最も長い歴史をもつ判例実務誌
小学4年の児童が放課後、他の児童の「いじめ」によって負傷した事故につき、学校設置者および加害児童の親の損害賠償責任を認めた事例
佐藤登市という氏名の候補者がいる町議会議員選挙において町内で名の知られた佐藤東一なる実在人と同一の氏名の記載された投票が右候補者に対する有効投票と認められた事例
欠損金額を減額する更正処分に対して不服申立を経由している場合と当該欠損金の繰戻しによる法人税の還付請求を理由がないとする通知処分に対する不服申立経由の必要
町道に沿接し事実上私人の通行に供されてきた私有地につき、車幅2メートルを超えない車両の通行が許容されるべきであるとして、通行妨害禁止の仮処分が認容された事例
更新期の錯誤によりその後7年6か月経過後になした更新拒絶の意思表示が「遅滞なく」なされたものとはいえないとされた事例
訴状副本、呼出状および判決正本が適法に送達されずにされた口頭弁論手続は違法であり、判決は違法として取り消すべきであるとされた事例
不動産競売手続中に債務者が死亡し、その相続人が限定承認をした場合、執行裁判所は売却代金を有名義の配当要求債権者に配当せず限定承認者に交付すべきか(消極)
商法516条3項に定める支店とは「現時」の支店であり、支店においてなされた取引によって発生した債務も、その後その支店が廃止されその支店の所在地に他の支店がなければ、義務履行地は本店の所在地となる
訴訟委任を受けていた弁護士が控訴期間徒過により控訴が却下され敗訴判決を確定させた場合に控訴しても勝訴の見込みはなかったとして弁護士に対する損害賠償請求を認めなかった事例
会社更生手続開始の申立てに伴い保全管財人が選任されている場合であっても、右会社のした売買契約の合意解約は、特段の事情のない限り有効であるとされた事例
請負人と称する者が「発注書」を所持していても、注文者がそれを作成して交付したものではないとして、テレビ電波障害対策工事の請負契約の成立が認められなかった事例
1 いわゆる三角取引(業転取引)において引渡し(占有移転)があったと認められた事例
2 三角取引による売買の中間に介入した商社に対し、三角取引(業転取引)の事実を告知しなかったとしても不作為に基づく詐欺は成立しないとされた事例
1 民訴法312条1号の「当事者」には、共同訴訟人が引用した文書を所持する他の共同訴訟人を含まない
2 捜索・差押令状の請求等の違法を理由とする国家賠償請求訴訟において、右令状請求時に作成、提出された警察官調書は法律関係文書にあたるが、刑訴法47条によって提出義務を免れるとされた事例
ゴルフクラブ会員は、ゴルフ場施設の利用が正当な理由もなく著しく制限を受ける場合には、会費の支払いを拒絶できるか(積極)
1 中学校校舎2階窓からの生徒転落事故について、営造物の設置、管理に瑕疵があったとして国賠法上の責任が肯定された事例
2 治療の長期化につき、原告側に過失があるとして慰藉料の算定にあたり斟酌した事例
違法な公金の支出命令を出した地方公共団体の長が地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償責任を負うための要件として、長に故意または重大な過失のあることが必要であるとされた事例
被災労働者の障害補償給付請求に対し労働基準監督署長が障害等級12級該当としてした給付支給決定に違法がないとされた事例
1 郵便局の臨時雇の雇用関係は、公法上の関係であるから、雇用が反復し長期にわたる等の事情があっても、任用行為がないかぎりその地位は保護されない
2 郵便局の臨時雇に対する取扱いに人事管理上の過失があったとして、慰藉料等の賠償が認められた事例
左鎖骨骨折等の傷害で治療中の患者が胃潰瘍により失血死した事故につき、吐血後もオルガドロン剤を投与し、かつ、潰瘍からの出血に対して適切な措置をとらなかった過失があるとして、病院側の損害賠償責任が認められた事例
交通事故により右足部挫創等の傷害を受けこれにつき処置を経た患者の退院に際し、その患部を包帯固定したにとどまり免荷の指示をしなかったことに医師の義務違背があるとしたが、右足短縮の後遺障害についての寄与度を2割と認めて逸失利益等の損害を算定した事例
S字結腸癌摘出手術後同部に腺癌が発育し患者が死亡するに至った結果につき、医師に癌診断法の施行を怠った過失があるが、その死亡との間の因果関係について立証がないとして請求を棄却した事例
12歳3か月の小学生が友達と探偵ごっこに夢中になり自転車を疾走させていて歩行者に背後から衝突した事故について、加害者の責任能力を否定し両親の監督責任を認めた事例
乙が甲所有の車に甲を同乗させて走行中運転を誤って甲を負傷させた事故について乙に不法行為責任を認めたが、甲が同乗するに至った事情を検討し公平の見地から慰藉料減額事由として考慮した事例
1 被害者が死亡当時安定した収入を得ており、生存しておれば将来昇給等による収入増加を相当の確かさで推定できるから予測し得る範囲で控え目に見積って将来の逸失利益を算出することが許されるとし、また、55歳(退職後)から67歳までの間は賃金センサスと対比して3段階に分け退職時の年収額の7割、6割、5割に相当する額を基礎に逸失利益を算定した事例
2 退職一時金も賃金の後払いの性格があるとして生活費を控除した事例
婚姻中の配偶者の一方が、他の配偶者不知の間に協議離婚届出をし、これが受理されていても、配偶者間に離婚の合意がないときは、他方の配偶者の死亡後においても、前記協議離婚の届出をした配偶者は、右協議離婚の無効を主張することが許される
1 嫡出子否認の訴えの出訴期間は、夫が嫡出否認の原因となる出生の事実を知った時から起算するべきであるとの解釈は、民法777条の文理に反し採用することができない
2 民法772条の規定の適用上、父子とされる関係にあっても、両名間に親子としての自然的血縁関係のないことが二義を許さず、客観的に明白な場合において当該父および母子のいずれもが真実に合致しない形式的身分関係の消滅を望んでいるときは、例外的に前記民法772条の適用は排除され、親子関係不存在確認の訴えが許される
被相続人の死亡当時、その妻子である相続人らが、被相続人の事業経営に全く関与しておらず、積極、消極の相続財産の存在も全く認識していなかったとしても、その後、被相続人の債権者から、債務者被相続人に対する貸金債権についての承継執行文付金銭消費貸借契約公正証書謄本が相続人らに対して送達されているときは、相続放棄の熟慮期間は、おそくとも上記送達日から進行するものと解される
障害補償給付請求権の消滅時効の起算日については、民法724条を類推適用し、その消滅時効は、被災労働者において自己の障害の業務起因性を知ったときから進行を開始するものと解すべきであるとされた事例