最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一、本件は、AがBから融資を受けるにつき、その連帯保証人となったXが、Bに対してAの残債務を弁済し、BがA所有の本件土地・建物に設定していた抵当権を代位取得したので、担保権の実行としての競売を申し立てたところ、Bの抵当権設定後、本件土地・建物がAからC及びDにそれぞれ期間三年間...
《解 説》
一、本件は、小松基地から離着陸する自衛隊機及び米軍機が発する騒音等により被害を被ったと主張する周辺住民Xら三三〇名が国Yを被告として、右軍用機の離着陸等の差止め、一定時間帯における七〇ホンを超える騒音到達の差止め及び慰謝料等の損害賠償を求めた事案であり、第一次訴訟は昭和五〇年、...
《解 説》
一、長男X、二男Yら共同相続人五名の遺産分割協議により、Xが係争土地を単独相続して登記も了したが、YがXの実印等を使用して自己名義に所有権移転登記を経由したため、XからYに対し右登記の抹消登記手続を求めた事案である。Yは、抗弁として分割協議の修正合意又はXの持分の受贈を主張した...
《解 説》
本件は、もと総会屋のXが、Y(銀行)との間でXが発行する業界新聞の販売等の取引を継続していたが、昭和五六年の商法改正を機に、Yから総会屋の閉め出しの一環として取引を打ち切られたため、新たにYの株式を取得し、株主名簿の閲覧及び謄写を請求した、という事案である。一審(本誌六六七号二...
《解 説》
本判決の判示事項は、特許出願に係る発明の新規性、進歩性の存否を審理する前提としてされる当該発明の要旨の認定における、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の各記載の関係である。右に判決要旨として紹介した理論は、教科書的に説かれてきたところが確認されたにすぎない(吉藤幸朔・特許法概説第...
《解 説》
本件は、鹿児島地判昭61・12・23判時一二二三号四四頁の控訴審判決である。
近接する建物の中間部分に構造物を建築し、あるいは、区分所有建物の隔壁部分を撤去するなどして、複数の独立した建物を事実上一棟の建物にするいわゆる合棟がされた場合の登記手続きについては不動産登記法上明文...
《解 説》
市道から市道に通ずる私道について、一個の処分で建築基準法四二条一項五号の道路位置指定がされていたが、その途中の一部について道路位置指定廃止処分がされ、その結果、右私道は途中で分断されることとなった。本件は、右私道の沿線に住み、これを利用していた近隣住民の提起した道路位置指定廃止...
《解 説》
同業者率により推計をする場合には、同業者の個性が平均化される程度の数の同業者が選定されることが好ましいが、現実には、類似性ある同業者が一例しかないという場合も少なくない。また、同業者は取引先の類似性を確保するその他の理由で、納税義務者と地理的にも近いことが望ましいが、特殊な業種...
《解 説》
一、本件は、建設作業員が作業中に事故に遭い、その後に発現した症状(「四肢脱力歩行障害」)と事故との因果関係が争われた事案である。
Xは昭和四八年九月、作業中に鉄管が頭部に落下して負傷し、約四年間の入通院後、昭和五二年九月に症状固定の診断を受けた。その後Xが飯田橋労働基準監督署...
《解 説》
一、判示事項一について
本判決は、労災保険法に基づく療養保障給付請求権は現物支給を原則とするもので、一身専属の権利であるとして、本人の死亡により当然消滅するとして、相続人からの不支給処分取消訴訟は不適法であるとした。最判昭42・5・24民集二一巻五号一〇四三頁(朝日訴訟)は生...
《解 説》
Y(被告・控訴人)は、国有地の払下げを受けてその地上に建築した建物を分譲するにあたり、真実住居を必要としている者に対して売り渡すために、申込者を「自ら所有し自ら居住する個人であること、永続的に同居する世帯員(申込者の配偶者、父母、子供等)のある者又は四〇歳以上の単身者」に限定し...
《解 説》
一、本件は、交通事故による傷害治療のため入院中事故後九日で急性心不全で死亡した被害者の相続人から、加害者に対し、被害者の死亡は、交通事故によって受傷した胸骨骨折が原因で、心膜腔内に血液貯溜が生じ、それによって急性心不全となったと主張し、逸失利益等の損害賠償を請求した事例である。...
