最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 X会社は、青森市に本店を置き、弘前市に支店をもつ、総合衣料、食品等の小売を業とする会社であり、補助参加人A組合は、弘前店の従業員をもって結成された労働組合である。
A組合は、Y(青森県地方労働委員会)に対し、昭和五三年度、同五四年度及び同五五年度の各賃金改定(基本給の額及...
《解 説》
一 Xはアメリカ人であるが、日本国内で覚せい剤取締法違反、関税法違反の罪により起訴され、第一審において懲役七年の刑の言渡しを受けて控訴したが、控訴は棄却され、控訴審での訴訟費用の負担を命ぜられた。右判決の確定後、高検の検察事務官はXに訴訟費用として一六万四五五〇円を納付するよう...
《解 説》
Xら五名はK工業高専の一年生であり、いずれも「エホバの証人」の教義に従って同校の体育課程の剣道の実技に参加しなかった。そのため、同校校長YはXらの体育の単位を認めず、原級留置(留年)とした。Xらは右処分を信教の自由及び学習権を侵害するものとして取消訴訟を提起し、併せて右処分(但...
《解 説》
一 本件は、自衛隊掃海艇母艦等のペルシャ湾派遣を決定する閣議決定(①事件)、内閣総理大臣が右閣議決定に従ってした防衛庁長官に対する指揮命令、防衛庁長官が海上幕僚長に対してした掃海艇母艦等の出航命令及び海上幕僚長が各艦長に対してした右命令の執行命令(以上は②事件)の効力停止申請事...
《解 説》
一 京都府は、府内を流れる鴨川の改修計画を予定し、その構想を検討するため、河川管理者である被告京都府知事が、昭和六二年七月鴨川改修協議会を設置した。府が鴨川の景観対策、治水対策につきいかなる方策を採るかは住民の関心も高く、特に鴨川流域の住民にとっては、ダムサイト建設による治水対...
《解 説》
Xは北海道庁が発行したパンフレットが外務省発行の冊子と同様な内容を含み、無意味であるなどの理由により、Y知事個人に対し道への損害賠償を求める住民訴訟を提起したところ、第一審において道がY側に補助参加した。道は控訴審において補助参加申立てを取り下げたのであるが、地方自治法二四二条...
《解 説》
一 申立人Xは、市立高校の入学試験を受験したが、学力検査等においては合格ラインに達していたものの、進行性の筋ジストロフィーに罹患していたため、右高校校長である相手方Yから高等学校の全課程を無事に履修する見込みがないと判定されて不合格となった。Xは、右不合格処分(以下「本件処分」...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。X弁護士は昭和六二年二月五日午後三時ころ、愛知県中川警察署に赴き、競馬法違反で勾留中の被疑者との接見を申し出たところ、一旦は被疑者との接見が開始されたが、同被疑者については担当のA検察官によりいわゆる一般的指定がなされていたため、一、二分後...
《解 説》
本件は、原告が、被告に対し、法人税賦課決定処分等及び源泉徴収にかかる所得税について、納税告知処分等の違法性を争った事案であるが、原告は、その中で、所得税額の認定の誤り、処分の経過が信義則に違反すること及び簿外預金を役員賞与と認定したことの違法を主張した。
まず、判旨一の点につ...
《解 説》
一 大阪府では、公文書公開等条例(以下「本件条例」という。)が制定されており、大阪府の公文書を、府内に住所を有する者等の請求により、閲覧又は写しの交付の方法によって、公開することとしている。
二 原告は、政治資金規正法の適用を受ける政治団体が同法の規定により被告(大阪府選挙管...
《解 説》
本判決は、神奈川県地方労働委員会(以下「神労委」という。)が発令した救済命令に対する再審査申立てを棄却した中央労働委員会の命令の取消しが求められた事件の控訴審判決である。
Z1(総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部)及びZ2(同支部高津中央病院分会)は、神労委に対し...
《解 説》
一 本件建物は、昭和一一年頃建築された木造スレート葺の工場用建物であって、昭和二三年頃、O会社からX(相手方、申立人)の代表者Nが譲り受け、それと同時に、右Xの代表者Nは、本件建物の敷地である本件土地を、その所有者のYら(抗告人、被申立人)の先代S(Sは昭和三二年九月五日死亡し...
