審理の中途において、検察官申請の自白調書一三通の不同意部分のうち、一二通について、証拠能力なしとして検察官の証拠申請を却下したものである。右却下の理由は、(1) 警察官調書については、警察官がこれを被告人に読み聞かせておらず、単にこれを閲覧させて署名...
《解 説》
本件は、平成三年四月に施行された愛知県議選における条例による議員定数の配分が違法であるとして選挙の無効を求めた訴訟である。
Xら選挙人の主張の骨子は、同県において配当基数が〇・三一二二である北設楽郡選挙区と同〇・三一一六である南設楽郡選挙区(いずれも平成二年の国勢調査人口によ...
《解 説》
一 Y1(京都ホテル)は、京都市中京区河原町通二条所在の「旧京都ホテル」を取り壊して、その跡地に、地上一六階・地下四階、建物の高さ六〇メートルの「京都ホテル」の建築を計画し、平成三年七月、建築基準法所定の建築確認を得たうえ、その建築をY2(清水建設)に請け負わせ、Y2において京...