最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
1 Xは、昭和三五年四月一日Yに雇用されてその武蔵工場に勤務し、トランジスターの品質及び歩留りの向上を所管する製造部低周波製作課特性管理係に属していた。
2 Xは、(ア)昭和四〇年三月、Y武蔵工場の男子便所個室に落書をしたため、出勤停止五日の懲戒処分を受...
《解 説》
一 本件は、製薬会社(被告・控訴人ケミファと原告・被控訴人ワイス)二社による鎮痛抗炎症製剤の新薬共同開発契約について、主として臨床試験を担当した製薬会社被告ケミファの臨床試験データに捏造が発見され、原告ワイスも、そのため約一年間製造販売停止処分を受けたので、債務不履行・不法行為...
《解 説》
本件は、民法七三三条によって、再婚禁止期間中に法律上の再婚ができず、内縁関係を結んでいた原告夫婦が、国に対し、主位的に、国会議員が同条の廃止ないし改正をしないことが違法であるとして、法律上の婚姻ができなかったことによる精神的損害について、国家賠償法一条に基づく損害賠償を、予備的...
《解 説》
一 Xらは、徳島県板野郡藍住町(以下「町」という。)の住民である。
Yは、その町長であり、かつ、藍住町土地開発公社(町が公有地の拡大の推進に関する法律一〇条によって設立した法人、以下「公社」という。)の理事長であるところ、昭和五六年四月、田一四〇〇平方メートル弱(以下「本件土...
《解 説》
一 Xらは、陶芸家及び陶芸実技の普及等を目的とする会社であるが、Yから継続的に、Yの設置した判決文にあるような構造の設備(「本件ガス消費設備」)を用いて陶芸用の窯に液化石油ガス(ブタンガス)の供給を受けていたところ、本件ガス消費設備中の高圧ゴムホースの亀裂部分から噴出したガスに...
《解 説》
直進車は、対面信号が青色であること、反対方向から進行してきた郵便車が交差点内で直進車の通過を待って右折するために停止しているのを確認して交差点内に進入したところ、郵便車の左横を通過して、反対方向からの直進車の有無等を確認しないまま右折してきたミニバイクと衝突し、ミニバイクの運転...
《解 説》
一 本件は、土地賃料を非課税としながら、家賃に課税する消費税法(平成三年法律第七三号による改正前のもの)の合憲性が争われた事例である。
原告Xは、被告Yが所有・運営する団地の一室に居住しているが、その月額賃料は従前七万九九〇〇円であったところ、平成元年三月頃、Yは消費税相当額...
《解 説》
一 原告は、昭和三八年の自己に対する辞職承認の違法、無効を争い従前から何度も訴訟を繰り返している者であるが、平成二年一一月に京都府情報公開条例に基づき、京都府教育委員会に対して、昭和三八年ないし四三年度の京都府立学校教員一二名に対する辞職承認の人事異動通知書の公開を請求した。被...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Y1(地方競馬全国協会)は、競馬法二三条の二二に基づき、騎手の免許を行っているが、Xは、昭和四六年以来毎年Y1の行った調教騎手(地方競馬の競走のために馬を調教する騎手)の免許試験に合格して同五六年五月末まで免許を有していた。ところが、...
《解 説》
本件取消しの訴えの対象は運輸大臣Yが横浜高速鉄道株式会社に与えたMM21線を予定路線とする鉄道事業の免許であり、原告となったXは、右免許が東急東横線の一部を廃線とすることを前提にしており、これによりXらの居住する地域は耐えがたい不便不利益を強いられ、憲法で保障されている財産権・...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
本件は、精神障害児である原告が、養護学校高等部へ提出した入学願書が、申込者が募集要項に該当しないとの理由で受理されなかったことを争い、普通学級から養護学級高等部への入学を事実上閉ざしている教育委員会の指導通知の取り消し、教育委員会を被告...
《解 説》
Xは、昭和五九年一〇月、登記簿上倉庫と表示されていた本件建物二棟を取り壊したうえ、その敷地である本件土地をAに譲渡したが、同年分の所得税の確定申告において、租税特別措置法(昭和六二年法律第九六号による改正前のもの)三五条一項の適用を求め、分離長期譲渡所得金額は零円であると主張し...
《解 説》
一 本件は、Xが、その所有地は墓地であるから地方税法三四八条二項四号により非課税であるとして、Y1区長に対し、固定資産税・都市計画税の賦課決定処分の取消しを求めるとともに、Y2固定資産評価審査委員会に対し、地方税法四三二条に基づく審査の申出を棄却する旨の決定の取消しを求めた訴訟...
《解 説》
東京都の住民Xは、都清掃局長Y個人に対し、Yが支出負担行為権限に基づき締結した変電所跡地の還元施設に関する基本設計作成業務等委託契約に基づき支出された四〇〇万円の損害賠償を求める住民訴訟を提起した。Xが右契約を無効とする理由は、約二一年前に東京都と住民団体との間で締結された〔第...
《解 説》
一 Xの夫Aは京都府教員であったが、府教育委員会事務局勤務となり、後に社会教育主事等を歴任し、その間にも部落問題などに熱心に取り組み、その実績を認められて、昭和五二年五月一一日に府下のM市教育委員会教育次長として赴任した。当時M市は人口急増地域で学校建設にからむ汚職や行政ミスな...
《解 説》
本判決は、労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を支給しない旨の処分の取消しが求められた事件の控訴審判決である。
X(原告・控訴人)は、昭和三七年四月ころから昭和四七年一一月ころまで、ほぼ継続的にチェンソーによる立木伐採作業に従事した結果、左右耳感音性難聴になったとして、昭...
