最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 ノンフィクション作品における実名使用により前科を公表したことがプライバシー侵害にあたるとして慰謝料請求が認められた事例
2 いったん国内の一部において報道された犯罪・前科も時の経過とともにプライバシー保護の対象となるとした事例
3 他人の実名を使用してその前科を明らかにするというプライバシーの侵害がノンフィクション作品の一部を構成する場合に、当該事実の公表が公の利益に関するものか、公共の利益を図る目的に出たものかという違法阻却事由の判断にあたって、当該作品自体の価値・目的との関係での判断方法を示した事例
地方公共団体が国会議員の選挙について国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に定める基準額を超える経費を支出したことと地方財政再建促進特別措置法24条2項にいう「負担金」支出該当性
労働者災害補償保険法による休業補償給付若しくは傷病補償年金又は厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)による障害年金を被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除することの可否
1 一般民間人戦災者を対象とする援護立法をしない国会議員の行為と国家賠償責任の有無
2 一般民間人戦災者を対象とする援護立法に係る法律案を国会に提出しない内閣の行為と国家賠償責任の有無
1 使用者との間に、職務内容を労働組合の専従書記のみとする特約が成立したとの元在籍専従書記の主張が排斥された事例
2 企業内労働組合と同組合の在籍専従書記との関係は準委任契約と解するのが相当である
土地区画整理組合の設立認可を得るための同意の対価として認可申請者が同意者に対し換地を贈与する契約が脱法行為として公序良俗違反であり無効とされた事例
一部中2階平屋建の賃借人が階下一部を改装するとともに2階部分を本格的に増改築した場合と附合の成否(積極)及び区分所有権の成否(消極)
1 公道に通ずる通路の通行について、黙示の設定契約に基づく通行地役権の成立を認めず、黙示の使用貸借契約に基づく通行権の成立を認めた事例
2 公道に通ずる通路に関する通行目的の使用貸借について、通路の貸主(所有者)からの返還請求が許されないとされた事例
売買の目的土地に接する私道が建築基準法上の道路位置指定を受けていなかったため、右土地上の建物につき建築確認を得られなかった場合につき、右土地には隠れた瑕疵があり、右瑕疵により買主は土地買受けの目的を達することができなかったものとして、民法570条、566条による契約の解除及び信頼利益の賠償請求が認められた事例
取毀し予定の建物でも、賃貸借契約終了後その占有を継続する賃借人は、賃貸人に対し不法占有として賃料相当損害金の賠償義務を免れない
国鉄の労働組合が鉄道信号ケーブル切断等のゲリラ事件に関与したことが明らかになった等の新聞記事について、新聞社の名誉毀損による不法行為責任が否定された事例
持分3分の1を有する持分権者の建物が無断で取壊された場合において、その仲介をした弁護士に損害賠償責任が肯定された事例
1 刑事被告事件における公判期日において午後8時30分まで期日を続行した裁判長の訴訟指揮に国賠法上の違法はないとした事例((1)事件)
2 刑事訴訟規則122条2項が定める制裁告知、証言命令をなさなかった訴訟指揮に国賠法上の違法はないとした事例((2)事件)
1 保護房収容が、その構造・設備等から憲法14条、36条に違反し、また合理的必要もしくは要件がないのになされた違法があるとの主張が排斥された事例
2 軽屏禁等の懲罰処分の実体的及び手続的違法等が争われた事例
素因による割合的因果関係の適用範囲、搭乗者傷害危険担保特約における割合的因果関係、好意同乗による減額がなされた場合の信義則による共同不法行為者の責任の減額
大韓民国人の夫と婚姻した日本人女子が、その届出(昭和24年5月19日)当時、夫には大韓民国に婚姻した妻がいたことにより、重婚として婚姻の取消しを求め、肯定された事例
1 建物区分所有法昭58法51改正前旧規定15条所定の共用部分についての債権の範囲
2 右改正法附則2条の遡及効
3 旧規定15条(新規定8条)と中間者たる特定承継人
専属的管轄の合意に基づき提起された訴えにつき他の法定管轄裁判所に移送するだけの公益上の必要がないとして原決定を取り消したうえ移送申立を却下した事例
1 民訴172条の郵便に付する送達の効力が認められなかった事例
2 形式的に確定した判決に対して控訴が認められた事例
1 刑法47条但書適用の遺脱が判決に影響を及ぼすことが明らかであるとされた事例
2 改正前の法律を適用すべきことを明示しない誤りと判決への影響
殺人の発覚を防ぐため投棄する目的で死体から腕時計等の貴金属類を剥がしその占有を取得した行為が不法領得の意思を欠くとして窃盗罪にあたらないとされた事例
司法警察員による逮捕(逮捕状の緊急執行)から約23時間50分経過後に被疑者に対し弁護人選任権が告知され弁解の機会が与えられた事案につき、勾留請求を却下した原裁判に対する準抗告審において、逮捕手続に違法があったとはいえないとして原裁判が取り消された事例
自家用自動車保険普通保険約款中の故意免責条項における「故意」とは、未必の故意を含むか、原因行為に対する故意で足りるか(いずれも、積極)
国家公務員の公権力の違法な行使により損害を被ったと主張する者が、国及び当該公務員を共同被告として損害賠償を求める訴えを提起した事件について、右公務員に対する請求は主張自体失当として弁論を分離のうえ請求棄却の判決をした事例