《解 説》
高校生が仲間同士でドライブ中に死亡事故を起こし、死亡した同乗者の父母(Xら)が、同じく死亡した運転者の父母(Yら)に対し損害賠償を請求した事案。原審は、Xらの請求額の約三割を認容したが、Xらから控訴が提起され、Yらからも附帯控訴が提起された。本件の争点は、Xらは搭乗者傷害保険金...
《解 説》
一、Xの従業員である部外Aは、昭和六〇年五月一四日、山梨県都留市内の小形山ターミナルにおいて、自動車の荷台上で荷降し作業中、積荷である梱包されたコンデンサ盤を転倒させ、右作業を手伝っていた訴外Bを右コンデンサ盤の下敷きにして、Bを死亡させるに至った。
そこで、Xは、Bの遺族ら...
《解 説》
一、昭和五一年の建築基準法改正で日影規制が新設されて以後、同法の基準やその運用が、日照被害の有無の判断に大きな影響を与えてきているようである。しかし、建築基準法に適合する建物であっても、その建築により受忍限度を超える日照阻害等の結果があれば、違法な建築として、建築差止めや損害賠...
《解 説》
Aは昭和四九年一一月、家屋解体作業中、二階の床板を踏み抜き、約三メートル下のアスファルト舗装道路に頭から転落負傷して、外科医Yの経営する個人病院に入院し、左上腕の骨折手術を受けた。Yは、入院時のX線撮影によりAの頭部に骨折のないことを確認したのみで、頭部には脳内部を含めて異常が...
《解 説》
本件は、階段転落事故による口内出血のため二つの病院で治療を受けた患者が、その後嗄声(「させい」。しゃがれ声)になったことにつき、医師の治療行為と右結果との因果関係が争われた事例である。
Xは昭和五八年五月、自宅の階段から転落してコンクリート床に顔面、頭部を強打し、大量の口内出...
《解 説》
一、本件は、建物の区分所有等に関する法律(以下、単に区分所有法という。)一〇条に基づく区分所有権の売渡請求の当否が問題にされている。
本件事案は、判決理由によれば、次の通りである。即ち、一審被告(控訴人)は、一〇二号室・一〇三号室(A室)を取得した際には本件マンションの敷地(...
《解 説》
一、Y(被告・反訴原告)は、昭和三七、八年頃、土木工事業者であるA(被告補助参加人)に対し、その所有する本件土地を、工事のための材料置場及び駐車場として、一時限り使用する目的で賃貸した。そして、Aは、その後Yの了解を得たうえ、本件土地上に臨時作業員宿舎をも建築して使用してきたが...
《解 説》
一、本件は法人所有の場合と個人所有の場合とで差異を設けているマンションの管理費等の適法性が争われた事例である。
原告Xは東京都文京区内にあるマンションの管理組合であり、被告Yは右マンション内の一室(用途は居住用)を所有する会社であって、右管理組合の構成員である。同マンションの...
《解 説》
まず、判示事項の理解に必要な限度で、事案の概要を紹介すると、XとYは、いずれも亡Aの子であり、Zは、亡Aから嘱託を受けて遺言公正証書を作成した公証人である(ただし、本件当時は、既に職を辞していた。)。Xは、Yに対し、亡Aから生前贈与を受けたと主張して、本件土地建物等の所有権の確...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。X(債権者、抗告人)は、本件公正証書に基づき、債権差押えの強制執行を申立てたところ、右公正証書は、請求債権につき、その本旨(本文)第一条に、「昭和六一年五月二八日、Xと債務者Y及び連帯保証人ABは、別紙編綴の債務承認履行契約書記載の条項どおりの契...
《解 説》
本件は、昭和六一年三月に福井県内で発生した一五歳の女生徒に対する殺人事件についての判決である。被害者が市営住宅の一室で頭部、顔面等を灰皿と思われる鈍体で数回強打され、電器カーペットのコードで頚部を締め付けられ、さらに二本の文化包丁で顔面、頚部、胸部を多数回にわたって突き刺される...