最も長い歴史をもつ判例実務誌
造船所で働く労働者の難聴が職場騒音によるものであるとして会社の安全配慮義務違反を理由とする損害賠償責任が認められた事例
行政処分の取消訴訟に併合して提起された訴えが併合要件を満たさない場合に不適法として却下することなく管轄裁判所に移送すべきものとされた事例
緊急発進訓練中の自衛隊機から緊急脱出したが、落下傘が完全に開かずに自衛隊員が墜落死した事故につき、国の安全配慮義務違反による損害賠償責任が認められた事例
弁護士が依頼者との間で締結した訴訟委任契約における着手金、報酬額もしくは報酬の算定料率に関する約定が、民訴法281条1項2号所定の「黙秘スヘキモノ」に該当しないとして弁護士の証言拒絶が理由がないとされた事例
他人の土地建物の売買契約において、袋地について通行地役権設定・移転の約定がなされたとしたうえ、右債務の不履行による右売買契約の一部解除が認められた事例
手形債権に関する仲裁契約およびこれに基づく仲裁判断は、右仲裁契約当事者からその手形を善意取得した者を拘束するか(消極)
交差点で一時停止を怠った高校生が白バイに追跡されて逃走中、バランスを崩して道路筋の鉄柱に激突して死亡した事故につき、白バイの追跡行為に違法性ないし過失がないとして、東京都の賠償責任が否定された事例
新聞記者の醜聞及び犯罪加功に関する週刊誌の記事について名誉毀損の成立を認め、雑誌社と情報提供新聞記者に対し、謝罪公告の掲載と損害賠償の支払を命じた事例
インフルエンザ等の患者に対して行った試験紙法による尿糖及び尿蛋白の半定量検査が診療上必要なものと認められ、その診療報酬請求が認容された事例
先順位の抵当権者がいたため競売手続で抹消された所有権移転仮登記権者(仮登記担保権ではない)から、後順位の根抵当権者に対し、その受領した不動産競売による配当金が不当利得にあたるとしてなされた右配当金相当額の返還請求が認容された事例
内整理の発表にもとづき債権者が強引に商品を引き揚げた行為が、取引上の債権の確保ないし回収の手段、権利行使、自力救済行為としては社会通念上許容された限度を越えるものとして、不法行為を構成するとされた事例
コンビット(コンクリート壁に釘を打込む機械)操作中の労災事故につき、使用者の安全配慮義務違背が認められたが、コンビット製造業者には使用方法等につき指示説明ないし情報提供義務の違背がないとされた事例
高血圧症の基礎疾病を有する運輸会社作業員が、荷物仕訳作業中に高血圧性脳出血で倒れ第二次性脳幹損傷による呼吸停止により死亡した場合に、右死亡が業務に起因するものとは認められなかった事例(第一審は肯定)
消防学校の給食調理作業等に従事する技能吏員としての原告が、調理作業に従事中、炊飯器上段の釜に篭に入っていたお米を入れようとして足を滑らせ篭を落しそうになった際、咄嵯に首を左に曲げて頭と首で受けとめたため、頚椎捻挫の傷害を負ったとして公務上の労務災害の主張をしたが、その労災発生の事実は認められないとされた事例
分娩後の産婦の死亡事故につき、血管内凝固症候群によるショック等が原因であるとし、当時の医療水準上、分娩関与医師らに過失が認められないとして、原審の判断を覆えした事例
交通事故による被害者が約7か月後に心筋梗塞で死亡した場合に、事故と死亡との間に相当因果関係を認めたうえで、高血圧症などの被害者の体質的素因を考慮し、事故と因果関係にある損害を割合的に認定した事例
歩行者用信号が赤色であったのにこれを無視して横断歩道上を歩行しあるいは途中で佇立していて交通事故に遭った被害者に8割の過失を認めた事例
9歳男児の死亡事故において逸失利益を算定するについて賃金センサス18ないし19歳男子労働者の平均賃金を基準とし年別ホフマン式によるのが妥当であるとした事例
1 信用金庫は、商人ではない
2 債務者が信用金庫に対する債務を履行しなかったときは、信用金庫はその占有する債務者の手形を取立てまたは処分することができ、その場合右取立金を右債務者の債務の弁済に充当できる旨の条項(信用金庫取引約定書4条3、4項)は、右債務者破産後の破産財団に対抗できない
新株式の発行不存在または無効請求権を被保全権利として求めた株主総会における議決権行使禁止の仮処分における本案訴訟は、右新株発行無効の訴えであるとした事例
木材販売を業とする有限会社の代表取締役ならびに取締役(代表者の妻)に対し、放慢経営や誤認取引を理由としてなされた有限会社法30条ノ3による損害賠償請求が排斥された事例
宗教団体の指導者の女性関係の乱れを指摘した文書による名誉毀損行為につき、被摘示事実の公共利益該当性、目的の公益性を肯定しながら、真実性の立証等がないとして名誉毀損罪の成立を認めた第一審判決が維持された事例
損保会社に保険料集金の義務があるが、集金しなかったことによる顧客の滞納に信義則違反があるとして、会社より顧客に対する保険料不払いを理由とする保険契約の解除を有効とした事例