最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本件は、昭和六一年七月施行の参議院議員選拳に際し、大阪府選挙区から立候補したK(落選)に当選を得させる目的で、A(高槻市議会議員)が自らの後援会の会合において、公示前の同年四月七日、同月一六日、同月二六日の三回にわたり、それぞれ四五名、五一名、四六名の者に対して、K候補のための...
《解 説》
一、Xは、A市に土地を所有しているが、A市が実施した国土調査法に基づく地籍調査の成果のうち、地籍図における右土地の筆界線の表示が誤っているとして、Y(A市長)に対し、右所有地に係る地籍図と地籍簿上の地積について更正の申立てをした。Yが、右申立てを容れない旨の回答をしたところ、X...
《解 説》
一、原告が、被告設置の私立高等学校二年に在学中、いわゆる三ない原則(バイクについて免許をとらない、乗らない、買わない)を定めた同校の校則に違反したことなどを理由に自主退学勧告を受けて退学を余儀なくされたところ、右勧告は違法なものであると主張して、被告の被用者の不法行為を理由に慰...
《解 説》
本件は、全日本教職員組合(全教)に対する(大会開催のための)公会堂使用承認処分を、右翼等による妨害活動により「市民の平穏な生活が妨害され、交通が阻害されるなど公益を害し、かつ、市公会堂の管理上支障があると認められる。」ことを理由に取り消した処分の執行停止を認めた決定に対する抗告...
《解 説》
本件は、在監者による国家賠償請求訴訟である。XがYに国家賠償法一条の責任が生じる根拠として主張したのは、①Xは別訴の訴訟救助申立が却下されたため即時抗告をすべきときに、作業賞与金で即時抗告状等の作成提出のため文房具・切手の購入を願い出たところ、刑務所当局はこれを認めず、Xの権利...
《解 説》
X1・X2夫婦は、X1の父AからAが居住していた土地建物(本件譲渡資産)の持分六分の一ずつ贈与を受け、昭和五七年三月下旬から同五八年三月下旬までの間、本件譲渡資産に居住した。本件譲渡資産は同五七年七月、他に譲渡され、引渡日は同年一一月末の約であったが、子供の学校等の都合を理由に...
《解 説》
市街化区域内の農地に対する固定資産税、都市計画税については、宅地並課税とするのが原則である。しかし、長期にわたって営農を継続する意思のある者に対する配慮から、長期営農継続農地として保全されている場合には、農地並課税との差額を猶予し、最終的にはこれを免除し、保全されなかった場合に...
《解 説》
甲市はゲートボール場等の施設用地として、民有地を三・三平方メートル当たり五〇円の報償費を支払って借り受けている。そして、地主との契約により右土地の固定資産税を賦課していない。本件は固定資産税を賦課しないことが違法であり、甲市は税額相当の損害を受けたとして市長に対して提起された住...
《解 説》
一、Xの夫訴外A(昭和一一年四月生)は、東京・八丈島に居住し、平素は大工や農業を行い、マグロ・カツオ漁の最盛期には漁船に乗船し漁夫としての業務に従事していたが、昭和五七年四月、カツオ漁船に乗船して出漁し、同月一一日、八丈島沖の漁場で魚群探知や水揚げ作業に従事中、突然船上に倒れて...
《解 説》
本件の詳細な事実関係は不明であるが、およそ次のとおりである。
Xら三名(一審原告・被控訴人)はY(一審被告・控訴人)に対し、主位的に通行地役権の確認及び同地役権設定登記手続を、予備的に囲繞地通行権確認を求めたところ、一審は右主位的請求を棄却し、予備的請求を認容した。控訴審にお...
《解 説》
XはAに対し、封筒二六〇万一〇五〇円相当を販売し、AはこれをBに二九七万一二〇〇円で転売した。Xは右転売代金につき仮差押えをしたが、本差押命令がBらに送達されるまでの間にAが破産し、Yが管財人に選任され、Yが供託された転売代金全額の払渡しを受けた。本訴は、XからYに対し、主位的...
《解 説》
一、本件はアクアラング用具の欠陥が争われたという現代的な事件である。
潜水作業等を業とするX(当時四一歳)は、昭和五一年四月、潜水用具販売業者であるYから、米国のユーエス・ダイバース社開発にかかる潜水用具空気残量計を購入し、これを自動調整呼吸器に装着して潜水作業をしていたとこ...
《解 説》
本件は、コンピュータソフトウェア作成をめぐる紛争に関するものである。Yはソニー株式会社から受注したキャプテン文字入力システムのプログラム開発をXに一括して開発させる旨の契約を締結したが、Xはこれを開発することができなかった。そのような事情を背景として、XはYに対して、約定により...
《解 説》
中華人民共和国の国籍を有するAはわが国を旅行中に自動車事故にあい、死亡した。本件は、同国相続法一〇条によりAを相続したXら(妻、子ら、父母の均分相続)が加害者及び運行供用者Yらに対し損害賠償を求めた訴訟の控訴審である。本件の主たる争点はAの逸失利益の算定方法であり、Xらはわが国...
