最も長い歴史をもつ判例実務誌
紅茶類を指定商品として登録された商標である「EARL GREYS」(アール・グレイ)は、我が国においても、その取引業者間では、紅茶ブレンド名として品質を示すものであることが知られていたとし、品質名の使用を特定の者に独占させることは公益に反するから、一般消費者の認識の有無にかかわらず、品質表示として商標法3条1項3号・同法4条1項16号の不登録事由に当るとして、登録無効審決を維持した事例
控訴判決及び上告判決に対する再審の訴えを控訴審において併せて審理し再審事由なしとした却下判決を上告審で専属管轄違背として破棄自判した事例
日本専売公社製造販売のたばこの公害によりピアノ弾き語りの職場を一部放棄せざるを得なくなったことによる逸失利益及び慰藉料請求訴訟につき国に被告適格なしとの前提に立ち、これをありとする第一審判決を取り消し訴えを却下した事例
1 短期賃借権は建物の競売に当たり短期賃借人競落の場合に備えて右権利付でない場合とにわけて二種類の最低競売価格を定めるべきであるとの主張が排斥された事例
2 目的土地につき自然公園法による規制が強い旨を記載してあるが、その価格に及ぼす具体的影響の記載を欠く鑑定書が違法でないとされた事件
1 強制競売において目的不動産の競落許可決定確定後代金支払前に控訴提起に伴う強制執行停止決定正本が執行裁判所に提出されても、執行裁判所は代金の支払を受け競落に伴う所有権移転登記嘱託をなしうるとした事例((イ)事件)
2 任意競売において目的不動産の競落許可決定確定後代金支払前に競売手続停止の仮処分決定正本が競売裁判所に提出されたときは、競売裁判所は代金納入等の手続をすべきではなく、かつこれをしても競落人は所有権を取得しないとした事例((ロ)事件)
1 当事者(株式会社)が第一審判決言渡当時既に吸収合併されて解散していた場合、解散前の旧会社の名においてなされた控訴の適否 (積極)
2 賃借人が賃貸人に差し入れた保証金につき、「賃借人の都合で中途解約となったときは、新規の賃借人からの保証金の納入が完了した後に前記保証金は返還される」旨の特約があるとき、新規の賃借人が保証金を完納することなく倒産した場合における前記保証金返還債務の履行期
東京都労働局の民営職業紹介係長が、有料職業紹介事業を営む者に対し、その者が計画中の兼業の会社設立につき、兼業内容を変更するか、その事業を断念するよう勧告した行政指導が違法でないとされた事例
高層の共同住宅から隣地に対し、牛乳壜等の物品が反復継続して投げ込まれる虞れが極めて大きく、かつ、それが受忍限度を超える場合には、隣地の土地建物の占有者は、その占有権に基づく妨害予防として、右共同住宅の所有者らに対し、物品の投下防止の措置又は設備をするよう求め得るが、具体的には、右物品の投下回数が少なく、その受忍限度を超えないとして、右設備を設けるよう求めた原告らの請求が排斥された事例
デパートビル火災について、ビル賃貸人に保安管理契約の債務不履行があるとして、ビル賃借人(テナント)らに対し損害賠償が認められた事例
人問ドック受検者が経ロ胆のう造影剤ビロプチンの投与によりショック死した場合に、診療関与医師に問診上の義務違背があるとされた事例
夫が、婚姻後間もなく一方的に妻を嫌い、殊に長男出生の1年後の頃からは夫婦関係を拒否し、心中密かに婚姻関係の自然解消を期待するようになったものの、妻は仕事を理由に外泊を重ねる夫に女性関係ができたのではないかと推測しなくもなかったが、たまたま帰宅する夫から渡される生活費で長男を養育し婚姻継続をのぞんでいるのに、夫がバーのホステスと同棲生活を開始し婚姻が破綻するに至ったときは、夫は有責者として自ら離婚を求めることは許されない
高血圧性心疾患の既往疾患を有する簡易生命保険の被保険者が交通事故により受傷入院中右既往症に基因する急性心不全で死亡した場合死亡と受傷との間に直接の原因があるとされた事例
顧客の銀行に対する外為取引上の与信債務を担保するため信用保証協会の保証付きで銀行から融資を受けたその貸付代り金を定期預金としこれに質権設定した場合と信用保証協会法および独禁法違反の有無(消極)
新株発行が取締役会決議の不存在、商法280条ノ2、同条ノ3ノ2および同条ノ10に違反することを理由とする新株の処分禁止等の仮処分申請が却下された事例
生命保険契約の申込をして第1回保険料相当額を支払ったが、被保険者が医師の診査を受けないうちに死亡した場合には、右保険契約は成立しないとされた事例
私人が住居侵入の現行犯人を逮捕したのち、自己の非行事実 (判文参照)を警察官等に探知されるのをおそれるとともに、以前窃盗被害を弁償させるため、警察官に引渡さずに拘束を続けたことにつき、その正当性を否定したうえ、その際、右住居侵入罪の犯人が右拘束による恐怖等から室外脱出を企てて死亡した場合に、死亡と不法監禁との間に因果関係ありとして監禁致死罪が成立するとした事例
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2条2項にいう「不特定且つ多数の者からの金銭の受入」に該当するとされた事例
強盗致死事件において、偶発的に犯意が形成され、かつ、犯行時に心神耗弱の状態にあったと認定して懲役15年を言渡した原判決を破棄した上無期懲役を言渡した事例