最も長い歴史をもつ判例実務誌
昭和58年12月18日の衆議院議員総選挙当時の議員定数配分規定の違憲性 昭和58年12月18日に実施された衆議院議員選挙当時、公職選挙法13条及び同法別表等に基づく衆議院議員定数配分規定は、選挙人数の最大較差が1対4.41に達している点で憲法の選挙権の平等の要求に反し、かつ、右較差が合理的期間内に是正されなかったとして、憲法に違反するとされた事例
昭和34年11月1日当時において日本国民でなかった者に国民年金法81条の障害福祉年金の支給を認めない同法56条1項ただし書・81条1項(昭和56年法律第86号による改正前)は、憲法前文・11条・13条・14条1項・25条に違反しない
時価2500万円の遺産を時価1293万円ないし1559万円程度であると誤信して遺産分割調停を合意するに至った場合につき、要素の錯誤があるが重大な過失があるとして遺産分割協議の無効確認請求を棄却した事例
アパート敷地内に掘ったごみ焼却穴へ幼児が転落し火傷を負った事故につき、アパートおよび敷地の所有者ないし管理者たる者の土地工作物責任が否定され、事故の直前に焼却穴を使用した者の不法行為責任が肯定された事例
保証金500万円を供託して認容された不動産競売手続停止仮処分の異議訴訟で仮処分の取消および申請却下判決が確定しても民執法193条1項の「担保権の存在を証する書面」とはいえないとして、右仮処分の相手方が右競売手続停止期間中の約定遅延損害金相当の損害賠償請求権に基づいて申し立てた右保証金取戻請求権の差押えおよび転付命令の申立てが許されないとされた事例
共同企業体の一構成員が共同企業体の請負った建設工事の材料につき第三者と締結した購入契約について他の構成員の責任が否定された事例
税関長により公売に付された収容貨物の最終取得者が貨物に存した瑕疵により損害を被った場合において右損害の発生につき税関長に過失がないとされた事例
高温の熱湯が豊富に湧出する源泉を観光名所として一般の観光の用に供している温泉地において飲酒酩酊のうえ右観光名所に立寄った観光客が同所の河川敷沿い遊歩道の河川敷側に設置された転落防止用の防護柵に腰かけようとし酔余誤って同地点から約1・5メートル下の河川敷上に設置された物茹で用の湯桶(源泉から流出する高温の熱湯を一時これに溜めて地元住民等の物茹での用に供するためのもの)内に転落して全身火傷により死亡した事故につき、右湯桶は転落防止用の蓋が取付けられておらずかつ転落防止用の防護柵もその高さ等が不十分なものであった点においてその設置、管理に瑕疵があったとして、これを設置、管理する財産区に損害賠償責任を認めた事例
幼児が河川に附属するポンプ場の水調節用水槽に転落し水死した事故につき、国および県の営造物の設置および管理の瑕疵を否定した事例
将来ドイツで設計製作される不特定物の機械の売買において、買主が引渡しを受けた機械に瑕疵があった場合、売主は、民法570条により信頼利益の損害を賠償すべき責任があるとされた事例
降雨により道路斜面が崩壊して家屋等が流失したとする国家賠償請求において、右崩壊と道路の切取面の構造との間に因果関係がないとして、右請求が認められなかった事例
自動車レース場においてレーシングカーが衝突しそのうちの1車両が逸走したためコース外側で監視していた監視員が死亡した事故につき右自動車レース場経営者の責任が肯定された事例
管理職手当の支給を受けている市の局長に対する特殊勤務手当の支給が違法であるとして、局長に対して右手当の返還が命じられた事例
1 地方自治法74条の3第2項にいわゆる「詐偽」の意義
2 村長解職請求署名簿の署名が詐偽によるものでないとされた事例
京都府知事が、本来の使途を秘匿し、別の名目で議会の議決を得た予算を、当初の秘匿した使途に充てるために支出する行為は違法であるが、京都府に損害がないとして、原告らの住民訴訟に基づく請求が棄却された事例
1 土地改良法に基づく土地改良事業において、当初の事業計画で予定されていた支線農道の代りに、別の支線農道を新設することを内容とした事業計画の変更が、土地改良法87条の3第1項所定の事業計画の「重要な部分の変更」にあたるとされた事例
