最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 2級河川である平作川の溢水につき、河川管理者たる国および管理費用負担者たる神奈川県の国賠法2条ないし3条に基づく損害賠償責任を否定した事例
2 下水道の溢水につき、下水道の設置・管理に瑕疵を認めたうえ、本件降雨は下水道の溢水回避義務の範囲を超えていたとして、下水道の管理者たる横須賀市の国賠法2条に基づく損害賠償責任を否定した事例
条件附採用期間中の郵政省職員に対する人事院規則11―4(職員の身分保障)9条に基づく免職処分に裁量権濫用の違法があるとはいえないとされた事例
1 分譲マンションの共用部分の管理費用の負担につき全共有者の過半数で決議された場合には建物区分所有法旧規定13条1項(新法18条)により各区分所有者は原則として右決議どおりの管理費用支払義務を負う
2 玄関ホール、階段室、エレベーター室、管理人室等が建物区分所有法旧規定4条1項但書(新法11条1項但書、3条後段)にいう一部共用部分ではなく、全体共有部分であるとされた事例
3 マンションの分譲者のためにその敷地、外壁の一部、屋上、塔屋等について設定された専用使用権の特約が公序良俗に反しないとされた事例
1 遺留分減殺請求を受けた受遺者等は民法1041条により事実審の口頭弁論終結後であっても遺留分の完全な回復が得られるまでは価額弁償をして目的物の返還を免れることができる
2 民法597条2項但書所定の使用おび収益をするに足るべき期間が経過した場合に該当する事情がないとされた事例
市営プールで水泳クラブが所有し使用していたタイム測定用電気時計からの漏電により生じた感電死事故につき市の責任が否定された事例
1 司法試験等の不合格を違法とする国家賠償が棄却された事例
2 不適法な給付の訴えについて請求は棄却されるべきであるとした事例
出版業界において、出版社が書籍掲載のため撮影した錦絵の写真フィルムを出版後、錦絵の所蔵家に引き渡す慣行が確立していないとした事例
1 離婚した夫が妻との復縁を求めて、妻に対し暴行脅迫を重ね、その挙句に妻の内縁の夫の母にまで傷害を負わせたため、危険が切迫したものと畏怖した妻が所在を晦ました後、公示送達により審理し言い渡された離婚無効の確定判決につき、民訴法420条1項5号後段の再審事由があるとされた事例
2 再審原告の内縁の夫の母に対する傷害罪につき有罪の裁判が確定した場合に同条2項所定の要件を具備するものと認められた事例
商品取引所における商品の先物取引を勧誘するにあたっては、商品取引員は、委託者の経歴、能力、知識等を考慮して、同人に危険の有無、程度につき判断を誤らせないよう配慮すべきで、同人が右判断を行なうことを著しく困難とする程度の態様、方法により右取引の勧誘を行なった場合は、その行為は違法性を帯び、不法行為を構成する
簡易裁判所の調停事件において鑑定を命じられた鑑定人がした鑑定の不当などを理由とする損害賠償請求が認められなかった事例
保証限度額も保証期間も定められていない会社の信用金庫取引上の債務につき連帯保証契約を締結した右会社の取締役が、約2年後に取締役を辞任し、会社を退職したうえした右保証契約の解約申入は有効であるとされた事例
共同保証人の1人である非商人が商人たる主債務者のためにした保証債務の履行によって取得する非商人たる相保証人に対する求償権の行使につき商事法定利率が適用されるか(消極)
集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき国賠法1条1項、2条1項に基づく県、町の賠償責任が否定された事例
軽油の特約業者である原告から元売業者である商社を経て他の特約業者へなされた軽油の販売が、他の特約業者に未課税軽油を取得させるため右商社を形式的に介在させたものにすぎないとして、原告に右販売軽油につき軽油引取税の特別徴収義務があるとされた事例
逮捕勾留による無届欠勤等を理由とする懲戒解雇・通常解雇を無効とし、4年制大学中退を高校卒と経歴詐称したことを理由とする懲戒解雇を有効とした事例
全逓本部の指導の下に実施された昭和50年春闘、同年秋期年末闘争につき指導責任等を問われた支部役員に対する懲戒処分が有効とされた事例
拒絶理由通知を欠いたまま出願を拒絶すべきものとした審決は、重大な手続違背をおかした違法なものであるとして、登録拒絶審決を取り消した事例
「吉向焼」なる出願商標は、焼物の一種である吉向焼を表現するものであって、指定商品中吉向焼の陶磁製品に使用すれば品質表示にあたり、右以外の陶磁製品に使用すれば商品の品質に誤認を生じさせるおそれがあるとして登録を拒絶した審決が維持された事例
原告が著作して著作権を取得した建築設計図の無断複製・使用に対し、著作権侵害として設計料相当の損害賠償、著作者人格権の侵害につき20万円の慰藉料、ならびに8万円の弁護士費用の支払いが命じられた事例
原告編集の字典「用字苑」の単語の選択、排列、レイアウトに編集著作物としての著作物性が認められ、被告発行の「ど忘れ漢字字典改訂版」の編集がその複製物であってその頒布は原告の有する出版権を侵害するものとして、当該書籍の発売、頒布の禁止、廃棄、原板の廃棄を含む差止請求が認容された事例
「エーザイ株式会社」「エーザイ」の原告営業表示が周知であったとし、これと類似する「株式会社工ーザイ」の標章を使用する被告の営業活動が、不正競争防止法上の営業主体混同行為にあたるとして、差止請求が認容された事例(自白)
シャネルの商標権侵害に伴う損害賠償請求につき、侵害者の得た利益に相当する損害のほかに、信用毀損による損害の賠償を認めた事例
広告図案にグラフィック作品として、共同著作物としての著作物性を認めたが、その著作者人格権および著作権の侵害が否定された事例
1 組合員が製造する商品を販売する中小企業等協同組合法に基づく組合の販売行為も、不正競争防止法1条1項柱書の営業にあたり、当該組合も商品主体たりうる
2 電線・電灯線のコードプロテクターの梯形筒状体の形態が債権者組合の販売する商品表示として周知であったとしこれと類似する形態の商品を製造販売する行為が、誤認混同を生じ、その営業上の利害を害するおそれがあるとされ、差止めの仮処分が認可された事例
伝票会計用伝票である商品の形態が出所表示機能を保有するにはいたっておらず、不正競争防止法1条1項1号に規定する商品表示にはあたらないとして、商品主体混同行為が否定された事例
被告人の公判期日への不出頭に正当な理由はないが、保釈を取り消さなければならない程の事情は存在しないとして、保釈取消、保釈保証金没取の裁判が取り消された事例
強盗殺人罪等に関する酌量減軽の基準
(A)強盗殺人等につき、酌量減軽のうえ被告人を懲役15年に処した第一審判決に対する検察官の控訴が棄却された事例
(B)強盗殺人につき、被告人を無期懲役刑に処した第一審判決に対する被告人の控訴が棄却された事例
「昭和59年5月22日無免許運転をした」との事実と「同年同月25日無免許運転をした」との事実の間に公訴事実の同一性があり、かつ、前者の訴因に対し、訴因変更の手続をとらないまま、後者の事実を認定しても違法でないとされた事例
自動車による業務上過失傷害被告事件において、事故現場の検証請求を却下したことが訴訟手続の法令違反にあたるとされた事例
自動車の追突事故により、外傷性頚部症候群、右膝挫傷および腰椎圧迫骨折等の傷害を負わせた旨の訴因について事故により傷害を負ったことの証明がないとして無罪を言い渡した事例