最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 普通地方公共団体が特定団体の事業活動の経費補助をするにつき地方自治法232条の2の公益上の必要があるかの判断は、右事業活動が果たすべき公益目的の内容、右目的が普通地方公共団体の財政上の余裕との関連における重要性と緊急性の程度、合目的性、有効性、公正・公平など他の行政目的を阻害し行政全体の均衡を損なうことがないか、など諸般の事情を総合してなすべきである
2 町の違法な支出が、町の受けた特別交付税によって補填され、損害が生じていないとの主張が排斥された事例
3 町長に町の公金の違法な支出につき、故意又は重大な過失があるとされた事例
各自全部の履行義務を負う数人の債務者の全員又は一部の者が和議開始決定を受けた場合に一部弁済を受けた和議債権者が権利を行使しうる範囲
1 受交付金員が起訴外の供与に費消された場合と公職選挙法224条による追徴
2 受交付金員が選挙運動の正当費用に費消された場合と公職選挙法224条による追徴
3 上告審において原判決中没収追徴の部分のみが破棄された事例
1 公衆浴場営業許可申請書の返戻行為が営業不許可処分に当たると解される場合における不許可処分取消訴訟の出訴期間の起算点
2 右の場合において出訴期間経過後に提起された不許可処分取消訴訟について訴訟行為の追完が認められなかった事例
課税庁が実額で把握した収入金額に同業者の経費率を乗じて経費を算出する推計方法で所得金額を主張したのに対して、納税者が右の収入金額を認めて収入金の立証をせず、経費の実額のみを主張立証することが推計による所得額算定の有効な反証とはならないとした事例
1 債務引受及び連帯保証の意思表示につき強迫による取消が認められた事例
2 金融業者が、強迫により債務引受及び連帯保証をさせた上、その取立てのため騒ぎ立てた行為により、相手方に精神的苦痛を与えたとして、慰謝料の支払を命じた事例
購入土地が他人の土地と部分的に重なり合う疑いが生じ、それが公図等からも相当の蓋然性をもつ場合、民法570条の「瑕疵」にあたるとされた事例
1 特定の遺産を共同相続人の1人に取得させる旨の遺言の解釈(遺産分割方法の指定)
2 右の場合に、遺産共有の状態にあるのに単独名義で所有権移転登記を経由した者に一部抹消(更正)登記を求めることはできないとされた事例
詐欺罪により起訴され無罪判決が確定した者からなされた国賠請求につき検察官の公訴提起に違法性はなかったとして請求が棄却された事例
脊髄造影に使われた造影剤マイオジールが残留し、頭痛などの後遺症が生じた等の主張につき、残留を否定した上、医師に、造影剤選択の誤りや、施術上の過誤はなく、また説明義務違反もないとした事例
胃の病変につき精密検査を実施等すべき点に過失の疑いが残るとしながらも、癌の種類から死亡率との間の因果関係が認められないとして、請求が棄却された事例
都心の土地の買収に協力する団体から協力のための誓約書を取らずに1億5000万円の手形を振り出し交付しても、取締役の職務執行につき重大な過失があるといえないとされた事例
日本共産党書記長宅の電話盗聴について、創価学会の幹部の関与を認め、右幹部の遺族に対し100万円の慰藉料の支払いを命じた事例
病院の建築を請負った建設業者が建築した病院の売買代金の内金5億5000万円についてした連帯保証契約について、名目的な虚偽表示として無効とされた事例
コンピューター会社の取締役が主な部下を引き連れて新会社を設立し、同種の営業を行ったことにつき、取締役の忠実義務違反を認め、損害賠償支払を命じた事例