最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 賃上げの協定中、年休、生休、産休、育児時間、労災による休業、通院、ストライキ、団体交渉による不就労時間を稼働率算定の基礎とし、その稼働率が80%に達しない者については賃上げを認めない旨の条項(80%条項)が無効とされた事例
2 賃上げをその交渉の妥結した月から実施する旨の妥結月払条項が無効とされた事例
郵政職員の争議行為に基づく書留郵便物の遅配によって差出人でも受取人でもない者に生じた損害につき国の賠償責任が否定された事例
競売期日の公告に賃貸借の記載をするにあたり旧賃借人の氏名を掲げたことは違法ではなく、競落許可決定に対する抗告理由とならない
ゴルフ場のティーグラウンドに敷置されたゴムマット上でティーショットしたプレイヤーが、跳ね上ったティーのため左眼失明したのは、ゴムマットの瑕疵すなわちその弾力性によってティーを異常に高く強く回転しながら高くはね上らせたことによるとの主張が認められなかった事例
建築工事請負人が代金増額の協議を求めたにもかかわらず、注文者が誠意をもってこれに応じないようなときは、請負人は工事を一時中止できるとの約定があるとき、請負人の求めにより当然代金が増額されるものではないが、注文者が誠意をもって協議に応じないときは、その工事遅延期間中一定期間については日割による違約金の請求ができないとした事例
請負契約において有償の合意はあるが代金額の定めを欠く場合、当該工事の内容に照応する合理的な金額を支払うのが、当事者の通常の意思であると判断した事例
建物熔接工事の火花の失火による損害賠償事件において、失火原因につき詳細に事実認定をして、結局、熔接工事による失火の証明なしとした事例
1 鑑定人が訴訟外で一方当事者のための自主検診を行い、その支援団体に加入し、その1人はその代表世話人であるとの事情は、その忌避事由にあたると解する余地はないではないとした事例
2 忌避申立人が鑑定人につき忌避の事由あることを鑑定意見陳述前に知っていたと認められる事例
「訴訟当事者が即時抗告をしたのであって特別抗告をしたのではない」との確認を求める訴は、権利又は法律関係の確認ではなく確認の利益を欠き、また、「即時抗告状、上告状、書記官の処分に対する異議申立書は、特別抗告受理通知書記載の特別抗告ではない」ことの確認を求める訴は、書面の真否確認の訴としては不適法であるとされた事例
日本電信電話公社の発行する電話帳への広告掲載申込みにつき、当該広告中の字句が同和対策上の見地から改訂された広告掲載基準に適合しないことを理由に、同公社において当該申込みを承諾しなかったことが独禁法2条9項1号又は5号、昭和28年公正取引委員会告示11号による指定の1の不当な取引拒絶にあたらないとされた事例
1 公正証書に表示された「共用部分管理費支払請求権」は、賃貸借契約終了後の共用部分管理費支払請求権についての債務名義となりうるか(消極)
2 既に訴求中の損害賠償債権をもって別訴において相殺に供することの適否(消極)
プロ野球審判員の判定につき他の審判員が監督、コーチ、選手等に弥次、非難を集中するよう要請し煽動したことを理由とする損害賠償請求が排斥された事例
食品関係香料の製造業者(売主)とその販売業者(買主)間における香料の継続的取引契約を売主が一方的に解消した事案につき、右解消の原因が買主が他社製品に売主のラベルを貼付して販売するという重大な背信行為に基因するものであると認定して、取引関係解消についての違法性を否定した事例
土地賃貸借契約における「地代については1年目毎に協議して増額することを得るものとする」旨の約定は、賃貸人にはまず賃借人と地代につき協議すべき義務があり、右協議を経ることなく増額請求権を行使した場合には、増額の効果を生じない趣旨を合意したものと解するのが相当であるとし協議を経ずしてなされた地代増額請求の意思表示を無効とした事例
自己の使用者名義をもって不動産を取得し不動産取得税を納付した者が右不動産を自己名義にしたため更に不動産取得税を賦課された事案につき、同税の二重賦課を理由とする不当利得返還請求が許されないとした事例
患者が子宮頚癌から転移した肺癌のため死亡した場合において、右子宮頚癌の放射線治療に当った医師につき、治療前後における胸部レントゲン写真撮影に関し過失がないとされた事例
婚姻直後無資力であった夫婦が、婚姻中夫の父から借地権の贈与を受け、そのほか第三者から土地建物を取得し、若干の預金及び借入金等を有するに至った場合、妻に対し離婚に伴う財産分与として妻が3人の子を引きとることのほか、借地権の維持に寄与した関係上、その価格の1割、その他の右資産の形成維持発生に寄与した関係上その価格の5割を分与すべきものと判断した事例
夫が倒産後家出して女と同棲し、アル中などで入院中、妻がこれを見舞わずその生活費入院費も負担せず、夫の帰宅もうけいれないことが悪意の遺棄に当らず、又妻が夫の財産を仮差押し、夫も別の女と同棲するなど破綻状態が10年以上つづいて回復不能であるが、有責配偶者たる夫からの離婚請求は認められないとした事例
遺言確認審判の利害関係人が審判手続のあったことを知らず審判の告知を受けないため、即時抗告期間経過後に審判のあったことを知ったとの事情は、審判に対する即時抗告の追完事由にあたらないとした事例
現物分割方式による遺産分割に当り、各取得者が取得遺産を将来換価する際に要する費用・譲渡益に課せられる所得税を考慮する要はないとした事例
婚姻費用分担義務不存在確認の訴えを本案としてその家事審判の執行停止を民訴法512条又は512条の2の類推等により求めることはできないとされた事例
証券会社の外務員が顧客の委託保証金代用有価証券を横領した場合、代用証券の預託は消費寄託でないとして顧客の代替証券返還請求を認めず、証券会社の使用者責任を認めた事例
債務超過及び資金難の状態ではあるが、なお営業活動を継続している場合における株式会社の取締役の契約締結行為が、商法266条の3にいう会社に対する悪意又は重大な過失による任務懈怠にはあたらないとされた事例
和議債権者集会において和議が可決された後保全処分に違反して、和議債務者が和議手続開始申立後、和議債権者の一部の者に対し債務の弁済をなし、また金員の借入れをなした等の事由があり、和議債権者の一般の利益に反するとして、和議が不認可とされた例
1 会社の取締役が出材業者とともに会社との間で立木取引に関する金銭貸借契約を締結した場合、取締役個人も同契約の当事者であるとされた事例
2 会社の取締役が取締役会の承認を得ず実父を代理して会社との間で金銭貸借契約を締結した場合、取締役の自己取引として会社に対する損害賠償責任が認められた事例
1 製造中の美術刀剣類につき、研師が研磨のために所持する行為と刀剣類の不法所持罪の成否
2 刀匠から委託をうけ研磨のために正当に所持するものと認められなかった事例