最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 関税定率法21条3項の規定による税関長の通知と抗告訴訟の対象
2 憲法21条2項前段の検閲禁止の趣旨
3 憲法21条2項にいう「検閲」
4 関税定率法21条1項3号所定の物件に関する税関検査と憲法21条2項にいう「検閲」
5 関税定率法21条1項3号の規定による狼褻表現物の輸入規制と憲法21条1項
6 表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許される場合
7 関税定率法21条1項3号の「風俗を害すべき書籍、図画」等との規定の意義及びその合憲性
1 タクシー運賃変更についてのいわゆる同一地域・同一運賃の原則と道路運送法8条2項1号及び4号
2 タクシー運賃値下げの認可申請を却下した処分が、処分理由となった運輸当局の行政方針である同一地域・同一運賃の原則が違法であるとして取り消された事例
未墾地につき入植許可を受けた甲からその子乙への入植名義の変更が許可されたのちに甲に対してされた売渡処分が適法とされた事例
1 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法501条所定の代位の範囲
2 保証人と物上保証人との間に成立した民法501条但書5号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力
1 併合罪の各一部につき第一審、控訴審および上告審において順次無罪の判決があった場合の刑事補償請求の期間
2 併合罪の各一部につき第一審、控訴審および上告審において順次無罪の判決があった場合の刑事補償の管轄裁判所
借地上の建物の競売において、現況調査の時点で地代不払いにより敷地の賃貸借が解除されることが予想され、かつ、最低売却価額決定後に右賃貸借が解除された場合、執行裁判所が物件明細書に右賃貸借の帰すうについての判断を示さず、かつ、当初の最低売却価額でもって売却を命じたとしても、違法とはいえないとされた事例
1 民執法193条1項にいう「担保権の存在を証する文書」とは、公文書でを必要としないが、文書自体で担保権の存在を証明するものでなければならない
2 債権者が作成した売上帳、請求書、第三債務者が作成した証明書などは右「担保権の存在を証する文書」にあたらないとされた事例
会社の相談役(前代表取締役)に対する口頭による相談役料(終身定期金)支払契約(贈与契約)が相談役解任通告により解除されたとした事例
1 国民金融公庫と受託金融機関との間に締結された代理貸付に関する代理業務契約の受託金融機関の保証に関する8条の規定は、代理貸付金に対する受託金融機関の50パーセントの保証を定めたものであって、その100パーセントの保証を定めたものではないとされた事例
2 国民金融公庫の代理貸付における受託金融機関が代理貸付先の自己に対する預金債権を差し押えられたのちに国民金融公庫に対し保証割合である50パーセントを超えて代理貸付残金の全額を代位弁済した場合、右代位弁済金のうち右50パーセントを超える部分は右代理業務契約8条3項後段のいわゆる回金義務の履行として代位弁済されたものではないから受託金融機関がこれを代位弁済したことにより代理貸付先に対して取得する権利は民法511条にいう「差押後に取得された債権」に当たることが明らかであるとして、受託金融機関が右の権利を自働債権として代理貸付先の右被差押債権と相殺することは許されないとされた事例
米軍の通信用基地内に侵入した児童が高圧線の鉄塔に接触感電して死亡した事故につき、右鉄塔およびその関係防護施設の設置または管理に瑕疵があったとはいえないとされた事例
互いに隣接する借地人両名は両借地にまたがる共有建物の建築のため建物の構造に関する借地条件変更の申立てをすることができないとされた事例
1 相続開始前における将来相続財産となるべき特定の財産に関する持分の条件付放棄契約が無効とされた事例
2 不当利得返還請求権の消滅時効の援用が信義則に反し許されないとされた事例
3 不当利得返還請求金額の算定にあたり、貨幣価値の変動に従った評価換えをすることが相当ではないとされた事例
