最も長い歴史をもつ判例実務誌
国が営林署の伐木造材等の作業員に自動鋸(チェンソー)、枝刈払い機(ブッシュクリーナー)を使用させ、振動障害を起こさせたが、当時の知見をもってすると振動障害の発生を予見できず、予見しなかったことに、国家公務員災害補償法に基づく、いわゆる労災補償をする以上に非難さるべき違法性はないとみるのが相当とした事例
1 薬事法12条1項所定の医療用具の小分け行為にあたるとされた事例
2 薬事法12条1項、64条、55条2項の各規定を適用しても憲法22条1項に違反しないとされた事例
訴え提起後に追加された予備的請求と、当初の請求(主位的請求)とは、その対象たる債権の帰属主体や内容が異なるが、両請求は社会的経済的にみて同一ともいうべき取引関係を基礎とし、その審理のための証拠資料もほぼ共通していることから、請求の基礎の同一性を認め、右予備的請求を訴えの変更として許容すべきものとした事例
近隣地代が公租公課の2倍ないし3倍を基準として決定されるのが一般である事実を認定し、この基準による方法、賃貸事例比較法、スライド方式等を併用した鑑定結果を考慮して、公租公課の約3倍を相当地代とした事例
担保権実行としての不動産競売において、競売申立て債権について、債務者から委託を受けて連帯保証をなした者が、買受け申出人となることができるか(積極)
同種の契約においてしばしば紛争が生ずる例があっても、当該事件の具体的事実関係から将来紛争が予想されると認定できる場合でなければ、民訴法356条1項の「民事上ノ争」があるとすることはできないとした事例
市職員の退職手当金請求権に対する破産宣告前の保全処分としての仮差押えにつき旧民訴法618条の差押禁止債権の規定の準用があるとした事例
民執法10条8項によるいわゆる再度の執行抗告の理由は、同条5項による執行抗告却下決定の取消しを求める事由に限定されるか(積極)
債権者、債務者および第三債務者間において、第三債務者の債務者に対する支払いは債務者指定の口座に振り込む旨の合意が成立したにかかわらず、第三債務者が債務者に直接支払ったため、債権者の債務者に対する債権が満足を受けられなくなった場合において、第三債務者が右合意のさい、債権者債務者間の債権担保目的利用関係を知っていたなど判示事情があるときには、第三債務者は、債権者に対し過失による不法行為責任を負うとした事例
生コンの積み込みにつき注意義務を怠った船長について商法705条により船舶所有者に対し沈没により生じた損害賠償責任を肯定した事例
1 建設共同企業体は民法上の組合の性質を有するとした事例
2 請負代金債権につき代理受領委任契約が締結されている場合において、請負人である建設共同企業体の一員と注文者が請負契約の変更契約を締結したことに違法性がないとして損害賠償責任が否定された事例
和解申し立て当時に、現在の紛争が存するか、あるいは将来の紛争の発生が予測されるような具体的な事実関係の存しない場合は、民訴法356条1項の「民事上ノ争」があるとすることはできないとした事例
拘置所被収容者の病院への搬送処置等につき同拘置所職員に過失があるが、その死亡との間に因果関係が認められないとして請求が棄却された事例
頭部外傷患者の頭蓋内血腫による死亡事故につき、必要な検査等の懈怠、転医等の措置の遅延に関する医師の過失を認めたが、右措置による救命が困難であるとして、死亡との間の因果関係を否定した事例
肝硬変罹患患者が交換血漿療法施行後死亡するに至った事故につき、関与複数医師らに右措置並びに説明について義務違背がないとされた事例
殺人、同未遂事件について、被告人は犯行当時、慢性覚せい剤中毒に急性覚せい剤中毒症状が加わった精神障害のため、心神耗弱状態にあったものと認めて無期懲役を言い渡した事例
強盗致傷、銃砲刀剣類所持等取締法違反事件について、被告人は犯行時、てんかんによる性格変化及び痴呆のため心神耗弱状態にあったものと認めた事例
環境アセスメントが不十分であることを理由に、ごみ処理施設の操業差止めを命じた仮処分判決に対し、公益上回復することのできない損害を生ぜしめるおそれがあるとして、右判決の執行停止申立てを認めた事例