最も長い歴史をもつ判例実務誌
連続ピストル射殺犯人永山則夫から新潮社、日刊現代社に対する名誉毀損を理由とする損害賠償等の請求について、週刊誌、日刊誌の記事の主要部分が真実であって違法性を欠き、また名誉を毀損するような内容のものではないとして棄却した事例
土地の売買予約の成立後当事者双方が予想せずその責に帰することのできない事情により価額が高騰したのちにされた予約完結権の行使が信義則に反しないとされた事例
債務者に代替的行為を命じる仮処分について更に代替執行決定(授権決定)の申請をする場合には、仮処分の執行期間14日以内に右申請をすれば足り、右期間内に代替執行決定(授権決定)がなされる必要はないとされた事例
債権差押・転付命令の確定前に債務者が破産宣告を受けたときは右債権差押.転付命令は当然効力を失い破産管財人は右命令に対する執行抗告の利益を有しないとした事例
詐欺の容疑で逮捕された被疑者の容疑事実に関する週刊誌の記事が真実とはいえず、かつ私行に関する記事は興味本位のものであるとして名誉毀損が成立するとされた事例
新聞紙上に選挙関係の記事を掲載するにあたり、知名度の高い候補者や大組織を選挙基盤とする候補者について「主な候補者」、「有力な候補者」という表現を用いたとしても、選挙の公正を害する違法な措置とはいえないとされた事例
「刑務所暮らしの方がいい」「5年前の強盗自首」「出所男、物価高に降参」の見出しによる新聞記事の内容が真実に反しないし、自首の動機についてもことさら歪曲、誇張、揶揄、粉飾する意図に出たものとは認められないとして、名誉毀損、プライバシーの侵害を理由とする不法行為の成立を否定した事例
懲役5年以上10年以下に処せられた少年に対する出入国管理特別法(昭和40年法律第146号)6条1項6号による退去強制令書発付処分に違法はないとされた事例
乳がんの確定診断が遷延して患者が死亡するに至った場合につき、その受検拒否の態度を考慮し、開業産婦人科医の義務違背がないとされた事例
交通事故により受傷した者が、右受傷の結果、賃借建物で経営していたダンス教室を廃し、また、工場・銀行等の職場に出張指導していたダンス教師としての労働能力が減少したとしても、そのことから直ちに、将来自己所有の建物でダンス教室を営んだうえ、15年後にその営業権を処分することによって得たであろうその対価相当の損害を被ったとはいえないとされた事例
バッテリーが放電状態でエンジンが始動しなかった自動車を、ミッションギヤを入れたまま人力で押して走らせることによりエンジンを始動させようとして、1名が運転席でハンドルを操作し、他の1名と共に暗やみの中後尾灯も点灯しない右自動車の後部を左右から押していて、後方からきた自動車に衝突された歩行者に3割の過失相殺がされた事例
夫婦が別居し、その子を1人ずつ各別に養育するという状態が2年6月も続いて、長男Aは11歳半となり、次男Bは8歳に近くなり、ABともに現在の生活環境、監護状況の下において不適応を来たしたり、格別不都合な状況が生じていないときは、現時点において、それぞれの現状における監護状態を変更することはいずれも適当でなく、Aの親権者は妻と、Bの親権者は夫と定めるのが相当であるとした事例
X(妻)、Y(夫)間において裁判上の離婚をするに当り、長男Aの監護能力、監護環境につき、右両者間にさほど差がない以上、Xが3年余にわたりAを養育してきた現状を尊重すべきであり、また、Xが通常の母親として子を養育する資格に欠ける点がなく、更に子の幼児期における生育には父親より母親の愛情と監護が重要であることをも考慮し、Aの親権者をXと定めるのが相当であるとした事例
市長村長は婚姻届不受理に先立ち補正の機会を与うべき義務はなく、また婚姻届の不受理処分は自由裁量処分ではないとした事例
遺産から生ずる相続開始後の家賃は遺産に含まれないが、共同相続人の合意があれば、遺産分割の対象とすることができるとした事例
取締役に選任された者は任期が終了しても従業員の定年である58歳までは取締役の候補者として株主総会で選任を求める慣行があるとはいえないとされた事例
傷害特約付簡易生命保険に加入した被保険者が交通事故で受傷入院中高血圧性心疾患による心不全で急死した場合に右死亡は傷害を直接の原因とするとして死亡保険金の支払請求が認められた事例
1 有限会社法37条の少数社員による総会招集が有効であるためには、所定の出資口数が招集許可の裁判時のみでなく当該総会の終了時にも具備されている必要があるとされた事例
2 招集手続に瑕疵のある有限会社の社員総会が全員出席総会となった場合に、招集手続の省略による適法な社員総会が成立し、瑕疵のない決議があったと認められた事例
荷渡指図書の正本又は副本を受寄者に送付、呈示することによって寄託物の引渡が完了したものとする商慣習及び荷渡指図書の最終所持者が寄託物の所有者となる旨の商慣習の存在が認められないとした事例
被保険者がシンナー吸引により死亡した事故につき、被保険者の重大な過失による事故招致として生命保険会社の免責が認められた事例
約89時間にわたり会社事務所に監禁し、胸ぐらをつかんで小突くなどした行為は、労組法上の正当な団体交渉ないし団体行動とは認められないとされた事例
クレジットカードの拾得者が、その紛失者のカード会社に対する紛失届提出前に、同カードを不正に使用し、商品を購入するなどした場合において、詐欺罪の成立を認めた事例
機械機器販売会社の総務部長につき同社名義の小切手を振り出す一般的権限があるとして、私的な用途にあてるためになされた小切手の振出行為は有価証券偽造、同行使、詐欺罪に該当せず、業務上横領罪にあたるとした事例
被害者らによる不正の侵害行為を認定しながら、被告人の行為は憤激の余り積極的に攻撃を加える意図のもとになされたものであるとして、防衛行為に該当しないとした事例
被告人が殺意をもって腹部を包丁で突き刺したため受傷した被害者が、その後2か月余り経過した時点で治療に伴う輪血後肝炎に起因する硬脳膜下出血により死亡した事案において、被告人の行為と死亡との間に法律上の因果関係があるとされた事例
司法警察員作成の供述調書末尾の供述人欄に他人の氏名を署名して指印し提出した行為につき、私印偽造・同使用罪の成立を認めた事例