《解 説》
一 事実関係
) Yは昭和五二年一二月Xに期間当初一年(更新により期間の定め無し)賃料月額五万三〇〇〇円(五九年七月から六万五〇〇〇円、六三年四月から九万七〇〇〇円)の約束で賃貸しした。
二 当事者の主張による争点
) 1 Yは民法六〇六条一項によりXに対し修繕義務があるか...
《解 説》
一 X(原告、被控訴人)は、訴外株式会社「東辰」に対する賃料債務に充てるつもりでいた五五八万三〇三〇円を、コンピューター処理のミスから株式会社富士銀行上野支店の訴外株式会社「透信」名義の普通預金口座に振り込む手続をしてしまったため、右銀行は、右振込金を右口座に入金記帳した。
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《解 説》
一 本件は、建物所有を目的とする土地の賃貸借に関する、期間満了時の土地返還を約した裁判上の和解条項が、単に賃貸借契約の終期を定めたものか、それとも右契約が期間満了後は更新されないものであることを明らかにした規定(すなわち法定更新に関する借地法六条の適用を排除する規定)であるのか...
《解 説》
銀座の高級クラブの雇われママであったXは、別のクラブの開店を計画していたYの代表取締役Aからスカウトされ、これ(サービス業務委託契約)に応じることにして前のクラブを辞めた。しかし、Aは入店直前となって一定の資格のある保証人を立てなければ入店させないとして右契約を破棄した。そこで...
《解 説》
一 近隣住民のX1、X2(父娘)及びYはかねて生活騒音を契機に反目し、以後いさかいや嫌がらせが続いていて暴力行為に至ったこともあり、本件はこれが露呈したものであるが、特に問題となったのは、Xらが地元の保健所長に対し、Yには変質的行為があるとし、精神障害者又はその疑いのある者とし...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年一二月、パンの製造販売に関するフランチャイズ・チェーンの本部であるYとの間でフランチャイズ契約(以下「本件契約」という。)を締結し、京都市西京区に「パンの店」の営業を開始したが、パンの売上げが少なくて経営に行き詰まり、昭和六三年二月、閉店に追い込まれた。
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《解 説》
一 原告Xは、岡山市内の不動産鑑定士であり、被告Y1は写真週刊誌「フォーカス」を発行している出版社、Y2はその編集長、Y3及びY4はその記者である。昭和六一年一二月発売の「フォーカス」は「ワイド特集『師走の疑惑』」との表題を掲げ、「不動産鑑定士の詐術が支える『黒い抵当証券』」、...
《解 説》
一 本件は、中古住宅(購入時建築後五年経過)を購入した原告が、入居後、建物につき構造上の欠陥を発見したとして、被告らに補修費用等の損害賠償を求めた事案である。直接の売主に対しては瑕疵担保責任を根拠とし、建物を建築した施工業者に対しては民法七一五条の使用者責任を根拠としている。
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《解 説》
一 事実の概要
原告X1は食品販売会社の取締役、原告亡X2は建設資材会社の代表取締役(以下訴訟承継人である相続人を含め単に「X2」という)、被告Y1は有価証券投資に関するコンサルタント等を業とする会社、被告Y2は有価証券投資に関するアドバイス等を業とする会社、Cは昭和六一年四...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
Xの夫Aはフランス人であるが、気管支喘息の持病を有していたところ、被告Yが実施している冷凍療法が有効であると聞いて来日した。冷凍療法とは、Yが元来リウマチ治療法として考案したもので、新聞報道によると、患者を氷点下一〇〇度位の冷気にさらすこと...
《解 説》
本件は、原告が、自分の購入した宝くじが二等一〇〇〇万円に当せんしたが、その後、その当せん証票(当たりくじ)が盗まれたので、現在これを所持していないと主張して、宝くじの受託銀行に対し、当せん金の支払を求めた事案である。
原告は、本件当せん証票が一〇枚の連番で発売されたものであり...
《解 説》
一 Xは、静岡県榛原郡下の金谷町、川根町、中川根町、本川根町の四町の区域を管内とする農業協同組合であるが、昭和四六年五月から昭和五五年一二月までXの専務理事、組合長であったYが、昭和五五年二月から七月にかけて合計約六九億円の国債を取得し、静岡県農業協同組合連合会から約四〇億円の...
《解 説》
一 債権者は、債務者に対して建物を賃貸し、その契約につき公正証書が作成されていたが、債務者は、債権者の受領拒絶を理由として、平成三年一月分の賃料を供託した。
債権者は、平成二年五月分の賃料債権等を請求債権として主張し、前記平成三年一月分の賃料の弁済供託についての債務者の供託金...
《解 説》
本件は、被疑者不詳の現住建造物放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被疑事件について、裁判官が発付した捜索差押許可状をめぐる準抗告申立事件である。
問題の捜索差押許可状は、前進社第二ビル並びに同所内に在所する者の身体及び所持品を、捜索すべき場所・身体又は物としているとこ...
《解 説》
本件は、昭和六二年一一月千葉県警機動隊員が成田空港第二期用地内にある反対派の団結小屋(通称「木の根団結砦」)に対し捜索差押令状を執行した際、同砦内にたてこもっていた過激派から激しい抵抗を受け警察官一三名が負傷した事件等につき、兇器準備集合等の罪で起訴されていた被告人らに対する控...
《解 説》
大手証券会社YのM支店においては、顧客Xから保管の委託を受けていた株式等をXの信用取引の追加保証金に充てるため売却したと主張し、Xからの株式等の返還請求に応じなかった。本判決は、YがX名義で信用取引によりT社の株式二万株の買付けをした事実を認めたが、これについて、Xがその前に他...