最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一、本件は、死刑の確定判決に対して再度再審請求をし、事件発生の約二九年後に無罪判決となった、いわゆる松山事件についての国家賠償請求訴訟であり、元死刑囚のX1とその母親のX2が総額一億四三〇〇万円の慰謝料等の損害賠償をY1県及びY2国に対して求めた事案である。松山事件の経過は、概...
《解 説》
1、本件は、多額の借金により破産申立てを余儀なくされ、破産宣告を受けたZの破産管財人Xが、Zが勤務していたY会社に対し、退職金、給与等合計四四〇万〇四三八円の支払を求める訴訟である(Zは、原審において、右退職金、給与の四分の三の請求権は自己に属すると主張して、当事者参加した。)...
《解 説》
一、本件は、原告会社(X)が、被告千葉県地方労働委員会(Y)が発した救済命令(①参加人Z組合の組合員に対し他の従業員と仕事上の差別取扱いをしてZ組合の運営に支配介入することの禁止命令、②Z組合の組合員一〇名に対する仕事上の差別取扱いがYにおいて不当労働行為と認定されたこと及びこ...
《解 説》
一、X(甲)は、次の図の一二番七の土地(甲地)の所有者、Y(乙)はこれに隣接する一二番一の土地(乙地)の所有者である(同図(A)(B)(ヘ)(ホ)(A)を順次直線で結んだ範囲内の土地(「本件土地」)は、従来、右のいずれの土地に属するか争われていたものであるところ、本訴に先立ち分...
《解 説》
XはO市(Y1市長)に居住し、O市が行う国民健康保険の被保険者となったが、昭和六一年八月から同六三年七月までの間の同保険料七三万円余を滞納したため、Y1により預金債権の差押処分を受けた。本件は、Xが右差押処分について、O市国民健康保険条例一五条の五の規定が保険料の最高限度額を三...
《解 説》
一、本件は、シンポジウム開催のために、原告らのうちの一名が、被告に対して、熊本県立劇場大会議室の使用許可申請をなしたところ、被告は、原告らの右シンポジウムに反対する団体・個人が来館して反対行動が行われ、館内の平穏が害される具体的おそれがあると判断し、熊本県立劇場条例施行規則四条...
《解 説》
一、本件事案の概要は次のとおりである。
Xは、金融業を営んでいる者であるが、昭和五九年九月ころ、Aと称する者から、その所有する本件土地を担保に提供するという条件で融資の申込みを受けた。その際Aは、Aの所有名義に登記された登記簿謄本を示したので、Xは、Aが本件土地の所有者である...
《解 説》
Xは賃借している土地を取得したが、本件土地は東京都が所有していて、固定資産課税台帳に価格が登録されていなかったため、Yは固定資産評価基準に従い算出した更地価格を課税標準として不動産取得税を賦課した。
不動産取得税の課税標準は、取得したときの不動産の価格(地方税法七三条の一三第...
《解 説》
Yは昭和五八年中古マンションを購入したが、前の住人が風呂のバランス釜を撤去しており、備付けの湯沸器も老朽化していたため、昭和六三年構造上の共用部分であるマンション外壁(建物全体の壁柱の一つ)に三個の穴(直径六~八センチのもの)を開け配管配線を通してガス湯沸器バランス釜を取り付け...
《解 説》
本件は、借家法上の解約申入につき、正当事由の存否が争われた事例で、本件建物は、東京都港区北青山に存する地上六階建アパートの四階の一区画約四〇平米である。
Xはこれを昭和三五年にYに賃貸し、更新を重ねて現在の賃料は一箇月四万三〇〇〇円余であるが、付近は事務所の需要が極めて高い地...
《解 説》
Xは、Aらから一一筆の農地について「買主の地位及び農地法所定の許可を条件とする停止条件付所有権移転請求権」を取得し仮登記を得た。その後、Xは、Yに対して、右地位と請求権を代金四億五〇〇〇万円で譲渡し、Yは仮登記の移転登記をした上Aらから直接農地を買い受ける形式で知事の許可を受け...
《解 説》
一、賃貸人Xは賃借人Yの代理人であるA(Yの子供)との間で、昭和六二年一月一日から同年六月三〇日までは固定資産税の三倍である月額一九万〇五〇〇円を、同年七月一日以降は固定資産税の三・五倍の月額二二万二二〇〇円とする地代の増額を合意(以下「本件合意」という。)したが、Yは、昭和六...
