最も長い歴史をもつ判例実務誌
預金を担保とする当座貸越債権と右預金債権の相殺について民法478条の類推適用を認め、金融機関に注意義務懈怠の過失はないとして免責が認められた事例
金融機関が手形の取立・禁止の仮処分を理由に支払いを拒絶したことと手形所持人が手形金の支払いを受けられなかったことによる損害との間に相当因果関係がないとして、右金融機関の損害賠償責任が否定された事例
国立大学教授の外国大使館員に対する科学技術情報提供について、警察官の報道機関に対する捜査結果の公表および新聞社の右公表に依拠した記事の掲載が、いずれも右教授の名誉を毀損するものであるとして、慰藉料100万円の支払いと謝罪広告の掲載が命じられた事例
海外の有力実業家と共同して行うインドネシアの大規模林業開発計画を挫折させた日本の総合商社の契約締結上の過失による損害賠償責任が認められた事例
実用新案登録を無効にする審決の取消請求を棄却する旨の原判決の基礎となった口頭弁論の終結後に当該実用新案登録請求の範囲の記載の一部を訂正する審決がされた場合と上告理由
財産上の給付を条件とする借地権譲渡許可の裁判確定後1年4か月余に右借地権を譲渡した場合につき、借地法14条ノ12の適用はなく右譲渡許可の裁判は失効しないとされた事例
印鑑変更登録の受理および印鑑証明書の発行手続に市の職員の過失があるが、発行された印鑑証明書を信じて取引した者にも過失があるとして、同人から市への損害賠償請求について5割の過失相殺をしたうえで認容した事例
夫が離婚に際して妻に贈与した未登記建物につき夫に対する債権を有するとして強制競売の申立てをした者が右贈与についての登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないとされた事例
借家法1条ノ2(正当事由)に基づく解約を理由とする家屋(店舗)明渡訴訟において、当事者の明示の申立額(1450万円)を超える立退料(2500万円)の支払いと引換えに明渡請求を認容することを相当と認めた事例
抵当権の目的たる建物に対する短期賃借権の設定が権利濫用にあたるとして賃借人に対して発せられた引渡命令が適法とされた事例
債権者が外国会社であって担当者が年間14日ぐらいしか来日しないことは、代理店契約を結んでいる原告に対する訴訟信託を有効とするものではないとした事例
1 香港籍の法人が東京で日本法人に船舶用の油を売る契約をなし、その日本法人が定期傭船しているパナマ籍の船舶にアメリカでその油を積み、その船舶が日本の港に着いた場合、香港籍の法人はその油代金につき船舶先取特権を有するとされた事例
2 定期傭船契約は船舶の賃貸借と労務供給の混合契約であって賃貸借契約ではないという主張が採用されなかった事例
4歳の男児が財産区が設置、管理するかんがい用溜池に転落して溺死した事故につき、右溜池の管理に瑕疵があるとして、財産区と市に損害賠償責任を認めた事例
「賃借人の占有部分から出火したときは、賃貸人が無催告で賃貸借契約を解除することができる」旨の裁判上の和解条項は、賃借人において、右出火が賃貸人側に責があることまたは賃借人側に何らの責がないことを立証しない限り、無催告解除ができることを定めた趣旨であるとし、右特約による賃貸人の無催告解除を認めた事例
従業員株主制度の下での株式信託契約が、従業員株主に締結を強制され、かつ株主権のうち共益権のみを対象としていることを理由に、無効とされた事例
併合出願は、特許請求の範囲に記載された発明の個数に応じた複数の特許出願が併合されているのではなく、複数の発明が一体となった1個の出願であるから、その一部の発明にかかる特許出願の放棄は、特許出願の一部放棄として特許法上予定されておらず、認められない。
テレビゲームのソースプログラムが、伝達可能な記号によって、種々の命令および情報の組合せとして表現されたものであり、作成者によって個性的な相違を生ずるものであるから、著作権法上保護される著作物にあたり、ほとんど同一の視聴覚的効果を生ずるプログラムを収納した中央演算装置を製造販売した被告の行為が、その著作権を侵害するものとして、差止請求、損害賠償が認容された一事例(擬制自白)
1 実体関係が伴わないのに被告に対し出願人名義を変更した届出が無効の行為であるとして、当初の出願名義人である原告が特許を受ける権利を有することの確認請求および出願公告のあった原告の特許を受ける権利につき被告が業として実施する権利がないことの確認請求が認容された事例
2 特許を受ける権利について出願人名義を回復するためには、新名義人として特許庁長官に届け出れば足り、旧名義人の協力を要しないので、出願人の名義変更の抹消手続を求める訴えは利益がないとして却下された事例
債務者の商号「日本電々九州株式会社」およびその略称である「日本電々」「電々九州」等が、債権者の名称「日本電信電話公社」に類似し、誤認混同されるおそれがあるとされ、500万円の立保証を条件にその使用禁止の仮処分が認容された事例