最も長い歴史をもつ判例実務誌
当選区長が区報に当選御礼のあいさつを掲載したことが違法であるとして、区民が区長個人に対して損害賠償を訴求した住民訴訟が棄却された事例
映画の主演者に無断で映画フィルムやスチール写真を「タイアップ方式」の宣伝広告に使用したとしても、主演者の肖像権を侵害する不法行為を構成するものではないとされた事例
中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合が総会の議決により代表理事の報酬限度額を定めた場合において使用人の担当すべき事務にも従事した代表理事に右限度額を超えて報酬を支払うことの許否
自己の名称を使用して営業を営むことを許諾した場合において、被許諾者が右名称を使用して営業を営むことがなくても、商法23条類推適用があるとされた事例
押収された書類が行方不明になった場合でも、その後2年8月も経過したときは、法人税確定申告期限の延長は認められないとした事例
出入国管理令50条1項による法務大臣の特別在留許可を付与しないとする裁量判断に誤りがなく、本案につき理由がないとみえるときに当たるとはいえないとされた事例
東北・上越新幹線工事実施計画変更に関する許可の取消訴訟については建設路線地域の所在地の裁判所にも管轄があるとして移送の申立が却下された事例
1 担当審判官の所属する国税不服審判所の所長宛の請求書によって行われた関係書類に対する審査請求人の閲覧請求が適法とされた事例
2 国税通則法96条2項によって関係書類の閲覧請求ができる時期
1 監査委員に対する町有地の売却が地方自治法238条の3に違反し無効とされた事例
2 地方自治法施行令別表第2の、売払いの場合における「1件」
3 地方自治法施行令(昭和49年政令203号による改正前のもの)167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しない」場合にあたるとされた事例
4 住民訴訟において、町有地の売却が随意契約によりえないことを理由として違法とされ、移転登記手続の差止めが認められた事例
1 記帳、記録運搬等の業務に従事する裁判所事務官の罹患した頚肩腕症候群(右上肢神経炎)が公務上の疾病であると認定された事例
2 裁判所事務官の罹患した頚肩腕症候群が増悪したことにつき国に安全配慮義務違反があるとして損害賠償を認めた事例
プレス機械により左手第三指に挫滅創を負った患者が、破傷風に感染して死亡した場合につき、この診療に関与した初診医師、及び、転医病院医師らの義務違背又は結果との因果関係をそれぞれ否定した事例
腹痛等を訴える患児を診療した医師が、機械的腸閉塞を麻痺性のものと誤診し、緊急開腹手術を怠った結果、同児を汎発性腹膜炎により死亡させたとして、その賠償責任を肯定した事例
婚姻成立後僅か半年位同居したのみで、その後別居期間が約6年に及び当事者間の夫婦関係は事実上破綻し、これを回復することが著しく困難であるが、その破綻をもたらした責任が主としてX側にあるときは、Xは右婚姻破綻を理由として離婚を求めることは許されない
日本人(子)から韓国人(亡父)に対してその死亡後1年を経過して提起された認知の訴につき、たとえ父とされるものが国籍を除いて日本人同様の者であつても、準拠法は国籍による以上韓国民法が適用されるとしたうえ、死後認知の出訴期間を1年に限定する同法864条の規定は日本民法と比較して一概に不利益とはいえないことなどの理由から、右適用の結果も公序に反するとはいえないとして、右訴を却下した事例
夫(父親)が離婚を決意して家出した妻の許から子供を連れ戻して6年4ヵ月余にわたって養育している事案につき、妻(母親)をその親権者と定め、子の引渡しを命じた事例
債権者の追及を免れるため、又は家産を維持するための方便として協議離婚に同意した場合でも、離婚の届出をする意思を有していた以上、離婚意思がなかったとはいえないし、また離婚の届出によって家産の維持ができると誤信したとしても、その錯誤は離婚の効力に影響を及ぼさないとして、離婚無効の主張が排斥された事例
1 離婚に伴う財産分与として時価約5000万円の宅地と金1億円の支払いを命じた事例
2 離婚に伴う慰謝料として、金1000万円の支払いを命じた事例
1 出生後40年以上経過し民法787条但書の期間満了3日前に提起された死後認知の訴提起が権利の濫用に当らないとされた事例
2 認知無効の訴について民法787条但書の規定の準用はないとされた事例
1 認知請求事件の国際的裁判管轄権は原則として被告の住所がわが国内にあることを必要とするが、被告の住所が不明であり、原告がわが国内で出生していることなど判示のような特別の事情があるときは例外的にわが国に右管轄権がある
2 父に関してはカナダ州法、子に関しては日本法を適用して認知請求を認容した事例
株式会社の取締役が他人の債務の担保とする目的で、満期に決済できないことを知りながら会社名義の約束手形を振出したことは、その任務を懈怠するものであるが、右債務には別の確実な担保が供されており、右取締役は会社が終局的には責任を負わないと考えていた場合、悪意又は重過失ありとはいえないとされた事例
1 A株式会社の代表取締役Yが、同会社のために融資を仲介してやると称する者の求めに応じ、A会社振出の約束手形を振出すことを承諾し、A会社の約束手形用紙に手形金額及び支払期日を記入し、Yみずから振出人欄に振出人A会社の記名押印を行い、受取人及び振出日欄は空白としてこれを右仲介者に交付したときは、Yは右約束手形をA会社のために振出したというべきである
2 商法266条の3の損害賠償義務の遅延損害金は民事法定利率により算定されるべきものである
中央卸売市場の仲卸業を営む株式会社が、内部的に取締役数名の各個人企業の集合体のように運営されている場合につき、会社の法人格否認の主張を許さず、会社取締役名義の取引許諾が名板貸に当たり、かつ各取締役は番頭に当たるが、取引金融機関が右内情を知っていたとして会社に対する貸越金請求を棄却した事例
被告会社が資本、人事、業務面において訴外会社を管理・支配する関係にあったが、その組織、業務内容、財産及び経理関係に混同があったとは認められず、また法人格乱用の事実も認められないとして法人格否認の主張が排斥された事例
株式会社の取締役の辞任は、その一方的意思表示のみによって効力を生ずることを理由として、会社に対するその取締役の辞任による変更登記手続請求を認容した事例
海上貨物運送において、D・D(直接荷卸)手配は運送委託者の責任範囲に属し、運送委託者は、その履行代行者たる荷受人の右D・D手配特約不履行について責を免れないとされた事例
株式会社の取締役が取締役会の承認を得ないで会社から債権譲渡を受けた場合につき、同会社は、その代表取締役の個人会社であって譲受人は名目上の取締役にすぎず、右債権譲渡により会社の利益は害されなかったとして、その譲渡を無効ではないとした事例
公私混同の経理を専断実行した結果会社資産によっては支払不能の事態を招来したうえ、その事実を認識しながら個人所有不動産を処分すれば決済可能と軽信して約束手形を振出し買掛債務を負担し、経営の破綻を招いた株式会社の代表取締役及び右事実を黙過した取締役に重大な過失があるとして商法266条の3に基づく損害賠償責任を認めた事例
経営が危機状態にあり手形決済資金調達の客観的見通もなく融通手形の振出を依頼した株式会社の代表取締役につき商法266条ノ3の責任を認めた事例
1 更生会社に対する従前担保権の被担保債権であったものが更生計画において更生担保権とされず更生債権とされた場合、更生手続終了後の執行手続における同債権の処遇
2 更生担保権の遅滞に伴う遅延損害金に対する更生計画の利息・損害金免除条項の効力