最も長い歴史をもつ判例実務誌
信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断が必要不可欠な前提問題となっている具体的権利義務ないし法律関係をめぐる紛争と裁判所法3条にいう法律上の争訟
環境権侵害を理由とする火力発電所の操業差止・埋立海面の原状回復請求の根拠として人格権侵害に対する判断を示さなかった裁判所の措置につき、釈明権の不行使に違法がないとされた事例
会社(親会社)のワンマン社長が新規地域に別会社を発足設立して営業を拡大するにあたり、親会社の一部門または子会社とすべき別会社の株式を自己または妻子名義で取得したうえ親会社の人的物的資源を利用して営業を行ったことにつき、取締役の競業避止義務、委任義務違反により、右株式の親会社への引渡・填補賠償および受領配当金の返還を命じた事例
1 当事者双方不出頭のロ頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知
2 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法266条1項、267条に基づく地上権消滅請求
1 民法上の組合類似の性質を有する頼母子講と公正証書作成嘱託の許否
2 公正証書の本文中と嘱託人の表示欄とにおける債権者の各表示の間に齟齬がないとされた事例
動産売買の先取特権者は買主の破産宣告前に、買主の転買人に対する転売代金債権を物上代位により差押えなければ、破産手続において先取特権を別除権として行使することはできないとした事例
契約成立時に存した欠陥について賃貸人が修繕義務を負うべきか否かは、賃料額に象徴される賃借物の資本的価値と、欠陥によって賃借人がこうむる不便の程度との衡量によって決せられる
民法724条後段の20年の期間は除斥期間を定めたものであり、右規定の「不法行為ノ時」とは損害発生の原因をなす加害行為が事実上なされたときと解すべきであるとされた事例
市営地下鉄車内の商業宣伝放送が人格権を侵害するもの(不法行為)ではなく、また債務不履行にもあたらないとし、その差止および損害賠償の請求を棄却した事例
運送会社の会計担当取締役が被用者の印鑑・氏名を冒用して、被用者を被保険者兼保険者とする生命保険契約を締結したことが、被用者に対する不法行為を構成するとされた事例
八尾市水道事業給水条例、八尾市給水工事公認業者に関する規程による給水工事公認業者の公認申請を却下した処分が、裁量権の範囲を超えたものとして違法とされた事例
婚姻していない日本人父と韓国人母との間の子として韓国内で出生して韓国の戸籍に登載された者は、その後に日本人父により認知されたときでも日本国籍を取得するものではない
造影剤の静脈注射により患者がショック死した場合において、反応テスト方法の説明とその選択施行につき、担当医師に過失がないとされた事例
離婚の準拠法たる中華人民共和国離婚法が離婚原因について特段の規定をもうけていない場合、婚姻関係を維持することが不相当であるときは裁判による離婚を認め、離婚の当否の認定は裁判所の判断に一任しているものと解した事例
1 韓国人夫婦間の離婚に伴う慰藉料請求につき法例16条により韓国民法を適用し、財産分与請求につき法例30条により法廷地法たる日本民法を適用すべきものとされた事例
2 離婚慰藉料につき500万円、財産分与につき1000万円が認容された事例
法例30条により夫の本国法であるチリ共和国法の適用を排斥して法廷地法である日本民法を適用し日本人女からの離婚請求を認容した事例
生命保険約款の「解約払戻金額例表」のみによっては、解約払戻金額の正確な数字を算出できないとしても、解約払戻金についての合意が成立したものと認められた事例
借地法9条ノ2第3項により譲受申立がなされた建物が借地と借地人所有地にまたがって存在する場合、譲受が認められる建物の範囲を、区分所有権の成否を問わず借地上部分とし、当該部分につき借地人に収去を命じた事例
増改築許可を認容する場合の附随処分としての財産上の給付額は当該申立にかかる増改築に伴う諸事情を基礎にして算定すべきであって、これとは別個の増改築の承諾料をも加算して算定するのは相当でない
行為の目的の正当性及び状況の切迫性についての認定判断をまつまでもなく、行為態様に照らして、当該行為の社会的相当性を否定すべきものとされた事例
歩行者の横断が禁止されている片側4車線道路の第2車線上を深夜走行していた自動車運転者が、第3車線上の第4車線寄りに佇立していた被害者を視認しなかったからといって、直ちに前方注視義務違反が成立するものではないとした事例
1 道路法上の道路の意義
2 道路管理者から占用許可を受けて電力会社が道路上に設置している電柱に、有線音楽放送会社が放送用電線を架設する場合における道路占用許可の要否
公務員の海外旅行中の費用を国外において負担する形態でなされた利益の供与につき、事前に国内で当該公務員と利益の供与者との間においてその旨の約束が成立していた場合に、右供与者を贈賄罪で処罰しうるとされた事例