最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 自衛隊法64条2項にいう怠業的行為の意義は、少なくとも勤労者たる隊員の団結体の意思に基づく集団的組織的行為であるとされた事例
2 自衛隊法119条2項後段のせん動罪におけるせん動の程度は、被せん動者が当該行為に出る現実的可能性があることを要するとされた事例
3 構成要件該当性が否定される場合の憲法判断の要否(消極)
1 老齢福祉年金の請求訴訟は、受給権者が死亡した場合、国民年金法19条により右請求権を取得した者が承継する
2 公的年金受給者に対する老齢福祉年金の併給制限規定は憲法25条に違反しない
3 公的年金受給者に対する老齢福祉年金の併給制限規定は憲法14条に違反しない
4 一般の公的年金受給者と戦争公務による公的年金受給者及び一般の所得を有する者との間の老齢福祉年金の支給制限に関する取扱いの差別は憲法14条に違反しない
毒物及び劇物取締法所定の劇物を霧状に噴射させる護身用具の輸入業の登録申請に対し登録拒否事由に関する同法等の規定を類推適用して登録を拒否することの許否
商品取引員がいわゆる仕手の買建の注文に応じなかった行為が仕手とは別に買建をしていた者に対する不法行為にあたらないとされた事例
受任者の利益のためにも締結された委任契約において委任者が解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合と民法651条
担保権実行としての不動産競売において基本債権額以上の最低競売価格が決定された後、右競売手続停止決定が発せられ、そのための担保として債務者が供託した供託金取戻請求権に対し右基本債権に基づく債務名義により債権差押転付命令が発せられても、過剰執行とはならないとした事例
酒に酔って自転車に乗って交差点で転倒した者をでい酔者として保護する際警察官がした実力行使が違法であるとし国家賠償請求が認容された事例
檻から解かれ県道上に飛び出した犬が通行人に吠えかかっていた際、通りかかった原付自転車と接触し運転者が転倒負傷した事故につき、飼主に犬の保管責任を認めた事例(過失相殺4割)
土地建物の占有者が有益費償還請求権の行使を主張している場合、右土地建物につき有益費が支出されている客観的事実は認めながら、右占有者みずからが右有益費を支出、支弁したことが明らかでなく、又、増価額の現存することの証明もないときには、結局右占有者に有益費償還請求権があるとはいえないし、有益費償還請求権の額を確定することもできない
債権質設定につき質権者を特定しないでした第三債務者の承諾は、第三債務者以外の第三者との関係では対抗要件としての効力がない
1 不登法44条の保証書作成者に対する調査義務免除の可否(消極)
2 不登法44条の保証書作成者の賠償責任額を損害額の1割弱に限定した事例
日本電信電話公社所有の電柱に有線音楽放送用の線条等を添架したことが右所有権を侵害する不法行為とされ右線条等の撤去及び損害賠償を求める請求が認容された事例
弁済期未到来の約束手形不渡届に対する異議申立提供金に充てるための預託金の返還請求権につき取立命令を得た者が提起した該預託金支払の訴が「予メ其ノ請求ヲ為ス必要アル場合」に当らないとして却下された事例
所有権に基づく家屋明渡請求訴訟において、従来主張していた占有権原としての賃借権の抗弁を撤回し、あらためて提出された立退料支払の合意に基づく同時履行の抗弁が重大な過失による時機に後れた防禦方法であるとして却下された事例
交通事故による脱臼を看過し、整復の医療処置を講じなかった結果、右肩関節運動障害の後遺症を残したとして、開業医の債務不履行責任を肯定した事例
スイスのジュネーブ地方裁判所において破産宣告を受け破産会社につき同地裁によって選任された破産管財人によるわが国にある破産会社の財産権(商標権)に対する仮差押執行の取消が肯定された事例
取締役解任決議確認の訴を本案とする取締役職務執行停止代行者選任仮処分申請につき、当該取締役がそのまま職務を執行しても会社に損害を与える疎明がないとして、これを却下した事例
ゴルフ場経営を業とするY会社が、不動産の売買、斡旋を業とするX会社に対しゴルフ場用地の買収の代理を委任した場合、X会社はY会社に対し右買収代理行為の報酬として、商法512条により昭和45年建設省告示第1552号の告示に定める最高限度額の半額を請求するのが相当であると認められた事例
取締役の退職慰労金の支給を内規の金額内で取締役会に一任するための株主総会招集通知・公告に内規の具体的内容を記載することの要否(消極)