《解 説》
本件は、東証一部上場会社である有名百貨店の元社長が会社に対して、退職慰労金の一部として一億円及び代表取締役社長としての報酬の未払金(月額三〇〇万円、昭和五七年一〇月分以降八カ月分)二四〇〇万円の支払を求めた事件である。右元社長は、在任中愛人と共謀して、長期間にわたり会社の海外商...
《解 説》
もともと商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章は、商標法三条一項一号・三号で商標登録の欠格事由になっており、四六条はこれを受けて登録無効事由としている。しかしながら、この欠格事由については無効審判請求としての除斥期間があり(四七条)、その場合の救済措置として設けられ...
《解 説》
自白の撤回は、相手方の同意がある場合、又は、自白が真実に反しかつ錯誤に基づいてされたことを証明した場合には許されるとするのが、判例通説であるところ、本件は、相手方から自白の撤回に異議があった場合であるが、自白が錯誤に基づくものではないのに自白の撤回を認めた事例である。
本件の...
《解 説》
本件は代理店契約の成否が争われ、間接事実の総合によってこれを否定する認定をした事例である。
原告Xは昭和四九年五月に、Y(建設機械の著名メーカーで、東証一部上場会社)との間で、信越地区における代理店契約を締結したと主張して特約報酬内金一億円を訴求した。Xは、Yの当時の専務取締...
《解 説》
本件は、行方不明の債務者に対し、貸金を有している労働金庫が、債務者の給料及び退職金の供託金還付請求権を被差押債権として、債権差押え命令の申立てをした事件である。
債務者は、行方不明となって約一年経過しており、その間給料や退職金を取りにくることもなかったので、債権者は、法律の定...
《解 説》
一、事案の概要
本件各事件は、いずれも申立人(担保権の実行としての競売申立事件の債権者)が、相手方(同競売事件の債務者兼所有者ないし所有者)に対して、民執法五五条(一八八条)に基づき売却のための保全処分を求めた事件である。
(①事件)
申立書等によれば、申立人は、平成三年...
《解 説》
(事案の経過)
一、本件は、一審では、原告(控訴人)(リース会社)は、昭和五六・一一頃日東工営株式会社(以下A社という)との間に、事務什器についてファイナンス・リース契約を結び、五六・一二・一、リース物件をA社に引き渡した。A社は同五八・八会社更正手続の申立てをし、保全管理人...
《解 説》
本件は、国勢調査員の主婦が、国勢調査票の作成を依頼し、これを回収するために訪問した被告人方居間において殺害等された事件であるが、国勢調査の方法が、経験の浅い主婦ら多くの女性に調査員を依頼しながら、回収先の家に上がり込まないなどの注意を促し、適切な指導をするなどの措置を講じてこな...
《解 説》
本件は、医薬品容器等販売業を営む被告人が、架空仕入れを計上するなどしたほか、本名、仮名により株式の継続的取引をした所得の全部を除外して確定申告をし、多額の所得税を脱税した事案である。争点は、犯意(ほ脱の意思)、実行行為(「偽りその他不正の行為」・所得税法二三八条一項)のほか、被...
《解 説》
一、本件は、電車内でのいわゆる痴漢行為が大阪府条例に違反するとして起訴された被告人が無実を主張して争っている事案である。
二、まず、判示事項一であるが、本件においては、原審及び控訴審の審理を通じ、被告人を現行犯逮捕した被害者(A)の証言の信用性が最大の争点になったところ、原審...
《解 説》
一、相続税財産評価に関する基本通達(評価基本通達)によれば、相続財産たる宅地が借地権の目的となっている場合には、その宅地の課税価格の評価は、その宅地の価額(自用地としての価額)から借地権の価額を控除するという方法によって行われることとなっている(同通達二五)が、その土地を他人が...
《解 説》
一、事案の概要 被相続人は、東京都江戸川区所在の畑四筆、田二筆、宅地一筆そして居宅一棟(以下「本件不動産」という。)を所有していたが、昭和五九年六月四日付け公正証書遺言により、本件不動産を含む財産全部を包括して子である被控訴人(被告)に遺贈したが、昭和六二年七月六日、死亡し、...
《解 説》
Xの従業員であるAが商用で海外旅行をするに当たり、Xは、Aを被保険者とし、Xを保険契約者兼保険金受取人として、Yとの間で海外旅行傷害保険契約を締結した。Aが旅行先のタイ王国で交通事故により死亡したので、Xが、Yに対し、右保険契約に基づき保険金の支払いを請求したのが本件である。
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