《解 説》
一、本件は、けいれん発作の発生とその後の措置につき医師の責任が争われた事例である。
昭和五一年二月、当時小学校五年生であったX1は、マラソンの練習中にめまいを起こして倒れ、夕方、小児科のA医院を受診した。A医師が薬剤エンスパン(血管拡張、けいれん防止剤)及びコラミン(呼吸興奮...
《解 説》
一、原告Xは、昭和五五年当時、二八歳のサラリーマンであったが、結核の治療のため、被告Yが運営する病院に約一年間入院し、この間抗結核剤であるエタンブトールの投与を受けたところ、視力が低下し、やがて失明してしまった。そこでXがYを相手取って、不法行為及び債務不履行を主張して、一億円...
《解 説》
X女は昭和二三年五月二一日朝鮮慶尚北道出身のA男と婚姻する旨市長に届出し、その届出が受理され、X女は除籍された。A男はB女と婚姻中であったが、同年一一月一九日調停離婚に至った。A男は昭和四四年二月三日死亡し、その後X女は市長から外国人登録を求められたのを切っ掛けとして国に帰化申...
《解 説》
一、本件は、いわゆる従業員持株制度を採用した会社と持株従業員との間で交わされた、従業員は退職の際株式を取得価格(額面価格)と同一価格で会社の取締役会の指定する者に譲渡する旨の合意(本件合意)が公序良俗等に違反する無効なものであるかどうか、が争われた事案である。同族会社であったY...
《解 説》
一、Aは、明治四二年生れの高齢者であって、パーキンソン病などを患い、いわゆる寝たきり老人として、自宅で療養していたが、平成元年三月一二日、自宅で火災が発生したため、救急車で救急病院に運ばれ、そのまま入院して療養していたが、同年四月一〇日、呼吸不全、心不全を起こし、死亡した。
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《解 説》
Yは、消費生活協同組合法に基づき設立された団体であり、Xは、昭和五八年一一月二九日、Yの下部組合に加入し、同時にYとの間に、Yが事業として実施する個人定期生命共済(通称こくみん共済)契約を締結した。同共済契約は、期間が一年とされているが、共済事業規約一五条一項二号には、「Yは、...
《解 説》
Aは、平成元年二月一日、Yとの間で生命保険契約を締結していたが、同年六月二〇日死亡したため、その受取人である相続人Xらは、Yに対し、保険金の支払を請求した。これに対してYは、抗弁として、Aには告知義務違反があったとして契約の解除を主張した。
本判決は、Aが、昭和六三年以来糖尿...
《解 説》
一、本件事故は、信号機が設置されている交差点内で、時速約七〇キロメートル(制限速度は時速六〇キロメートル)で進行してきた被告人運転の普通乗用自動車が、交差道路から時速五〇~六〇キロメートルで進行してきた普通乗用自動車と衝突し、相手方車両運転者が死亡し、被告人車同乗者が負傷したと...
《解 説》
一、本件は、昭和六一年五月に施行された大阪府泉佐野市議会議員選挙において、関西新空港の建設に反対する被告人らが虚偽の転入届を提出し、詐偽投票等をしたとして起訴された事案についての第一審判決である。
二、弁護人は、本件各公訴事実の成立を争い、公職選挙法上の住所につき、「政治的生...
《解 説》
本件は、被告人が被害者方に電話し、被害者の夫が暴力団関係者との間で交通事故を起こしたように装った上、暴力団関係者になりすまして夫の安否を気遣う被害者に脅迫文言を用いて金員を要求し、金員を喝取するとともに、被害者が右脅迫により困惑畏怖しているのを利用し、更に脅迫ないし暴行を加え被...
《解 説》
周知のように、二〇歳に満たない者(少年)の刑事事件については、家庭裁判所から刑事処分相当として送致を受けた場合でなければ公訴を提起できない(少年法四二条、二〇条、四五条五号)。本件は、殺人罪等で起訴された被告人が、未成年である可能性を否定できず、家庭裁判所を経由しなかった公訴提...
《解 説》
債権者Xは、Y所有の建物にYを根抵当債務者として、被担保債権の範囲を証書貸付取引、手形債権、小切手債権とする根抵当権の設定を受けていた。根抵当権者Xは、第三者Aに対して、証書貸付をし、根抵当債務者Yは、Aの貸金債務について、Xに対して連帯保証した。Xは、Yに対する手形債権のほか...
《解 説》
本件は、抵当証券による担保権実行事件であり、抵当証券には期限の利益喪失約款の記載がない事例である。債権者は、原因関係に属する証券外の契約書に、期限の利益喪失約款の記載があると主張して、利息の不払い及び債権者の請求により期限の利益を喪失した債務者は、債権者の請求後の損害金債務につ...