最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
原審判決については、本誌のコメントで画期的な判決と評価していたが、このほど、その上告審判決が出た。本上告審判決も、「相続させる」との遺言の解釈、効果について、画期的な判断を示している。事案は、原審判決のコメントと本判決文を参照願いたい。
本問題についてのこれまでの下級審裁判例...
《解 説》
一、本件は、いわゆるテレホンカードの変造・交付行為について、有価証券変造罪及び変造有価証券交付罪の成立を認めた最初の最高裁判例である。
テレホンカードについて有価証券変造罪、変造有価証券交付罪等で起訴された事件は、本件を含めて二九件(被告人数による。)ある。このうち、第一審に...
《解 説》
東京都総務局は、個人情報保護条例制定の準備作業として、各部局が保有している個人情報の実態調査を行い、警視庁から個人情報のファイル件数、個人登録数のみを記載した「個人情報保護対策の検討について」と題する書面(本件文書)を入手した。都内に住所はないが、勤務先を有するXは、東京都公文...
《解 説》
一、本判決は、外国人登録法違反のうち、外国人登録原票の記載事項の確認申請義務違反(外国人登録法一一条一項、一八条一項一号)につきなされた控訴審判決である。
原判決(神戸地姫路支判平1、7、4公刊物未登載)は、被告人が昭和六〇年一月一七日までに外国人登録原票の記載事項の確認申請...
《解 説》
一、本件は、参加人北海道電力株式会社が、伊達市に建設した伊達火力発電所に使用する燃料(灯油)を移送するため石油精製、元売り会社である日本石油精製株式会社の工場のある室蘭市から発電所まで移送取扱所の送油管(パイプライン)を設置すべく、消防法一一条一項に基づき昭和五〇年九月八日付け...
《解 説》
X1(当時一六歳)は、窃盗の容疑で三回にわたり警察に逮捕勾留され、家裁に送致された結果、傷害、オートバイ窃盗、公衆電話機荒し及び万引については非行事実が認定されたが、三一件の侵入窃盗の容疑については、アリバイの成立及び自供内容と実況見分調書等に示される現場の状況との食違いを理由...
《解 説》
本件は、不動産の所有権の移転について非課税を規定した地方税法七三条の七第一号の「遺贈」に財産分与が含まれるかどうかが争われた事案である。
亡Aは、生前、その子Xに対し、本件不動産の共有持分全部を死因贈与し、これに基づき、その旨の公正証書が作成された。
Aの死亡後、Y(地方振...
《解 説》
A町町立小学校体育館移転等工事請負契約の指名競争入札が行われ、B会社が落札(九八二〇万円)したが、B会社はその直後に契約辞退を申し出たため、再度入札が実施され、C会社が落札(一億三一一〇万円)した。そこで、A町の住民であるXが、A町の町長の職にあったYに対して、違法な職務執行に...
《解 説》
本件は、昭和天皇の病気見舞いのための記帳所設置等に関する公金支出をめぐって全国的にいくつも提起された住民訴訟の一つである。本件は、Xらが千葉県松戸市のした昭和天皇の病気見舞いの記帳のための記帳所設置にかかる費用の支出は違法であるとして、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき市...
《解 説》
一、Xは、昭和三九年に訴外銀行に雇用され、以来、普通預金係、約定振替係、当座預金係、出納係、外国為替係の各業務を担当してきたが、昭和四八年秋口から肩や右腕の付け根に激痛を感じるようになり、頸肩腕障害と診断されて治療を受け、業務に従事しながら治療を継続してきたが、昭和五四年五月一...
《解 説》
一、本件の事案は、次の通りである。Aの祖先は、Bの祖先の家臣であったところ、Bは、徳川時代から続いている茶道石州流の一四代家元であったが、Aの息子のCがBの養子となり、昭和三一年頃、Aが死亡した後は、Cがその一五代家元となった。ところで、X1(原告、被控訴人)は、茶道家元制度の...
《解 説》
本件は、Xが墓地の物権的使用権及び墓石の所有権に基づき、Yに対して、墓地内に設置してある柵等の撤去墓地明渡し・墓石の所有権確認・埋葬してある甲の遺骨の改葬・損害賠償請求(Yが「A」「A家の家紋」「先祖累代の墓」などと墓石に書かれている文字等を削り取って、「Y家」「Y家の家紋」「...
