最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 罹災都市借地借家臨時処理法第10条の借地権者が同法施行後借地上に建物を建設した場合と同条による借地権の対抗力の有無 2 賃貸借の目的土地の接収による賃貸人の債務の履行不能と賃貸人の事情変更を理由とする解除の許否
処分禁止の仮処分前の処分行為に基く権利取得とその登記が仮処分登記後になされた場合の効力 〔37〕仮処分債権者の仮処分に反してなされた登記の抹消請求
1 使用者が故意又は重大な過失によって事業の継続を不可能ならしめた場合は、労働基準法第20条第1項但書にいわゆる「やむを得ない事由のため事業の継続が不可能になった場合」にあたらない。 2 同法第20条の準用する同法第19条第2項により、行政官庁に対して「やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった」ことについて認定の申請があった場合、その事案の内容が複雑で判断が困難であるときは、その裁定に相当の日子を要したとしてもそれだけで当該公務員に職務上の怠慢ないし義務違背ありとはいえない。
1 自作農創設特別措置法により買収処分の対象となった農地上に生立する桑樹がある場合、それが立木法にいう立木もしくは別に明認方法を施した樹木でないならば、国が特に買収計画から除外しない限り右桑樹の所有権は民法の一般原則に従い農地の買収処分により当然国に移転する。 2 桑樹の生立する農地の賃貸にあたり、地主たる賃貸人が小作料を徴するほか桑葉は地主が自ら採取することとしてこれに従っていても、この関係が一種の分益小作と認められる場合には、これによって桑樹や地盤をはなれて別個の権利の客体とする明認方法がされているものということはできない。 3 農地上に桑樹のあることが農地に対しプラス・マイナス両面の影響を与えるが、全体としてはマイナスの効果に帰する場合、桑樹とともにする農地買収にあたり、この現実にもとずき桑樹自体の価額を算定せず農地について法定の最高額の対価が支払われたときは、桑樹を対価なくして買収したということにはならず、従って憲法違反の問題を生じない。
運送会社の貨物係が託送を受けない貨物について小口扱貨物通知書甲片を発行した場合、これに記載どおり貨物の発送があったと信じた者に対し、会社は損害賠償責任がある。
1 借地契約において20年より短い期間を定めたときは、借地法上当然20年の期間のものとなる。 2 裁判上の和解により借地契約を定めたときも借地法第5条の適用がある
借地法第17条にいう朽廃とは建物がその構造部分に生じた腐蝕状態により、全体としてもはや通常の保存方法によってはその存立を維持し得ず、建物としての社会的経済的効用を失い建物としてなんらの価値と意義を有しなくなったものをいう。
旧利息制限法所定の制限を超過して支払った利息は民法第708条の不法原因給付であって同法第705条を適用すべきでなく、当事者がその不法であることを知ると否に拘らず返還を請求し得ない。
民訴第544条1項後段、第522条2項にもとずき執行裁判所が発した執行停止令に対する不服の理由として、本案たる仮処分命令の執行方法に関する異議の申立が理由がないことを主張することは許されない。
1 建物が差押えられまた抵当権が設定され各その登記がある場合でも、借地法第10条の買取請求権の行使を妨げない。 2 借地権譲受後譲受人が建増した部分が家屋面積に比してきわめて僅少で、かつ従前部分と一体をなし、この効用を減殺せずして撤去することが困難であり、さらに増築により従前家屋の効用を増加こそすれ減少することがない場合には、右借地権譲渡につき賃貸人の承諾のないとき、増築部分をも含めて地上家屋の買取を請求し得る。
1 執行吏取調の結果賃料が不明の場合には競売期日の公告に「賃料は不明」としても違法でない。 2 右公告に前年度の公租公課金額が記載されていても、前年度のそれと当該年度のそれとの間に競売代金決定に影響するような改変がなければ、右記載は租税その他の公課の記載を欠くとはいえない。
競売法による不動産競売手続において、競売申立の登記があればこれによっても差押の効力は生じ、かつ競売期日の通知があれば知らない間に所有不動産が競落されるということにならないから、競売開始決定が債務者兼所有者に送達されないことは、競落不許の事由とならない。
競売期日の公告に存在しない建物の記載があり、また建物の登記簿上の坪数と実測坪数とが著しく相違するのに実測坪数の記載がないのは違法で、かかる公告にもとずく競落は許すべきでない。
強制和議の提供があった場合において右提供が破産債権者の一般の利益に反しかつ破産債権者の有利にその条件を変更することを期待し難いこと明かなときは裁判所は債権者集会を開くことなく直ちにこれを棄却し得る。
1 再売買完結の意思表示当時売買物件の引渡が原始的に不能であるときは、再売買完結の意思表示はその効力を生じない。 2 右不能は不可抗力により発生したると当事者の有責行為により発生したるとを問わない。 3 再売買予約の目的物中一部消耗品は戦中戦後の物資不足の折に消耗され、他の物権は第三者に譲渡されて他の用途に使用され、直ちに売戻を承諾するかどうか分らず、しかも予約当時と完結の意思表示の時との間に貨幣価値の著しい変動、物価の驚異的値上りがあり相手方が第三者から物権を取得するには当初想像もつかぬ高価のものたるべき事情があるときは、再売買予約物件の引渡は社会通念上不能というべきである。
旧自創法第5条第3項の「当該農地の所有者が当該農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込があるとき」とは、同条が本来不在地主である者をそうでない者とみなした規定であること、引き続き配偶者その他所定血族がその農地で耕作の業務を営んでいることを一要件としたこと、農業委員会は2年ごとに審査して該当の有無を決することから考え、農地所在の市町村区域内に住所を有しなくなった者が、再び住所を有するに至る時期、すなわち農地所在地に残した家族と結合される時期を、2、3年と限定しないまでもさまで遠くない将来に予定し、これを前提として帰住見込の認定を委員会の良識に委ねたものと解すべきである。
他人が多大の広告宣伝費を投じて広く認識されるに至った未登録商標の名声を、自己の利益に用いんとし、たまたま第三者が所有し全然使用されていなかった類似の登録商標を譲り受け、これによって右他人の商標の使用を禁圧しようとするのは、権利の濫用として許されない。
公職選挙法第202条の異議に対する決定については、これに対する訴願が提起された後は右決定に対する不服の訴訟は許されない。
1 証券業者の外務員に金員を預け外務員の判断で株式売買取引をさせることにより元金のほか一定の利益を保障させた場合、右契約が客と外務員個人との間でしたものであるときは、証券業者にはその責任はない。 2 第一次の請求と請求原因を異にする第二次の請求を予備的に追加するとき、これを民訴第139条により却下することはできない。
1 解雇基準と憲法14条 2 解雇基準に該当しない実例 3 組合のした解雇基準協定の効力 4 予告手当金等受領と解雇の効力
1 昭和22年勅令第9号婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令第2条と横浜市風紀取締条例第6条第1項及び第7条との関係 2 自治体警察(横浜市警察)の廃止と横浜市風紀取締条例の効力