最も長い歴史をもつ判例実務誌
買戻特約売買により不動産が譲渡された場合において、右契約締結のときではなく、売主が買戻権を喪失したときに、課税の対象となる「資産の譲渡」があったとされた事例
経営の行詰まりにより解散した旧会社と、その従業員の約半数を採用した新会社との間に同一性がなく、旧会社のした解雇が整理解雇に該らず、解雇権の濫用、不当労働行為もないとされた事例
生コン工場の砂置場で遊んでいた児童らが生き埋めになって死亡した事故につき、同工場を経営する会社に民法717条の土地の工作物の占有者として損害賠償責任を認めたうえで、児童らにも過失があったとして、5割の過失相殺を認めた事例
水泳の飛び込み練習中にプールの底に頭部を強打して全身麻痺の障害者となった中学生の事故につき、教師の指導上の過失による損害賠償責任が認められた事例
11歳の児童が1級河川の堤防のり面のくぼ地を掘って遊んでいるとき堤防のり肩が崩落しその土塊を頭部に受けて死亡した事故について、堤防の設置又は管理に瑕疵があったとされた事例(8割の過失相殺)
出産時の大量出血による産婦の死亡事故につき、分娩介助の医師の過失責任を肯定し、転送後の医師の過失責任を否定した事例
好意同乗者から加害運転者に対する損害賠償請求について、飲酒運転を助長し、無謀運転を是認していたことなどを考慮し、3割の過失相殺をした事例
夫が個人会社の代表取締役である場合において名目的取締役である妻に対する商法266条ノ3の賠償責任が認められなかった事例
1 商法280条の2第2項の「特ニ有利ナル発行価額」とは、新株発行時における当該会社の資産状態、収益力等から総合的に判断されるものであって、第三者割当の新株発行価額については、新株発行決定時の株価のみを基準として判断するのは相当でなく、会社のあるべき市場価額と対比すべきであるとし、本件新株発行価額があながち不当なものとすることができず、「特ニ有利ナル発行価額」に当らないとした事例
2 株式会社に特定株主の株式保有を嫌って新株を発行したのではないかとの疑いを全く否定できないにせよ、新株発行につき資金調達という合理的理由が存する以上、本件新株発行は著しく不公正な方法によるものということはできないとした事例
1 いわゆる真正商品の並行輸入に該当するとして、商標権に基づき販売の差止等を求めた請求が棄却された事例
2 わが国の商標権者が、当該商標を出願した時点ではその出所表示先として著名な外国企業との間に同一系列の企業体ないしこれに準ずる関係を有せず、かつ、外国企業が自国において商標登録をしていなかったとしても、当該商標の出所表示、品質保証の機能は、真正商品の輸入、販売によって些かも損なわれることがないので、かかる関係を生じた現時点では商標権者からの差止等の請求は権利濫用的なものであって許されないとされた事例
弁護士に対し事件処理を委任した一般私人及び弁護士法23条の2第1項により所属弁護士会に対し報告の請求をした弁護士は、自ら又は弁護士会に代位して、公務所等に対して必要な事項の報告を求めることができないとされた事例
1 当事者の申し立てなかった事項につき判決をしたものとはいえないとされた事例
2 建築基準法42条1項5号による道路位置指定処分を受けた私道の通行の自由権の存否が私法上の通行権不存在確認請求訴訟の訴訟物になっていないとされた事例
建設機械の引渡請求権を被保全権利として仮処分執行をした債権者は、その後債権者から目的物を譲り受けた者において、債権者を被告として当該目的物の引渡請求訴訟に勝訴し、右判決が確定した場合は、担保の事由が止んだものとして担保の取消しを求めることができる
外国人登録証明書不携帯の事案につき、不携帯に至る経緯、不携帯の場所、登録証明書に代替し得る学生証・運転免許証の所持等の事情を考慮し、実質的違法性に欠けるとして無罪が言渡された事例
いわゆる自動販売機荒しの窃盗事件につき、罪となるべき事実の記載が被害物件及び犯行方法の明示を欠き、理由不備の違法があるとされた事例
事件記録が廃棄され判決書等しか保存されていない32年前の強姦致傷事件について、詳細な事実の取調等をして再審開始決定がされた事例