最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別と憲法14条1項適合性の判断
2 所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)9条1項5号と憲法14条1項
1 独禁法違反を理由とする損害賠償を同法25条に基づかずに民法709条に基づいて請求することができるか
2 審決の推定力の有無
3 生産調整、価格カルテルと行政指導との関係
4 生産調整、価格カルテルと損害との因果関係
5 損害の算定方法
1 商業登記法24条違反の瑕疵ある登記と審査請求が許される事由
2 商法19条に反する登記申請が受理され登記が完了したときと審査請求の許否
不動産競売事件において、抵当権者の1人に対して債権届出の催告および入札期日等の通知をしなかったとしても、売却許可決定の手続に重大な誤りがあるとはいえないとされた事例
抵当権の目的たる建物につき所有権者となったYが該建物から建具等を取り外して他に搬出し、外から自由に出入りできる状態に放置した場合において、その直後このことを知った抵当権者Xは、近隣の子供が侵入して内部を破損したことによる損害の約8割についてYの責任として追及することができるとされた事例
国が日本有数の多雨地帯の洪水防止のため長年月をかけ本川に沿い4500メートル余の背割堤を作り、それに沿って同距離の支川を延長し本川と支川の合流点を4500メートル下流の地点に設置したことにより洪水防止の目的を達した場合、満潮時にその支川に塩分が入り、そこの水を取って潅漑用にあてていた原告に数年間稲作の減収があったとしても、原告は干潮時に水をとるなどの工夫をすれば今後の塩害を防止できるであろうし、洪水防止により得られた利益に比べれば受忍限度を超すものといえず、潮水が進入してくることは自然現象であって、国の河川設置管理に瑕疵があるとはいえないとされた事例
甲が乙の注文により丙所有の建設機械を修理した場合、乙が倒産して甲が乙から修理代金の支払いを受けられなくなったときは、丙の右修理による付加価値の取得は、甲に対する関係において不当利得になるとされた事例
借地人が焼鳥屋の営業および住居として使用している建物の敷地の賃貸借について、賃貸人がした使用継続に対する異議は、立退料として1700万円を提供した場合に、正当事由があるとされた事例
停止条件付代物弁済契約により建物の所有権を取得した者から、旧所有者に対する仮登記に基づく所有権移転の本登記を求める請求が、既判力に抵触するとして棄却された事例
店舗の賃借人の賃料提供の遅滞および賃借権の譲渡または転貸が、賃貸人に対する背信行為にあたらないとして、裁判上の和解調書についてされた執行文の付与が違法とされた事例
保険契約者・死亡保険金受取人を法人とする生命保険契約において、保険金詐取の目的で代表取締役および専務取締役が共謀して被保険者を殺害した場合、代表取締役の被保険者故殺をもって法人の被保険者故殺と評価し、既に支払っていた保険金相当の損害賠償請求が認容された事例
貯水池の堤高を3・6メートル嵩上げしたことと貯水池周辺住宅の湿潤化との間に因果関係があるとして、市に国賠法2条1項の責任を認めた事例
昭和48年3月出生の双胎極小未熟児が、いずれも同網膜症に罹患して両眼を失明した事故につき、同症の診断治療基準が当時なお確立されない状況にあったとし、医師の説明、転送義務を肯定した原判決を履して請求を棄却した事例
交通事故で頭部打撲と外傷を負った9歳の男児の脳内出血を初診時に発見できず再来時に転医させたが死亡した事故につき救急病院の医師の検査・診療行為上の義務違反はないとされた事例
金地金の取引を業とする会社の経営が悪化し、預託金を返還する見込みがないことを十分認識しながら金地金の買付委託契約を締結して約11億円の預託金を受領したが、その後会社が倒産して右預託金を返還することができなくなった場合につき、右会社の代表取締役および取締役の職務の執行について重大な過失があったとして商法266条ノ3の責任が認められた事例
1 生命保険に付加された災害割増特約および傷害特約の免責事由である「飲酒運転中の事故」にいう飲酒運転とは酒気帯び運転では足りずいわゆる酒酔運転をいう
2 ウイスキーを飲んで車を運転し案内標識支柱に衝突して運転者が死亡した事故につき生命保険に付加された災害関係特約の免責事由である「飲酒運転中の事故」に該当するとされた事例
名目上の取締役につき、その任務懈怠行為と第三者の被った損害(債権の回収不能)との間に因果関係が認められないとして、商法266条ノ3の責任を否定した事例
弁護人に判決書謄本を交付した後、判決書の一部を変更して原本を作成し直し、記録に編綴していた場合における原判決の破棄理由
逋脱税額の合計が1億1,700万円余りの物品税逋脱事案について行為者を懲役1年の実刑に処した一審判決が維持された事例
新聞販売店購読者管理システムのプログラムを記録してあるフロッピーシートから、無断で同プログラムを他のコンピューターに入力した場合に背任罪の成立が認められた事例(2件)
出願明細書上、化学構造式により特定された目的化合物の存在を客観的に同定し得る資料に十分でないところがあるとしても、それが引用例に開示された目的化合物と同一であるとするには、特許法29条2項に基づく容易推考の根拠とする以上、特許庁の主張・立証にまたねばならないとし、その立証がないことを理由に審決の判断に誤りがあるとして、これを取り消した事例
1 警察官が取調べ中の少年の被疑者に対し、被害者である暴力団員を面接させたことが、脅迫にあたり違法な取調べ方法とされた事例
2 検察官による少年の被疑事件の家裁送致と権利侵害の有無(消極)