最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一、本件は、尾張平野西部を南北に流れる庄内川水系新川の支流である一級河川水場川(延長六キロメートル弱、流域面積一一・八平方キロメートル)流域で昭和五一年九月に発生した水害により家屋浸水等の被害を被った九八名(提訴時は一〇三名)が財産的・非財産的損害総額一億九二一六万円余の賠償を...
《解 説》
一、本件訴訟は、昭和五八年一二月二三日に提起されたが、第一審の横浜地裁は、昭和五九年七月二五日、訴えの利益がないとして訴えを却下する判決を言い渡した(横浜地判本誌五三〇号二六〇頁、判時一一三二号一一三頁)。しかし、その控訴審は、右判決を取り消したうえ、横浜地裁に差し戻した(東京...
《解 説》
一、本件建物に、二重の表示登記がある。X(上告人)は先行の表示登記を基礎とする所有権保存登記を得ている。先行の表示登記の申請人ないしそれを基礎とする所有権保存登記名義人の地位に基づいて、後行の表示登記ないしそれを基礎とする所有権保存登記の抹消登記を求めることができるか否かが最高...
《解 説》
本件は、Y2市が管理するY1県の県道の敷地所有者XがY両名に対し右県道の供用開始の公示の無効確認を求め、あわせてY2に対し、右敷地の明渡し及び賃料相当損害金の支払いを求めた事案である。その争点は多岐にわたるが、右無効確認の訴えについては、原告適格及び被告適格が争われ、敷地の明渡...
《解 説》
X銀行はAらに対する債務名義に基づきAら所有の土地建物の強制競売の申立てをし競売開始決定を得たところ、B(承継前被告)もAらに対する債務名義に基づき配当要求をした。この事件は別の不動産競売事件と併合され手続が進められ、異議もなく配当が実施された。この配当手続において執行裁判所の...
《解 説》
本件はX女が夫Aと協議離婚し、その際財産分与により取得した土地を約四か月後に他に売却した場合の譲渡所得の計算において、取得費の額が争われた事案である。右財産分与を受けたXは、取得費の額は売却額と同額の三億五二五〇万円であるから、譲渡益が存在しないとして、Y税務署長の更正処分の取...
《解 説》
一、本件は、貸金業を営む原告の事業所得金額が争われた課税処分取消訴訟である。
本件の争点は多岐にわたるが、判旨の関係では、利息収入の算定に当たりその一部についてした推計の方法の合理性、及び必要経費に算入される貸倒れの認定の当否が問題となった。
二、本件の推計方法は、原告の預...
《解 説》
原告はミシンの販売、講習、集金等の業務に従事していたが、その業務としての外勤(一時期は通勤も)のために、昭和四二年から昭和五六年まで(ただし昭和五三年ころから使用頻度は少なくなっている)、排気量五〇ccの原動機付自転車(以下「バイク」という。)に乗務した。原告は、昭和四二年にバ...
《解 説》
Y(全逓信労働組合)は、その支部であるX1(全逓信労働組合川口地方支部)に対して、「X1の執行権を停止する。X1の執行権限を全逓埼玉地区本部に委譲する」との処分(以下「本件執行権停止処分」という。)をし、Yの組合員であるX1の支部長X2及び書記長X3に対して、組合員としての権利...
《解 説》
一、本件は控訴審で交換的な訴えの変更がなされたので、第一審での請求がどのようになされたかは分からないが、原告側が敗訴になったようである。
二、控訴審の交換的(交替的)訴えの変更によると、次のようである。
1 原告(控訴人)の請求原因の要旨は、次のとおりである。即ち、原告の父...
《解 説》
一、事案は、親子の間の争いである。即ち、父親(原告・被控訴人)所有の建物(もっとも新築費のうち二〇〇万円は次女(被告・控訴人)が出費。全体の建築費は認定されていないし、建築時の認定もない。)について次女が結婚する際婿(被告・控訴人)と養子縁組も考えられたが、婿が長男であったため...