《解 説》
一 Xは工務店Y1(代表者Y2)に自宅の建築を請け負わせ、完成・引渡の段階に至ったが、Xの主張によれば、右建物には、地下車庫及び採光に瑕疵(傾斜が急過ぎて乗用車の車庫乗入れができず、またそのシャッターを閉めると一階が暗くなる)があり、また建物の面積不足及び設計図不交付という債務...
《解 説》
本件は、一八歳の学生であったXが深夜アルバイト先からの帰宅途中、その直前に道路を通過した大型車両との接触によって地上一・二メートルまで垂下し道路を横断していたY(NTT)所有の電話線に頚部を接触させ重傷を負ったため、XとXの両親がYに対し損害賠償を請求した事件である。
X側は...
《解 説》
一 本件はゴルフ事故で、打球を左目に受けて失明同様になったという事案である。
原告Xの主張によれば、Xは一八番ホールで自分のボールをグリーンに乗せた後、ピンから南へ約九メートル離れた地点(判文のK地点)で他のプレーヤーのプレーを待っていたところ、当日Xらとパーティを組んでいた...
《解 説》
本件は、Xが譲渡担保を設定しているA会社の物件(工場内の機械類)について、Yらが競売申立てをした上競落した行為につき不法行為であるとして、Yらに対して損害賠償請求(未回収分・弁護士費用)をしたものである。これに対して、Yら(Y5を除く)がXの本訴提起が名誉毀損に当たるとして損害...
《解 説》
亡A(X1の夫、X2、X3の父)は昭和五九年八月ころ、軟便が続き、下腹部痛があったのでY医院を受診し、胃腸炎との診断により胃腸薬の処方を受けた。Aの症状はその後も軽快せず、同年九月始めには潜血反応も見られた。Aは翌六〇年三月末までにY医院に一七回通院し、その間、五九年一二月下旬...
《解 説》
一 本件は、先天性水頭症治療のためV―Pシャントが施されていたA(死亡当時一〇歳)の死亡について、Aの両親から被告国に対し、Aが死亡したのは、シャント機能不全に由来する頭蓋内圧亢進に陥っていたAに対し、被告病院医師Bが、適切な処置を講じなかったためである等として、逸失利益等の損...
《解 説》
本件は、原告の商標権に基づく損害賠償請求に対して、被告から、先使用権の抗弁及び原材料表示の抗弁が主張されている事案である。そのうち、先使用権の抗弁は、米国法人の阻外H社は、バッグ類の新素材を開発して、これを「BATTUE CLOTH」と名付け、訴外S社を輸入総代理店として、不正...
《解 説》
一 本件は、分譲マンションの管理組合の管理者Xが、区分所有者であるYに対し、Yがその区分所有する部屋で犬を飼育していることが、動物の飼育を禁止した本件マンションの規約に違反していると主張して、規約に基づき右犬の飼育の禁止を求めた事案である。一方Yは、規約の動物飼育禁止条項はYが...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤常用者である被告人が、いわゆるデート嬢をホテル客室内に呼び寄せた際、「刺せ」という幻聴を聞き、電話中の同女の脇腹を所携の包丁で突き刺し、その後同女と性交中に、同様の幻聴を聞いて更にその背部を包丁で突き刺し出血死させた事案であり、被告人の責任能力の有無が主たる...
《解 説》
一 本件は、C信託銀行本店(以下、C信託という。)不動産営業部次長の地位にあり、同本店における不動産取引の業務に従事する傍ら被告人株式会社A(以下「被告会社」という。)の実際上の経営者としてその業務全般を統括していた被告人甲が、(ⅰ)その実弟で被告会社の経理事務担当取締役であっ...
《解 説》
一 昭和五四年七月一一日夕刻、東名高速道路下り線の日本坂トンネル(静岡市―焼津市、全長二、〇四五メートル)内で、大型トラックや乗用車など六台の関連玉突き衝突事故が発生し、炎上した乗用車の火が後方に渋滞していた自動車に次々に引火し、七人が死亡し、一七三台の自動車が焼失した。
そ...