個室付浴場業の営業を阻止することを主たる目的としてされた県当局の児童遊園設置認可処分、営業停止処分及び経営者の逮捕等が違法な公権力の行使にあたるとして、県に対する国家賠償請求が認められた事例
個人企業を退職した従業員らが新会社を設立したうえ、その得意先に対し右企業を承継したかの如き通知を出して取引を開始し、かつ、右企業が占有使用していた工場および機械を占拠使用してその営業を妨害したことが共同不法行為にあたるとされた事例
競落土地所有者の自力救済による右土地上の建物の取り毀しにつき、右建物の仮登記担保権者よりの慰藉料請求を認容した事例(10万円)
賃貸家屋の損傷による賃貸人の蒙った損害賠償の範囲につき、その修復費用に当該家屋の耐用年数を考慮して減額した額および、第三者に賃貸できなかったことによる賃料相当の損害を3ヶ月に限定して、相当因果関係があるとした事例
道路上に置かれたプロパンガスボンベに自動車が衝突しプロパンガスが炎上して付近の工場を全焼させた事故につき、プロパンガスの使用者、販売業者、市の損害賠償責任を肯定した事例
会社代表者が英会話教材等の販売員の募集であることを秘し、同社が有力企業の子会社であるかのような虚偽の表現を含む「男女正社員募集」の新聞広告をなし、応募者に対し5日間の講習の末はじめて販売員の募集であることを明らかにして同委託契約の締結を余儀なくさせた等の募集方法が、著しく信義に反する違法なものとして、会社に対し不法行為による損害賠償の責任ありとされた事例
市営プールで開催された「母と幼児の水泳教室」に参加した母親が参加者以外の幼児(3歳8ヶ月)を同伴し、自ら水泳指導をうけている間に同幼児が溺死した事故につき、プールの人的施設および管理体制の両面に瑕疵ありとして市の賠償義務が認められたが、原告側にも過失ありとして6割の過失相殺がなされた事例
隔日勤務の消防吏員の勤務時間の特殊性が給料においてすでに考慮されているため、第一種勤務差手当(勤務時間の特殊性を手当で考慮するもの)の支給対象とならないとされた事例
労働協約等に組み込まれていた組合掲示板、チェック・オフ等の便宜供与が右労働協約等の有効期間の満了に伴い法的根拠を失ったとした事例
就業規則および退職手当金規程に基づく退職金の請求に対して、会社との間で退職金支払いのための条件を付した合意の効力が否定され、退職金の支払いが肯定された事例
労働者である原告が、賃金にあたるボーナス等を会社に対して負担する損害賠償債務の弁済にあてる趣旨で会社に預けたが、右預託が労働者の自由意思に基づくと認められる合理的な理由が存在したとは認められないとされた事例
高齢者の転倒による右足関節脱臼骨折等の傷害につき、保存的療法を採用したのが相当であるとして、診療関与医の責任が否定された事例
患者が急激な喘息発作により受診中に心不全死した事故につき、診療関与医師に救急医療措置の懈怠がないとして請求が棄却された事例
団地内の子供の横断の多い道路において、停車中の自動車の陰から飛び出した幼児(6歳)が、時速約30キロメートルで走行してきた加害車に跳ねられ死亡した事故について、加害車運転者には幼児の安全を守る高度の注意義務があるとして、被害者側に過失相殺を認めなかった事例
被害車両が、まず道路左端ガードロープに接触し、続いて先行の大型トレーラー左後部に追突し、その衝撃により後方に押し戻され、さらに右にハンドルを切った状態で進行して停止状態となったとき加害車両が衝突してきて被害車両の運転者が死亡した事故について、加害車両の衝突は死亡原因といえるが、トレーラーとの衝突のさいの衝撃の方向と死因とを対比し証明度に応じ被害車側の損害のうち80パーセントの割合で加害車両の衝突と相当因果関係があるとした事例
1 交通事故の発生について、加害者に転回禁止場所で後方の安全不確認のまま急転把して転回した過失が、被害車両の運転者Aには前方不注視と超過速度運転の過失があるとして、過失割合を加害者について85パーセント、Aについて15パーセントとした事例
2 被害者が友人から自動二輪車を借り受け、往路は被害者が運転して行ったが、帰路Aに運転させ被害者が後部座席に同乗していたさい起った交通事故について、Aの前記一の過失はいわゆる被害者側の過失として評価できるが、右事情を考慮し被害者の損害について過失割合として5パーセントを減額するのが相当であるとした事例
