最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 厚生省援護局の身上調査票の記載の誤りを理由とする慰藉料および謝罪広告の請求が認められなかった事例
2 他人の保有する個人情報に誤りがあり、そのことにより社会生活上不利益ないし損害を被る高度の蓋然性があるなど判示のような事情がある場合には、右個人は、人格権に基づいて右誤りの抹消ないし訂正を請求することができる
地方鉄道法21条は鉄道利用者の利益を具体的な法的利益として保護していないので、右利用者は同鉄道の特急料金変更認可処分を争う原告適格を有しないとされた事例
税関長により公売に付された収容貨物を取得した最終消費者等が右貨物に存した瑕疵により損害を被った場合において右損害の発生につき税関長に過失があるとするための要件
地方自治法242条の2第1項1号に基づく住民訴訟による差止請求権を被保全権利として執行機関または職員に対し差止めの仮処分を求めることの可否(消極)
1 相続財産の分与を受けた特別縁故者の相続税納付義務発生時期は、該分与審判確定時ではなく、被相続人死亡時である
2 特別縁故者が財産分与の審判を受けるために支出した裁判費用等の経費は分与財産評価にさいし控除することはできない
し尿浄化槽清掃業の許可についての廃棄物の処理及び清掃に関する法律9条(昭和58年法律第43号による改正前のもの)にいう許可は自由裁量処分ではない
1 住民登録を隣町に変更しても、その生活の本拠、場所的中心が従前の住所にあるとして市県民税を賦課したことが違法ではないとされた事例
2 市長が地方税法294条3項により、当該市町村住民基本台帳に登載されていない者に課税する場合は、当該市町村が職権をもって登載訂正措置をとることが望ましいが、右措置をとらないで課税したとしても違法とはいえない
3 市県民税納税通知書が納税義務者の住所ではなく、居所に送達されたとしても適法である
1 柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準を定めた厚生省保険局長通知(昭和33年保発第64号及び同53年保発第14号)が、健康保険法(昭和55年法律第108号による改正前のもの)43条ノ9第2項により療養に要する費用の額の算定方法を定めた厚生省告示(昭和33年厚生省告示第177号)によって算定される額を一応の基準としており、かつ、内容的にも同法44条ノ2第1項の規定の趣旨に適合した合理的なものであるとして、神奈川県知事が右通知に従ってした柔道整復師の施術に係る療養費の支給額決定が適法とされた事例
2 神奈川区長が国民健康保険法(昭和55年法律第108号による改正前のもの)54条3項による裁量権に基づいて柔道整復師の施術に係る療養費の算定方法として合理性を有する右保険局長通知を適用してした柔道整復師の施術に係る療養費の支給額決定が適法とされた事例
3 柔道整復師の施術と医師の治療とを同一に取り扱うことは適当ではなく、柔道整復師の施術について医師の治療に適用される前記厚生省告示とは異なる療養費の算定基準を設けることに合理性があるとした事例
4 前記保険局長通知は協定料金を実施している協定団体に所属している柔道整復師のみに適用されるものではないとした事例
1 再度の監査請求は、特段の事情なく同一の違法事由を理由とする場合、または前監査請求の監査において判断された事由を理由とする場合、不適法である。
2 指名競争入札において最低制限価格の設定事実を入札日の6日前に指名業者に通知したことが違法でないとされた事例
労働組合の内部対立から一部の組合員が集団的に脱退して結成された新組合から、もとの組合に対する組合財産の持分権確認及び分割請求が認められなかった事例
雇用者が、いったん解雇した従業員を緊急命令に従って復職させ、バックペイの支払いも了した場合と従業員たる地位を仮に定め賃金仮払いを命ずる仮処分の申請につき、保全の必要性が否定された事例
バス会社の定めた乗務中の私金携帯禁止の確認書への押印を拒否した同会社乗務員に対する懲戒処分(諭旨解雇)が無効とされた事例
