最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 校長着任拒否闘争を理由とする懲戒処分につき、組合役員以外の者への免職、停職が無効とされた事例
2 県立高校の校長の任命権限は地教行法34条、教育公務員特例法13条により県教委にあるから、校長の任命を高教組の推薦若しくは承認のある者に限定する慣行があっても、右慣行には拘束力がない
3 公務員の勤務条件法定主義は地方公務員の争議行為の禁止理由となるか(消極)
収賄罪で逮捕された市職員を懲戒免職でなく分限免職にして退職手当を支給したことが地方自治法242条1項にいう違法な公金の支出に当たらないとされた事例
町職員が停年退職によりその身分を喪失しかつ処分の取消しにより同人に回復される給与、退職金等の請求権も存在しない以上、降任処分の取消しを求める訴えの利益はないとしてこれを却下した事例
1 道路法58条1項所定の原因者負担金制度は、公法上の特別な人的公用負担制度であるから、原因者に工事費用を負担させるに当っては、原因者の故意過失は必要でないと解するのが相当である
2 道路に損傷を与えた原因者は、右損傷行為が自然の災害等不可抗力によってもたらされたことを立証したときに限り、道路法58条1項に基づく負担金の賦課徴収を免れると解するのが相当である
3 自動車の荷台にピアノ、エレクトーンを積載して阪神高速道路を走行中、荷台後部から出火し、道路を損傷した場合において、右損傷は不可抗力に基づくものではないとして、右損傷による工事費用を負担させた負担命令が適法とされた事例
1 都市計画法29条の開発許可が抗告訴訟の対象となる行政処分とされた例
2 右開発許可の無効を求める原告適格が否定された例
1 行政区画の変更により一時期住民としての資格を失っても判示のような事情があって現に住民としての資格を有する場合には住民訴訟の原告適格があるとされた事例
2 改正規則の制定処分が地方自治法242条の2第1項2号所定の行政処分に当たらないとされた事例
3 主位的請求が不適法で却下を免れない場合には追加的予備的請求は併合要件を欠き不適法であるとされた事例
不動産の売買について、自称代理人が本人の委任状、印鑑証明書、登記済権利証を買主に示した場合であっても、買主が不動産取引の経験のある実業家であるなど判示のごとき事情があるときは、民法110条所定の正当の理由はないとして表見代理の成立を認めなかった事例
医師による肺癌の診断発見の遅延を前提としながら、患者の救命の可能性はなく延命効果も明らかでないとしたが、当時の医療水準上診療、説明等に万全を尽すべき義務の違背があるとして、慰藉料の支払いを命じた事例
1 法人格否認の法理により個人営業当時の債務について法人成り後の会社にその支払義務を認めた事例
2 訴訟上の和解の解釈が問題とされた事例
保険契約者を被保険者とする生命保険契約において、保険契約者による替え玉殺人後の自殺について保険金請求権が否定された事例
1 預金残高2億円、年間所得5億円の営業実績のある優良企業に対する債権仮差押えの必要性が認められた事例
2 債権仮差押申請の際、虚偽の報告書を疎明資料として提出しても、そのことを理由に右申請を却下することはできないとされた事例
強制和議認可決定確定後、破産終結決定がなされた場合、否認権を被保全権利とする債権仮差押決定は、取り消されるべきであるとした事例
甲が乙の氏名等を冒用したため、起訴状および判決書に被告人として乙の氏名等が表示されたが、現実に審理を受けたのは甲である場合における被告人の特定