《解 説》
一、本件は、もともとは、もと甲所有の不動産を甲から原告(兼反訴被告・控訴人)において買い受けて所有権を取得した(内一部には農地があるが現在非農地化している)ので、その不動産にある被告A・B(被控訴人)らの抵当権設定登記の抹消及び被告C(兼反訴原告・被控訴人)に対し一部不動産の明...
《解 説》
XはY1信託銀行との間で貸付信託契約を締結し、貸付信託口座を開設した。Y2会社(建築請負・住宅関連)はアパート経営勉強会を開催したがXの下へY1におけるXの住所氏名とその顧客番号を印字したラベル(宛名ラベル)の貼付された封筒でその案内状が送付された。Xは、Y1がY2の便宜を図る...
《解 説》
本件は、不動産会社Xが別の不動産会社Y1とその代表取締役Y2に対して、不法行為及び商法二六六条の三第一項に基づき損害賠償請求をしているケースである。Xは、AからBへ譲渡された本件土地をBから三億二五〇万円で購入し、四億二三五〇万円(坪単価三五〇万円)で売りに出したところ、Cから...
《解 説》
一、本件は、同業者間での腕利き営業マンの引抜きにつき、債務不履行ないし不法行為が問題とされた事例である。
原告X社は、英会話教材販売、英会話学校経営を目的とする会社であるが、被告Y2はそこで営業本部長の地位にあり、配下に数名の部課長及び二〇名以上のセールスマンを擁していて、Y...
《解 説》
本件は、公立小学校教師Xが、生徒指導について生徒の母親らから批判され、校長から学級担任(六年生)を学年途中で外されたが、これらは名誉毀損などに当たるとして、母親・校長・区・東京都らを被告として、不法行為に基づき二〇〇〇万円の損害賠償を求めた事案である。Xが名誉毀損に当たるとして...
《解 説》
本判決が認定した事実関係は次のとおりである。Xは外国人の会社経営者であるが、昭和六一年五月、税務当局から強制調査を受けて帳簿類を押収され、巨額の追徴課税、身柄拘束、本国への強制送還を恐れ、Y2らに相談した結果、元代議士のY1を通じ、有力代議士であるAに工作資金を渡し、税務当局に...
《解 説》
本件は、交際費を使った大がかりな政官界工作が発覚したいわゆるKDD事件で昭和五四年一〇月引責辞職した元社長のXが、KDDに対して未払いの退職慰労金一億五〇〇〇万円を請求したケースである。Xの主張は、①取締役と会社の関係は委任であるが、社会通念上有償合意が認められるべきであるから...
《解 説》
一一個に及ぶ原告各商標は、連合商標となっていること、また、これら商標と被告標章の各一部を構成する文字部分「アイ」が、漢語の「愛」及び英語の「EYE(目)」を連想させるところがあるものの、それ自体、表示として、識別性に乏しいこと、たまたま被告の妻の名前が「愛子」であったことなどか...
《解 説》
一、本件事案の概要は次のとおりである。すなわち、Y県及びY公社は、県下に数個所あった既存のと蓄場を整備統合して、と蓄場部門と流通部門からなる食肉流通センターの建設を計画、推進していたが、これに対し同建設予定地の付近住民らを構成員とする住民団体Xが、右施設建設については用地選定、...
《解 説》
本件は、被告人が団地のエレベーター内で強いてわいせつ行為をしようとし、被害者の抵抗のため未遂に終わったが、その際被害者に加療三日間の打撲傷等を負わせるとともに、その日時場所で被害者所持のバッグ等を窃取したという事案である。
本件で、検察官は、被告人が、(一)捜査段階において、...
《解 説》
一、公職選挙法上の文書等頒布制限規定の合憲性については、夙に最大判昭30・4・6刑集九巻四号八一九頁が公共の福祉のため憲法上許された必要且つ合理的な制限であると判示し、その後の累次の最高裁判例(昭39・11・18刑集一八巻九号五六一頁、昭44・4・23刑集二三巻四号二三五頁、昭...