最も長い歴史をもつ判例実務誌
死刑確定者に対する再審公判において、着衣の鑑定結果と自白内容とが一致しないことなどを理由に自白の信用性を否定し、無罪を言い渡した事例
売買に基づく所有権移転登記手続請求権を被保全権利とする処分禁止の仮処分がその後完成した取得時効に基づく所有権移転登記手続請求権について効カを有するとされた事例
1 いわゆる振込指定の合意に基づく銀行への振込義務が否定された事例
2 選択的に併合された甲乙丙請求のうち甲請求の一部を認容しその余を棄却した第一審判決に対し原告のみが控訴した場合における控訴審の審判対象
小学校1年の女児が、通学路を下校中に豪雨のため増水していた側溝に転落して溺死した事故につき、道路の設置または管理に瑕疵がないとされた事例
高専校の柔道クラブでの練習中コーチから技をかけられ倒された直後に発生した橋静脈破綻による硬膜下血腫と右の技をかけたこととの間の因果関係が否定された事例
鉄筋コンクリート5階建建物の3ないし5階部分の所有者が、同所有部分を右建物の1、2階部分および敷地の所有者に売却交渉中であったところ、右建物の1階部分を賃借して中華料理店を経営している者であって、かつ、前記事情を知っている者の求めに応じて、右建物の3、4階部分を、中華料理店の宴会用座敷として使用させるために、当初期間2か月(その後、1年に延長)、賃料1か月金10万円(その後、12月、1月の両月を除いては、1か月金4万円に変更)で貸与した契約が、一時使用のための賃貸借契約であり、借家法の適用はないとされた事例
市議会委員会において参考人がした市会議員の地位濫用を印象づける趣旨の発言が真実性の証明がないため名誉殺損にあたるとして当該市会議員の参考人に対する慰謝料請求が認容された事例
海上自衛隊員が苛酷な体育授業および陸上訓練によって胃腸障害に罹患したことを理由とする損害賠償請求が認められなかった事例
土地収用裁決に対する審査請求後約3年9か月後になされた棄却裁決が行訴法3条5項の「相当の期間」を超えてなされたものでないとされ、国家賠償責任が否定された事例
1 公務員を兼業する漁民について漁業協同組合の組合員資格の喪失にあたらないとされた事例
2 漁業協同組合及びその役員等が組合員を除籍するためなしたいやがらせ等が不法行為にあたるとされた事例
国税過誤納金の還付金等の支払いにつき国税還付金支払通知書の送達を担当した係官に正当な権利者またはその代理人であることの確認を怠った過失があったとして、国の債権の準占有者に対する弁済の抗弁を排斥した事例
市町村職員共済組合会の議員の選挙において、5名の代議員届出書類に不備があることを理由に右代議員に投票させなかったことが違法であるとして、当選議員の地位が否定された事例
夏季一時金の支給対象期間中現実に労務を提供した労働者がその支給日前に懲戒解雇された場合において、右夏季一時金の支払請求権がないとされた事例
ボールペンによる児童記録等の書字作業業務に従事していた児童相談所のケースワーカーの頚肩腕症候群について、業務起因性を認めた事例
下腿骨骨折等の傷害で治療中の患者が、複合ブスコパン投与後程なくショック死するに至った場合に、診療関与医師らに危険発生を予見すべき義務を怠った過失がないとし、原判決を覆えし請求を棄却した事例
糖尿病性網膜症患者に対する右眼硝子体手術により失明するに至ったとし、右手術に関する説明義務違背のみを理由とする主張を認容し、右手術関与医師および病院の賠償責任を肯定した事例
1 息子運転の自動車に同乗中息子の起した事故に遭遇した父親が息子とともに右自動車の共同運行供用者ではあるが、運行支配の程度から自賠法3条の「他人」にあたることを主張できるとされた事例
2 被害者の相続人が訴訟手続受継後も、被害者の後遺障害に基づく損害算定期間の終期を被害者死亡時ではなく、被害者が死亡しなければ就労可能であった期間の終期であると主張していたような場合において、右主張には予備的に追加された被害者死亡に基づく損害賠償請求権の消滅時効中断効があるとされた事例
プラットホームで電車を待っていた3歳の幼児が通過電車の風圧により転倒して死亡した事故につき、電車運転手がなした警笛の吹鳴のみでは、ホーム上の旅客の安全を確保すべき電鉄会社の具体的義務の履践として十分ではないとして同会社に損害賠償責任を認めた事例
中学校国語科教諭が交通事故により頚髄損傷、左上肢廃失、左下肢不完全麻痺の後遺障害を負い、右症状固定の診断を受けた時から約6年後に退職した事案について、右障害と退職との因果関係を認めたうえ、右症状固定診断時点では右障害が明らかであったとしても退職に至ることを予測することは不可能であったとして、後遺障害に基づく損害のうち、右退職による損害については消滅時効が完成していないとした事例
症状固定後も悪化している胸部臓器の機能障害を交通事故と相当因果関係あるものとして現症状を含め100パーセントの労働能力喪失率を認めた事例
保険契約者(かつ被保険者)またはその代表取締役に重大な過失があったとして火災保険契約および損害保険契約に基づく保険金請求が棄却された事例
1 船主責任制限法(昭和57年法律第54号による改正前)により権利の制限を受けた被害者の国に対する損失補償の請求が排斥された事例
2 同法の立法に際し国会審議において政府職員のなした答弁・説明および国会の同法の立法行為が違法でないとして国賠請求が認められなかった事例
商法237条ノ2の検査役選任申請が総会開催前になされたが抗告審での審理中に右総会期日が経過したときは右申請の利益は失われるとされた事例
自家用自動車保険に加入していた被保険者が橋の上で交通事故を惹起し車外へ脱出した後、川に転落、溺死した場合について、右死亡は傷害の直接の結果であるとして右保険の自損事故条項、搭乗者傷害条項に基づく死亡保険金の支払請求が認められた事例
取締役会は設置されていないが、代表取締役が定められている有限会社の名目的取締役の代表取締役に対する監視義務に関し、監視義務の懈怠がないとして、有限会社法30条の3に基づく取締役の第三者に対する責任が否定された事例