《解 説》
本件各事件は、住宅ローン貸付を業とする原告Xが、住宅資金として貸し付けた金員につき主債務者Y1及びその連帯保証人Y2に対し支払いを求めるものであり、事実関係及び法律上の主張は、三事件とも同様である。主債務者Y1にはY2の他にも住宅販売業者Aが連帯保証していた。このAの連帯保証債...
《解 説》
本件は、不動産会社であるXが都心の一等地である中央区京橋二丁目の借地の底地を買い受け賃貸人の地位を承継して、カバン店を営む借地人Y(Y1は本件建物を所有し、Y1とY1が代表者となっている有限会社Y2及び借家人Y3が右建物を使用している)に対して、借地期間(二〇年)満了に際し更新...
《解 説》
Xは、Y1の経営するゴルフ場で開催されていたY4主催のゴルフ教室を受講し、Y3の指導の下にレッスンを受けていたところ、同じく受講生であるY2の振ったクラブを項部に当てられ、項部挫傷・頸椎症の傷害を負い、入通院を余儀なくされ、後遺症も残る状態となった。そこで、Xが、直接の加害者で...
《解 説》
一、Xは、昭和六〇年七月当時、尼崎市立園和小学校の教諭として勤務していた者であるが、同月五日、神戸電鉄大池駅前で、阪急電鉄六甲駅に向うべく、Y会社のタクシーに同乗したが、右タクシーが六甲トンネル内において停車中の自動車に追突したため、外傷性頸部症候群、腰部・右上下肢打撲の傷害を...
《解 説》
一、Xは、昭和五九年一二月二二日、使用者Aの所有する自動車を運転して走行中、大阪市内の交差点で横断中のBと喧嘩となり、Bが自動車に乗り込もうとしたが、Bから逃がれるため右自動車を走行させたところ、Bが自動車から転落し、後輪で轢過されて死亡した。
そして、Xは、Bの遺族に対して...
《解 説》
本件は、オウム真理教の信者となったY(母親)が、五人の子供を連れて、X(父親)と同居していた家を出てオウム真理教の本部道場の施設内で生活するようになったが、約半年後右五人の子供は、Xのオウム真理教側との交渉の結果、Y及びオウム真理教幹部の承諾のうえでXのもとに帰されて、Xと同居...
《解 説》
Yの運航する第二一千歳丸を曳船とし、Xの使用する天神丸を被曳物件として、両者間に曳航契約が締結され、その際、当事者間の紛争については社団法人日本海運集会所の仲裁判断によると合意された。天神丸は第二一千歳丸に曳航されて式根島で作業に従事し、台風接近の情報により下田港に避難途中、座...
《解 説》
日本の美術商Y社は、英国の美術商A社からYの従業員BをしてA所有の明王朝時代の美術品である皿を顧客が購入することを条件として二一万ポンドで買い受ける旨の契約を締結した。Bはその叔父で香港の美術商Cに本件皿を受け取ってもらうこととし、Cはこれを受け取ったが、その翌日ロンドンのホテ...
《解 説》
一、裁判所が認定した罪となるべき事実は、被告人が、新年会に出席するにあたり、既に相当量の飲酒をしており、会の終了後は自動車を運転して帰宅する予定であったから、(1)新年会の席では飲酒を慎むか、酩酊に陥らない程度に飲酒量を抑制すべき業務上の注意義務があったのに、これを怠り、正常運...
《解 説》
本件は、被告人の所持していた乾燥植物片が大麻取締法一条但書にいう「大麻草の成熟した茎」に当たり、同法の規制対象から除外されるかどうかが争われた事案である。
本件植物片は、被告人が栽培した大麻の小枝部分を切り取り、そのうちの吸煙効果の強い葉の部分等を摘み取った残りを捨てるつもり...
《解 説》
本件は、勾留取消請求を却下した原裁判に対し、弁護人から勾留期間満了日に準抗告の申立がなされたが、その直後に勾留事実について公訴提起があり、準抗告審の判断時点では被告人の勾留となっていた事案である。
本決定は、このような場合、準抗告の申立は準抗告審の判断の時点では法律上の利益を...