最も長い歴史をもつ判例実務誌
交通事故と医療過誤との複合事故について共同不法行為の成立を認め、加害運転者と医師に対し全損害の賠償支払いを命じた事例
身元保証に関する法律5条に基づいて定められた賠償額を弁済した身元保証人から他の身元保証人に対してする求償請求を認容すべき限度
米国でのホームステイ旅行中、国立ヨセミテ公園で高校生が不慮の死を遂げた事故についてホームステイ計画主催者の契約上の安全配慮義務不履行責任を否定した事例
裁判所の構外の歩道上においてけん騒で不穏当な言動によって裁判所の職務の執行を妨害した者に対する監置の制裁が違憲違法ではないとされた事例
確定判決の成立過程に不正ありとして提起された不正行為をなしたとする者に対する不法行為に基づく損害賠償請求の訴えは、同人につき刑事上の有罪判決が確定する等、その不正行為の事実が明白に認められる場合に限り認容することができる
1 信用組合の支店長、同支店従業員について、架空貸付けまたは簿外預金受入れの方法により、同組合のため保管中の金員を、いわゆる導入屋等に対する貸付け、導入した預金の払戻し、裏利息の支払い等に充てて費消横領したとして、同組合に対する共同不法行為責任が認められた事例
2 右の場合に、信用組合にも損害の発生、拡大について相殺されるべき過失があるとして、3割の過失相殺が認められた事例
証券会社の外務員が、株券を証券金融会社に預託し運用利息を支払うとの名目で顧客から株券を預りこれを詐取した行為が、証券会社の「事業の執行に付き」されたものとは認められないとして証券会社の使用者責任を否定した事例
いわゆる砒素ミルク中毒損害賠償事件において、製造会社、国に対する損害賠償債権は除斥期間(民法724条後段)が経過し消滅したとされた事例
豪雨により発生した土石流が建設中の河川の砂防堰堤を乗り越えて流下して右河川附近にいた下請人らが死亡した災害につき砂防工事施行者たる知事の属する県の損害賠償責任が認められなかった事例
「交通労働災害対策協議会」の事務局長として交通労災被害者の労災給付および自賠責保険請求手続を代行して報酬の支払いを受けることは、弁護士法72条に違反する事項を目的とするものとして民法90条に照らし無効であるとし、報酬70万円の返還請求が認められた事例
印鑑セットの取引がネズミ講として無効とされた場合であっても、それを理由として信販会社の立替金請求を拒むことはできないとされた事例
4歳の幼児が河川敷の砂利採取のためにできた水溜りに転落し水死した事故につき、砂利採取業者に土地工作物の設置保存の瑕疵を、国に河川管理の瑕疵を認めた事例(過失相殺6割)
船舶から廃油(ビルジ)を海上投棄したとして確定した刑事裁判(略式命令・罰金刑)記録(被告らの自白と海上保安本部海上公害課分析係長の鑑定書等)中、廃油と養殖ノリ被害の因果関係の決め手となった右鑑定書(ガスクロマトグラフ分析他数種の方法により分析した結論)が、種々の払底しえない疑問のため、右因果関係の存否判定資料たりえないとして請求棄却された事例
託児所で生後4か月余の幼児が急死した事故につき、死因は乳幼児突然死症候群によるものであるとして、託児所経営者の債務不履行責任が否定された事例
売買契約の合意解除後売買代金を返還しない売主に対する売買代金返還請求訴訟において売主に売買代金返還義務とともに不法行為責任があるとして弁護士費用が認められた事例
教育委員会が勧奨退職に応じた教頭を1日校長に任命して退職手当金を上積みすることにしても、重大かつ明白な違法がないから、知事がした上積み退職手当金の支出決定も違法とはなりえないとされた事例
区立小学校の改築期間中の仮校舎を他の区立小学校の施設内に設置する処分は抗告訴訟の対象としての行政処分にあたらないとして右処分の執行停止の申立てが却下された事例
新生児が高ビリルビン血症から核黄疸に進行して脳性小児麻痺を後遺とした場合につき、診療関与医にビリルビン値を検査し交換輸血のための転送措置をとる義務の違背があるとして、同医師および病院に対し連帯による高額な賠償責任を肯定した事例
高所から転落して頭部外傷等の傷害を負った児童がその3日後脳死状態となって死亡した事故につき、当初その経過観察をし脳浮腫症状の増強を認めて転送した医師およびこれに対し開頭術を行わなかった医師のいずれにも過失がないとされた事例
ゴルフ場の建設を目的として設立されたが資金不足による用地買収不能等により倒産した会社の代表取締役につき入会者に対する商法266条ノ3の損害賠償責任が認められた事例
設立中の会社の発起人が代表取締役として粉砕機等を買い受けた場合において、売主が、右会社が設立中であることを知っていたときは、右発起人に対し売買代金債務の履行を請求することができないとされた事例
従業員の財産形成等を目的として結成された持株会の会員に対する会社の奨励金の支出が商法294条ノ2の利益供与にあたらないとされた事例
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物におけるガラス繊維含有量の下限を限定する補正が、元来避けるべき強度の劣る粗成品を排除するためのものであって、もともと当該出願発明の新規性がガラス繊維含有量の上限を数値限定することにより異方性等の優れたものを得られる臨界的意義に存し、その数値的下限を下まわれば強度の劣ることは、出願当初の明細書に記載された実施例、比較例および公知技術との対比により推測可能であって、新たな技術的知見を加えたことにならず、要旨変更にはならないとして、特許法53条1項を根拠とする補正却下決定を取り消した事例
第三者が偽造した委任状により原告の特許権の一部取得登録を得たことを理由とする、受任弁理士および国に対する損害賠償請求が、損害発生の事実が認められないとして、棄却された事例
実用新案権者である原告から提起された差止請求が、当該考案は原告が被告の代表取締役であった当時の職務考案に属し、被告にその通常実施権があるとして、棄却された事例
債権者が独占的排他的出演契約に基づき、音楽指揮者に対して有する出演請求権保全のため、第三者を債務者とする妨害禁止の仮処分が立保証を条件として認められた事例
原告の図柄模様が、その製造・販売する鞄類・袋物等の商品表示として周知であり、これと同一表示を同一商品に使用販売した被告会社の行為が商品主体混同行為にあたり、その行為に重過失があったとされ、被告会社およびその代表者に対し、右行為によって得た純利益額相当の損害賠償の連帯支払いが命じられた事例
特許権に基づく差止仮処分申請について、権利者である債権者は当該発明を実施していないから、債務者の行為によって蒙る損害は実施料相当の金員に限られ、債務者の賠償能力に不安がないのに対し、差止めにより債務者の企業活動に重大な支障が予想されることを比較すれば、保全の必要性に欠けるとされた事例
1 長尾鶏は、著作権法2条1項1号に定める「著作物」に該当するか(消極)
2 長尾鶏を飼育する者が、長尾鶏の写真を撮影し、これを販売する者に対してなした著作権侵害を理由とする損害賠償請求訴訟の提起(後に請求放棄により終了)が右撮影・販売者に対する不法行為にあたらないとされた事例
被告人に確定的詐欺の犯意および明示的共謀共同正犯の成立を否定し、未必的詐欺の犯意および黙示的共謀共同正犯の成立を認定判断した第一審判決を肯認した事例
殺人未遂事件において、被告人は犯行当時、覚せい剤を使用したことにより急性中毒状態に陥り、その影響による精神障害のため心神耗弱の状態にあったと認められるが、心神喪失の状態にあったとは言えないとされた事例