最も長い歴史をもつ判例実務誌
新幹線の運賃を在来線の営業キロを基準として算出したとしても、運賃法が予定している裁量の範囲内に属し、運賃法3条に違反しないとされた事例
遺留分権利者が、選択的にせよ、受遺者に対し、民法1041条の価額弁償を請求しているときは、受遺者が現実の価額弁償をしなくても、遺留分権利者の現物返還請求権が消滅したとして、価額弁償を命ずることができるか(積極)
仮差押された不動産を買い受けて所有権移転登記を経由した者は、その後右売買契約を解除して代金返還請求債権を取得したとしても、右不動産所有権喪失について登記を経由していない以上、右仮差押から移行した強制競売手続の配当に参加することができないとされた事例
「中央公論」に掲載された論文によって名誉を毀損されたとする連続ピストル射殺犯人永山則夫の損害賠償等の請求が、名誉毀損を構成しないとして棄却された事例
確定判決の違法を主張して国家賠償の請求をするためには、原則としてまず再審の手続により右確定判決自体を取り消すことを要するとされた事例
電柱に添架された有線音楽放送の線条を数か所において切断した仮処分の執行につき国および電々公社の賠償責任が否定された事例
1 要素の錯誤又は詐欺を理由とする原告(被相続人の後妻)と被告(被相続人の先妻の子)間における遺産分割の無効又は取消の主張が排斥された事例
2 債務不履行を理由とする遺産分割の合意解除の許否(消極)
1 リース業者の定める普通契約条款により定型化されている料金、条件等のもとにリース業者から賃借した物件を右契約と同一内容の契約で会社に転リースする行為が商法265条にいう取引にあたらないとされた事例
2 商法265条違反を理由として取引の無効を主張できるのは会社だけであって、取引の相手方である第三者については、これを否定すべきものとされた事例
子会社の全株を所有し、かつ従業員の1人をその代表取締役として派遣している親会社に対する法人格濫用を理由とする損害賠償請求を棄却した事例
担保物件を換価して弁済を受けることを内容とする不動産譲渡担保権の消滅時期は、担保権の実行としての第三者への所有権移転時期と解するのが相当である
船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の責任制限規定による損害賠償債権の行使の制限と憲法29条3項を根拠とする損失補償請求(消極)
相続による不動産の持分の取得を理由とする更正登記手続を求める訴の提起並びにこれを本案とする処分禁止仮処分の申請が不法行為に当るとして、これが応訴に要した弁護士費用の賠償を認めた事例
1 土地の無断転貸につき背信行為にあたらない特段の事情があるとはいえないとされた事例
2 土地の転借権の時効取得が認められないとされた事例
1 住宅手当を割増賃金算定の基礎に算入すべきものとした事例
2 労働協約が労基法37条を潜脱する目的で締結されたものとして無効であるとされた事例
民法395条所定の短期賃貸借が通謀虚偽表示に当り無効であるとして当該不動産の競落取得者からの右賃借権登記の抹消請求を認めた事例
整理会社の「債権者委員会」あてに提出された右会社代表者の「連帯保証書」によって、右代表者と整理会社の債権者間に連帯保証契約が成立したものとされた事例
1 民法110条の表見代理の成否につき相手方が本人に代理権授与の有無を確認しなかったとしても過失があるとはいえないとして肯定した事例
2 公正証書上の執行認諾の意思表示と民法110条の適用の有無(消極)
偽造のため支払いに応じられない旨の付せんが付されて不渡返却を受けた手形の支払いを求めた訴訟の提起が不法行為を構成しないとされた事例
1 殺人被疑事件に関する捜索差押の執行に際し、工場の宿舎部分を捜索場所とする令状については、宿舎の居室に立ち入るに先立って令状を呈示すれば足りるとされた事例
2 工場を捜索場所とする捜索差押の執行に際し、警察官が工場の表門の施錠を破壊したとしても、違法とはいえないとして損害賠償が否定された事例
コンクリートカッターを操作して舗装道路面の切断作業に従事中カッターのブレードの一部が切損しその破片が安全カバーを突き抜けて眼に入ったと主張する者の事故につき、右カッターの安全装置に瑕疵があったとはいえないとして、右カッターの製造会社及び販売会社の損害賠償責任が否定された事例
バックホー(建設重機)を試運転車に装着してスイングストッパーの調整作業に従事中右バックホーの横転により作業員が下敷となって死亡した事故につき、完成検査担当者のレバー操作のミスを原因とする右担当者の使用者に対する損害賠償請求が認められた事例
建築確認申請に際し行政庁が建築主に建築法規上必要とされる浄化槽のほか汲取槽を設置するよう勧告したとしても、それが近隣住民らの意向にそうものである以上、違法であるとはいえないとされた事例
住宅地域において、ガス管敷設工事に伴う土砂及び砕石等の集積、積出し作業によって発する騒音、振動が、大阪府公害防止条例に定める規制値を超える場合であっても、社会通念上受忍限度を超えるものではないとして、損害賠償請求が棄却された事例
