最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 刑法193条にいう職権の濫用の意義
2 裁判官が職務上の参考に資するための調査行為であるかのように仮装して刑務所長らに対し身分帳簿の閲覧等を求めた場合と公務員職権濫用罪の成否
借地法6条所定の土地使用継続に対する異議につき賃貸人の居住等のための使用の必要性よりも賃借人が商品保管場所等として使用を継続する必要性が高度であるとして正当理由が否定された事例
訴え却下の判決に対する控訴審において、審級の利益を保障すべき実質的な理由がないとして、事件を第一審に差し戻すことなく、請求認容の本案判決をした事例
買戻特約付不動産の買主が売主に債権を有するとき、民法582条の規定に従い、売主の買戻権の消滅を求めて不動産評価の鑑定人選任申請ができるか(消極)
月販会社方式の割賦売買が、小売代行店と買主との間のいわゆる「から売り」であった場合に、代金債務の連帯保証契約が要素の錯誤があるとされた事例
ゴルフ場会社に対する貸金の担保として同会社が経営するゴルフクラブの「入会金預り証」の交付を受けていた債権者が、右会社の債務不履行によりクラブ理事会の承認を停止条件とするゴルフ会員権を取得したものとされた事例
土地の使用貸借において借地に孟宗薮を耕作して筍を採取するという使用収益の方法が定められていたとしても、民法597条2項にいう「使用及び収益の目的」が定められていたとはいえないとされた事例
借地人が地代が比隣の土地の地代等に比較して不相当であるとして減額請求をした場合であっても、減額請求以前の年払地代の支払を122日以上も怠ったなど判示の事実関係のもとでは、地代不払を理由とする土地賃貸借契約の解除が信義則違反ないし権利濫用にあたるとはいえないとされた事例
受取人白地の約束手形の所持人が白地を補充する前に振出人が唯一の不動産を売却したときは右手形所持人も詐害行為取消権を行使できるとされた事例
公職選挙法14章2、3において、政党その他の政治団体に所属する候補者と個人候補者との間に選挙運動等について差別を設けたとしても、それが国会の立法裁量の限界を超えず、違憲、違法とはいえないとされた事例
債権者が債権の消滅していることを知りながら債務者に対して訴を提起し、債務者欠席のまま勝訴の判決を得て強制執行したとしても、債務者は既判力に反する主張ができない関係上、右債権者の行為を不法行為と主張して損害賠償を請求することができないとされた事例
日本の会社が日本国内で締結し日本国内で履行すべきものとされた消費貸借契約に基づいて外国会社に対してする賃金返還請求事件については、わが国に裁判権があるとされた事例
外国人及び帰化して相当年限を経ていない者を入会不適格とするゴルフクラブの会則取扱細則が公序良俗に反しないとして、日本に帰化して2年9か月を経過したもと在日韓国人に対し同細則に基づいてされた同クラブの入会拒否を違法でないとした事例
精神錯乱者を警察署に保護し親族等の引取要求に応じなかったなどの警察官の行為が違法でないとし国家賠償が認められなかった事例
市長選において市章を図案化した市選管の選挙啓蒙活動用ポスターが立候補者の選挙用ポスターの図柄と一部類似する場合につき、公職選挙法205条1項にいう選挙の規定に違反する点があるとは認められないとされた事例
1 地下鉄半蔵門線の建設に関する千代田区長の鉄道工事施行方法承認は道路占用許可処分にはあたらない
2 地下鉄を道路面下に敷設することの許可を受けても道路を占用するためには道路管理者の道路占用の許可を要する
東京大学中退、父が国会議員等、自己の学歴、父の職業、その他兄の職業、弟の学歴を詐って現業員に採用された者に対する右経歴詐称を理由とした解雇が有効とされた事例
悪性骨腫瘍についての診断を誤り、患者に対して大病院への転医勧告をしなかった医師の過失とその死亡との間の因果関係が否定された事例
更生手続開始前更生会社の取締役名義とされていた更生会社の土地を手続開始後会社名義としたうえで売却し、売得金の大部分を抵当権及び仮差押債権者に弁済した場合、その事情を記載していない更生計画をそのまま認可することはできないとして、原審の更生計画認可決定を取り消して差戻した事例
他人のためにする生命保険契約において保険金受取人として氏名のほかに被保険者との続柄を示す「妻」との記載がある場合に同女がその後離婚しても依然として保険金受取人であるとされた事例
製品納入先の経営状態や支払能力に不安を抱きながら右不安が現実化した場合の用意もしないで下請業者と取引をし損害を与えたことにつき代表取締役として重大な過失があるとされた事例
被保険者の不慮の事故による死亡が保険金受取人の故意又は重大な過失によるものであるときは保険金の支払をしない旨の約定は保険金受取人が心神喪失の状態で被保険者を殺害した場合に適用がないとした事例
大麻取締法違反事件において、大麻は無害、仮に有害であってもその程度は軽微であるとして同法による大麻の規制が憲法に違反するとの主張、並びにいわゆる一属一種否定論に基づいて大麻取締法上の大麻の範囲を解釈すべきであるとする主張をいずれも排斥した事例
所有権放棄のあった覚せい剤等につき覚せい剤取締法41条の6本分の必要的没収の規定の適用が排除されるものではないとした事例
目撃証人の検面調書につき、法廷証言と実質的に異なり、かつ特信性ありと認めるとともに、事実誤認または量刑不当の控訴趣意として「訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実」が示され、かつ所要の疎明資料が添付されていない場合であっても、これに併せて「訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実」あるいは他の控訴理由が適法に主張されているときは、控訴棄却の決定をなすべきではないと判示した事例