2 土地改良法87条の3第1項所定の事業計画の「重要な変更」について、同条項所定の変更手続をとらなかった瑕疵が治癒されたものとされた事例
就業規則所定の支給時期より遅れて支給された賞与につき、労使間で支給対象者を支給日在籍者とする旨の協定が締結された場合において、右支給時期到来後現実の支給日までの間に退職した従業員が賞与の受給権を有するものとされた事例
電電公社職員が労使協定上最低配置人員の定めのある休日につき「成田闘争」参加のため年休時季指定をしたのに対し、公社が勤務割の変更をせずに時季変更権を行使した場合、これが適法であり権利の濫用にも当らないとされた事例
ゴルフ場キャディーに対する無断欠勤、無断遅刻、職制に対する中傷、業務命令違反、同僚との喧嘩口論、会社施設の不当使用、組合闘争ニュースの不当配布、等を理由とする予告解雇が、解雇権の濫用ないし不当労働行為として無効とされた事例
腰痛を訴える患者に対し手技による療法としてその下肢を胸腹部に急激に曲げる施術をした結果膀胱障害を惹起させたとし、柔道整復師らの賠償責任が肯定された事例
蓄膿症の鼻内開放手術後患者が左眼を失明するに至った場合に、右の結果は嚢腫内液の急激な排出等による網膜中心動脈栓塞に起因するとして、医師につき手術上の過誤がないとされた事例
会社の業務用にも使用されることがあるいわゆる社員自家用車制度により購入した車輌を私的目的に利用しているときに事故が発生しても会社は自賠法3条による運行供用者責任を負うとした事例
別の車を買う予定もあって、遠方に別居する弟に対し、自己所有自動車の使用を許諾していた兄に運行供用者責任が認められた事例
停車車両の運転者が十分後方の安全を確認することなく開扉したため右側を通過しようとした自転車に扉を衝突させ転倒死亡させた事故について、被害者が片手運転をしていた事実は過失相殺の事由とすることはできないが慰藉料算定上考慮するのが相当であるとした事例
被害者は高卒後現在まで就職していて収入を得ており後遺症により金銭的損害を受けているとはいい難いが、長期的にみた場合不利益を受ける可能性があるとして就労可能時以降就労可能期間を通じて労働能力の30パーセントを喪失したものと認め平均収入を基礎として逸失利益を算定した事例
1 妻が夫婦共同保有の自動車を運転中誤って川に転落し同乗の子供とともに死亡した事故につき、夫の子供に対する損害賠償債務が、子供の同賠償債権の相続に伴う混同のため消滅したときでも、妻の子供に対する損害賠償債務は民法438条の適用ないし準用により混同消滅するものではないとされた事例
2 右事故につき、夫は妻に対し「他人」であることを主張し得るとされた事例
検察修習中被告人からの事情聴取等を行った司法修習生に対し、弁護人が弁論要旨の原稿作成等弁護活動の一部を行わせたことが、望ましくはないが訴訟手続を違法にするものではないとされた事例
自動車運転者に、私人の赤旗による停止の合図に従わないで自車の後方を進行して来る車両のありうることを予想し、自車右後方に対する安全を確認すべき業務上の注意義務があるとされた事例
右方から接近してくる足踏み自転者をロードミラーにより認めながら、時速5キロメートルの速度で見通しの悪い交差点に進入した自動車運転者に、一時停止義務違反、徐行義務違反等の過失がないとされた事例
逮捕状による逮捕に伴う強制処分に関し、余罪の証拠の発見・収集のための捜索、差押えは違法であるが、その瑕疵が小さいとして、証拠物(覚せい剤)等の証拠能力を認めた事例
町議会議員選挙において、告示直前に結成された後援会の副会長で、いわゆる選挙参謀の地位にあった者が「総括主催者」と認められた事例
遊び仲間の一人がレール上に置いた石のため急行電車が脱線転覆した事故につき不法行為による損害賠償を請求された中学生の責任を否定した事例
傷害致死につき誤想防衛の成立を認めて無罪を言い渡した原判決を破棄し、誤想過剰防衛であるとして、有罪を言い渡した事例