1 左小指挫創、伸筋腱断装、右胸部打撲症の各傷害は本件交通事故によるものであるが、左腕部疼痛は受傷の部位、程度、発症時期等からみて本件事故とは因果関係がないとした事例
2 保険会社からの手当は被害者の収入源として把握することができるが、その余の業務による収入は直ちに逸失利益算定の基礎とすることはできないとして、全体として同年代平均賃金によるのが相当であるとした事例
被害者の第五、六頚椎変形性頚椎症および外傷性頚腕症候群の症状はただ一度の外傷によって発現するものではなく本件交通事故以外の原因も競合して発生しているとして右症状に対する本件事故の寄与率を8割と認め損害額を算定した事例
訴外会社は被害者のいわゆる個人企業であってその売上高の2割は被害者の収入であり会社の減収分を損害であるとし、予備的に訴外会社からの役員報酬および個人としての不動産取引による利益を失ったとする主張をすべて排斥し、同年令の平均収入を基礎として逸失利益を算定した事例
被告会社は自己所有の普通貨物自動車を自社修理担当従業員Aに貸与し管理させていたところ、Aが友人Bに同車の運転を委ねてこれに同乗して帰宅した後、Bが勝手に同車を運転して起した交通事故について、被告会社はAに同車を私用に使うことを黙認しており、AもBに対し同車の使用を容認していたものとして、被告会社に同車両に対する運行供用者責任を認めた事例
被保険者の保険会社に対する無保険車傷害条項に基づく保険金支払請求訴訟において、被保険者が賠償義務者を相手に履行を求めた訴訟の提起遂行上負担した弁護士費用を被保険者が保険会社に請求し得うべき損害と認め、遅延損害金の起算日を訴訟提起の翌日からとし、その利率を年6分と認定した事例
交通事故被害者の訴える症状につき、医学的所見と後遺障害12級6号に当るとの事前認定がありながら、現実の稼働のうえで障害となる後遺症ではないとされた事例
韓国民法上有責配偶者からの離婚請求が認められているか否か明らかでないとして法例16条但書を適用し右離婚請求を棄却した事例
1 原・被告双方から破綻を原因として本訴、反訴の離婚請求が提起された場合においてその原因事実が認められるときは、有責性の有無について判断せずに双方の離婚請求を認容すべきである
2 妻の夫に対する金300万円の離婚慰謝料、金640万円の財産分与の各請求が認められた事例
夫の本国法(ジンバブエ国離婚原因法)の一部しか判明しないとして、判明している部分の内容を手懸りに不明な部分を条理によって補い、有責配偶者である夫から妻(日本人)に対する離婚請求を棄却し、妻の反訴離婚請求を認容した事例
戸籍上の父に対する親子関係不存在確認請求事件の請求棄却判決が確定した後に提起した第三者に対する親子関係存在確認請求が右前訴の既判力に牴触し不適法だとして却下された事例
1 1株の額面500円の1000株券を100株券10枚に分割すべき旨の株主の請求が権利の濫用ではないとされた事例
2 株券記載の株式発行日の誤りの訂正を求める利益がないとされた事例
つけ売買における中間買主たる商社が中間売主たる商社に虚偽の物品受領書を作成交付し、また、売買物件を保管すべき倉庫業者が中間買主たる商社に虚偽の入荷報告書及び出荷報告書を作成交付した場合に、中間売主たる商社に対する不法行為責任が認められた事例
債権者ポルシェ・アーゲー社(甲)が自動車の販売に使用する「ポルシェ」の表示・その欧文字表示・図形代表示が、その商品および営業活動の表示として著名であったとし、債務者がこれと酷似する標章を商品サングラスのフレームに付し、その販売のための広告・宣伝活動等に使用していることが、商品主体混同行為および営業主体混同行為に当たるとし、使用差止めの仮処分決定が認可され、甲社の許諾のもとに活動するポルシェ・デザイン社(乙)からの仮処分申請については、その根拠たるポルシェ・デザインの欧文字の表示が周知性を得ていなかったとして原決定取消しのうえ、却下された事例
猟銃で近隣者9人を次々に殺傷した精神分裂病者の行為につき、心神喪失を認めて無罪を言い渡した一審判決を破棄し、心神耗弱と認定して無期懲役を言い渡した事例
1 私人としての生活行動が「公共の利害に関する事実」に該るとされた事例
2 週刊誌に掲載された事実が真実であると信ずるにつき相当な理由があるとされた事例