最も長い歴史をもつ判例実務誌
青色申告書提出承認の取消処分と処分の基礎となる事実関係の全部又は一部を共通にする更正処分に対し不服申立てが経由された場合と右取消処分に対する不服申立て経由の必要
選挙管理委員会がした選挙に関する啓発、周知等の活動が公職選挙法205条1項にいう選挙の規定違反にはあたらないとされた事例
放送線仮引渡仮処分決定を事情変更を理由として取消す旨の判決確定前に、右放送線接続の引込線を切断して新架設放送線に接続した場合につき、その原状回復請求権が肯認されず、また、これが違法行為にも該当しないとされた事例
ビルの区分所有者等が設立した管理組合の委員長が地位を悪用して管理費の負担を不当に配分し巨額の管理費の支払を免れている旨の文書を配布したことが、名誉毀損の不法行為を構成するものとされた事例
公物である橋梁及びその取付道路等と不可分一体をなす土地につき、用途廃止がなされたにもかかわらず時効取得の成立を否定した事例
国民健康保険税条例において、税率を定率ないし定額によって定めず、課税権者に課税総額の確定を委任し課税権者が右課税総額を基礎に税率を決定する旨規定することが、憲法92条、82条に違反するとされた事例
1 総評の春闘統一行動の一環としての地区労働者協議会主催の集会に参加するための高校教員の平次休暇の請求が争議行為にあたらず、かつ事業の正常な運営を妨げるものではないとされた事例
2 高校の物理の期末試験の行われる日について出題教員のした平次休暇の請求が事業の正常な運営を妨げる場合にあたるとされた事例
1 対向車どうしの衝突事故につき、進路前方の道路の形状に照らし、大型車両が道路中央線をはみ出して進行してくることが予想されるので、対向車運転者としても前方を注意してできる限り左側に寄り、かつ、交通の状況に応じて安全な速度と方法で進行すべきであるとし、これを怠った被害者に35パーセントの過失相殺を認めた事例
2 自賠責保険から死亡に至るまでの傷害による分として支払われた保険金も死亡による損害に弁済充当されるとした事例
1 交通渋滞の激しい国道において、先行する大型貨物自動車を追抜こうとうとして道路左端の路肩部分に単車を乗り入れ進行しようとした被害者が、同部分に繁茂していた雑草に車体が引っかかり右側に転倒したため、右大型貨物自動車にひかれ死亡した事故につき、国道の管理の瑕疵があるとされた事例
2 右事故につき、大型貨物自動車保有者に自賠法3条ただし書の免責を認めた事例
交通事故により左腎破裂等の傷害を受けた被害者の死亡に基づく、右事故加害者及び診療医らに対する損害賠償請求につき、医師のウィルムス腫瘍診断及び転医指示上の義務違背を否定し、右事故加害者に対し、右傷害後遺症及び血清肝炎の限度で責任を認めた事例
関節穿刺による化膿性膝関節炎の結果につき、その原因を確定せず、いずれかの汚染防止義務の違背があるとして、開業医の不法行為責任を肯定した事例
急性虫垂炎に起因する汎発性腹膜炎の術後エンドトキシンショックによる患者の死亡事故につき、関与医師に診断及び開腹手術施行上の過失がないとされた事例
1 役員選任の株主総会決議取消しの訴えの係属中、その決議に基づいて選任された取締役ら役員がすべて任期満了等により終任し、その後の株主総会の決議によって取締役ら役員が新たに選任されたときは、さきに選任された役員らの行為によって会社等が損害を蒙り、その回復のため右決議を取消し役員の地位を否定する以外に方途がない等特別の事情のない限り、右決議取消の訴えはその利益を欠くに至る
2 株主総会における取締役選任決議が取消されると、右役員らに支給された報酬、交際費等を取戻し、右役員による金融機関との間でした借入金の利率改定の効力を否定しうる等の事情は、右決議取消しの訴えの係属中旧役員の終任及び新役員の選任により右訴えの利益を失わしめない特別の事情に該当しないとした事例
商法270条1項による代表取締役の職務執行停止、代行者選任の仮処分がなされた場合、右仮処分決定に別段の定めがある場合を除き、職務代行者が本案たる株主総会決議無効確認請求訴訟について会社を代表して訴訟を追行する権限を有するものと解すべきである
株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款変更がされ、会社が公告した株券提出期間が満了して旧株券が無効になったのちも、新株券が発行されていない場合は、右期間経過前に株券を適法に譲り受けた株主は会社に対して有効な株券の呈示なしに名義書換の請求ができるとした事例
サラ金業者らから多額の借入れをしていたサラリーマンが、自己の退職金をもって債務の一部を弁済し債務を整理しようとの意図のもとに勤務先に退職願を提出したことをもって、黙示の支払停止があったものと認めた事例
会社の任意整理において、債権者が債務者の債務を一部免除したときは、連帯保証人の保証債務も主たる債務の免除の限度まで減免されるとされた事例
ゴルフ倶楽部の入会金等の支払を担保するために振出されたいわゆるマル専手形であっても、手形授受の当事者間に暗黙の譲渡禁止の特約がされたと推定することはできないとされた事例
日本の商社が輸入した商品が国外で運送中に盗難にあって損害を被った場合、その損害を填補した日本の保険会社の外国の運送会社に対する損害賠償請求訴訟については、日本の裁判所に管轄権があるとされた事例
リース業者から賃借して設置した電子計算機が雨水の漏水により冠水するという事故につきビルの所有者の設置、保存の瑕疵による責任を認め、リース業者に保険金を支払った保険会社の商法662条に基づく代位請求が認容された事例
株主が会社に対し取締役の責任を追及する訴の提起を請求することなく代表訴訟を提起したが、その訴訟係属中改めて会社に対し請求をなし、会社が右請求を受けてから30日内に訴を提起しなかった場合、右訴のかしは治ゆされるとして中間判決をした事例
1 住民訴訟を提起した原告が他に転出して住民でなくなったとき、その訴は不適切になる。
2 箕面地区戦没者遺族会が主催した忠魂碑前での慰霊祭及びその準備のため、市の財産である市庁舎会議室、事務用紙、封筒、マイクロバス、乗用車を使用させた場合、箕面市長には、これら市の財産の管理権がない(外部委任)から、同市長がこれらの市の財産の違法使用者若しくは消費による損害賠償義務を負わない。
3 教育長が慰霊祭に私人として参列し2時間分の給与の過払を受けた場合、一次的には、過払を受けた職員との関係で清算措置が講じられるべきであり、これを行っても自治体に現実に損害が発生した場合に限って、第二次的に支出命令をした市長の損害賠償責任を問われる関係にある。
4 小学校長が、慰霊祭のため教育財産(机、椅子、校長室、便所など)を使用することを許可することは、箕面市立学校管理運営規則9条但書の「定例軽易な事項」に該当する。
5 教育長が、慰霊祭という宗教儀式に参列し玉串を奉奠したり焼香することは、憲法20条2項との関係上、その公務となりうるものではなく私的行為であるから、この参列した時間分の給与の過払は、不当利得として市に返還する義務を負う。