原職復帰の緊急命令違反に対する過料額を決定するに当り、対象労働者の員数と賃金相当額の支払いの有無等の個別的事情に特段の悪質・重大性がない限り、1回の不履行通知ごとに10万円以下とするのが相当であるとの裁量基準を示した事例
解雇無効を理由として、労働契約上の地位の確認および賃金の支払いを求める訴訟において、解雇は無効とされたが、本案判決確定後の賃金請求については、予めその支払請求をする必要がないとして、右請求に関する訴えが却下された事例
懲戒解雇により会社従業員たる地位を喪失した期間について、会社が支払った地方税・社会保険料(健康保険、厚生年金保険)の立替払いが、不当利得として、その返還が認められた事例
労働組合から除名された労働者に対し、使用者がユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として行う解雇は、右除名の決議前に適法に組合から脱退している場合には無効となるとされた事例
会社の出張命令がその不況対策の一環としてなされた合理的なものであって、右出張命令の拒否は懲戒事由に該当するとし、これを理由としてなされた懲戒解雇は、不当労働行為や権利の濫用にはあたらないとして、右解雇が有効とされた事例
地公法28条に規定する在職中の欠格事由たる「地方公務員が禁錮以上の刑に処せられた場合」に該当するとして失職の通知をした担当官庁の処分が適法とされた事例
会社の従業員制度として、中途入社社員につき、最初は見習社員として採用し、次いで試用社員、さらに社員登用試験を経て、正社員となるとしている場合に、社員登用試験の不合格を理由として、試用期間中の社員として通常解雇することは解雇権の濫用にあたるとされた事例
いわゆる一般労組は、下部組織としての分会が現に組合事務所として使用している建物部分に占有権を有するとして、右占有権に基づく右建物譲受人に対する妨害排除の仮処分が認容された事例
銀行の支店の貸付係長から副係長(渉外担当)への降格を命ずる業務命令が、当人の組合活動を嫌悪してなされた不当労働行為であると認められた事例
有効期限3年の高校臨時免許状を有している者を雇用した被告学校法人が、臨時免許状の再出願について協力をしないで、期限到来により資格の喪失を理由とする解雇が解雇権の濫用にあたるとされた事例
事故後成立した示談書に関して、被害者の蒙った損害につき、最終的解決としての合意が成立したとは認められないとされた事例
1 従業員に、石炭運搬用のコンベアを切り詰める作業を命じた会社に、右コンベアの操作盤、操作スイッチの安全装置等の安全を放置した過失があるとして、使用者たる会社に安全配慮義務違反を認めた事例
2 厚生年金保険法、労働者災害補償保険法、または、石炭鉱業年金基金法に基づき、政府が将来にわたり継続して保険金等を給付することが確定している場合に、右保険給付が現実になされ、損害が填補された場合にのみ、損害額から控除すべきであるとされた事例
会社側の被害者・目撃者の供述を排斥し、組合員たる被告人らの供述に副う比較的軽微な有形力行使の事実を認定したうえ、その目的・態様、必要性等にかんがみ、相当性の範囲内にあるとして、無罪の言い渡しをした事例
河川の浸水により被害を受けた住民からの国家賠償請求事件において、被告大阪府、同大阪市が所持する抽水所等のポンプの運転記録等が法律関係文書に当たり、かつ、内部文書であっても提出義務を免れないとされた事例
小学校の児童等の集団肝炎の発生が、し尿槽から漏れた汚水が児童飲料用井戸水に混入したことに起因するものとして、学校設置者の損害賠償責任が認められた事例
信用組合が、資金繰りに追われている会社経営者に500万円を貸し付けるにあたり、回収困難な他人の債務144万円を引き受けさせてその支払いを受けるなど、判示のような事情のもとにおいては、右債務引受契約は独禁法19条、民法90条に違反して無効であり、かつ、右貸付契約中、実質貸付額356万円とこれに対する約定利息・損害金を超過する部分の約定は、民法90条に違反して無効であるとされた事例