何らの権限もないのに、他人の土地上に建物を所有して土地を不法に占有している建物所有者が、土地所有者を相手方として右建物の所有権確認を求める訴の利益があるとされた事例
国が、国有財産法上の行政財産である庁舎を共済組合に無償で使用貸し、共済組合が、業者に右庁舎のうち食堂部分を使用して、食堂及び喫茶店を経営することを委託する旨の契約が締結された場合において、右契約関係は、準委任契約と建物賃貸借契約の混合契約ではなく、準委任契約と食堂部分の無償の使用許諾との結合した特殊の法律関係であるとされた事例
1 韓国内で締結された債務引受契約につき日本法を準拠法とする黙示的合意があったと認められた事例
2 ウォンをもって債権額を指定し、かつ、これを日本円に換算して支払う合意がなされた場合につき、その換算率は、履行地の現実の支払時期の換算率によるべきものとした事例
訴訟の当事者本人が左膝窩動脈閉塞症のため入院して手術を受けその後も通院加療中である場合に、控訴審裁判所が訴訟手続中止の措置をとらなかったとしても、違法とはならないとされた事例(名古屋地裁昭和57年2月17日)
建物の表示登記申請と所有権保存登記申請が同時にされたが右表示登記申請については実施調査等を要するため即日登記されない場合には、登記官が右所有権保存登記申請の取下を勧告したとしても違法ではないとされた事例
1 仲介業者の仲介が一たん終了した後、2年を経て当事者のみで売買契約を成立させた場合でも、仲介と売買契約成立に因果関係が認められるとされた事例
2 買主に対する報酬請求が一部認められ、売主に対する報酬請求が認められなかった事例
町職員の不正な借入金を町長が違法な一時借入金で返済したのち公金でこれを返済したとしても、町に損害が発生しないとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求が排斥された事例
外資系自動車会社に人事本部長として雇用された日本人が、同社の就業規則の「業務又は能率が極めて悪く、引き続き勤務が不適当」の条項に該当するとしてされた解雇が有効と認められた事例
労働者が、段ボール箱を棚から降そうとした際、腰を捻って受傷した腰痛症(変形性脊椎症等)が、その後の治療により、慢性症状となり、医療効果を期待し得ない状態になったとして、労災保険法にいわゆる治ゆに当るとされた事例
土木機械の製造販売等を業とする被告会社の従業員が、パレテーナ(鉄製篭)に木型を入れ、これをホイストクレーンで吊り上げて倉庫に搬入する作業に従事中、右ホイストクレーンのフックに掛っていたナイロンスリング1本がフックから外れ、パレテーナが落下して起きた事故につき、使用者(被告会社)に安全配慮義務違反がないとされた事例
交通事故による大腿部開放性骨折患者が、骨接合術を経て転院し、骨髄炎のため同部を切断した場合に、右転院前の診療に関与した開業外科医に対し、告知、説明義務違背を理由として、慰藉料の賠償を命じた事例
自動車の衝突事故で同乗していた妻が流産を余儀なくされた場合に、夫に胎児を失ったことを理由とする慰藉料請求を認めた事例
価額弁償として提供・供託した金員が遺贈の目的の適正な価額に不足する場合であっても、その後に不足額を追加して提供・供託したときは、受遺者は目的物返還義務を免れるとされた事例
1 弁護士に対する訴訟委任契約の解約が無効であることの確認を求める訴が適法とされた事例
2 取締役の職務執行停止・代表者選任の仮処分がされた場合、株主総会決議等無効確認請求の本案訴訟において会社を代表するのは職務代行者であるとされた事例
1 実在の他人名義の定期預金の預金者が出捐者であるとされた事例
2 定期預金の名義人に払戻された預金について、銀行と名義人との間に不当利得が成立するとされた事例
音楽に関する著作権の管理団体である被告が、「我が国で使用されるほとんどすべての音楽について管理している」旨を全国の社交場営業者に対して表示していることが、事実に反することとはいえず、原告の個別的な音楽著作物の使用料徴収活動を妨害するものではないとして、損害賠償請求が斥けられた事例
電話帳に編集著作物としての著作物性を認め、これと同一性のあるものを再生した被告の行為が無断複製にあたるとして、差止請求及び損害賠償請求の一部が認められた事例
1 住居利用に関し複数の利益享受者が存する場合、その一部の者が特定の個人に対して住居への立ち入りを許容したとしても、他の者が拒否する限り、その者との関係で住居侵入罪が成立する
2 会社の元代表取締役に対して団体交渉を要求する目的でその別荘地内に立ち入った労組委員長の行為につき、労組法1条2項等による違法性阻却の可能性があるとして、この点に関する一審の訴訟手続に審理不尽の違法があるとした事例
1 障害の程度により障害児を健常児と分離し、特殊教育をする現在の学校教育制度は、憲法14条、25条、26条に違反せず、教育基本法10条に牴触しない
2 障害児の総合教育実現のための運動を支援する行動の過程で、立ち入りを禁止された小学校の門扉を乗り越えて校内に侵入し校長らに暴力を加えた行為につき、実質的違法性が認められるとした事例