最も長い歴史をもつ判例実務誌
有罪確定判決後に右有罪認定の主要な証拠の信用性に多大の疑念のあることを明らかにした新証拠が刑訴法435条6号所定の明白性を具備するとして再審開始決定がされた事例
1 税理士一般試験に合格した税理士は税理士特別試験の無効確認、取消し又は差止めを求める原告適格を有するか(消極) 2 国及び地方自治体の税務職員経験者を対象として行われる税理士特別試験は憲法14条1項に違反するか(消極) 3 税理士法附則30項ないし36項の規定は、時限立法の性格を有するか(消極)
航空自衛隊補給統制処所属の防衛庁事務官が物資購入名下に魚卵を騙取した行為が国の事業の執行につき行われたものと判断された事例
国鉄労組のストにより国電を利用することができなかったとする一般旅客から国鉄労組に対する損害賠償請求が国電の利用の妨害によって損害を被ったとはいえないとして排斥された事例
債権転付命令の正本が発送されたがいまだ債務者に送達されないうちに、強制執行停止決定正本が執行裁判所に提出された場合には、転付命令は違法として取消すのが相当であるとした事例
建築物確認申請の審査にあたる建築主事は、当該建築物の計画が建築基準法6条1項所定の建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するかどうかを形式的に審査すれば足りるというべきであるが、右計画が敷地の実状を無視したものであることが客観的に明らかであり、しかも、かかる計画を容認することが建築基準法の目的に著しく違背すると認められる場合において、建築主事が書類のほか敷地の実状を調査して右事実を把握し、申請が前記法令に適合しないとの決定をしたとしても、これをもって国家賠償法1条所定の違法な公権力の行使に当るものということはできない
賃借権の無断譲渡による契約解除権についてした消滅時効の援用の主張が信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例
1 後遺言における前遺言と異なる遺言執行者指定の効力 2 自己に対する遺贈の無効確認を求める訴の法律上の利益(消極)
社交クラブを経営するX会社が、雇入れに際しその実兄Yを身元保証人にしているクラブホステスAの求めにより、雇入れ3日後にAに対し金120万円を貸与した。右借入れに際し、AはX会社代表者に対しYの実印、印鑑証明書及びY所有土地の権利証を示して、兄のYは資産もあり、右借入れにつき連帯保証人となることを承諾し、保証契約締結などにつき一切の権限を自己に与えている旨述べて前記権利証を差し入れたときは、特段の事情のない限り、X会社代表者がAに保証契約締結の代理権があると信じたことについて正当の理由があるというべきであり、本件においては、右特段の事情があるとは認められない
他人の印章、印鑑証明書を冒用した連帯保証契約につき、代理権限を推認させる補完的情況の存在を肯定して、表見代理の成立に必要な正当事由がある、と認めた事例
使用目的を事務室とする貸室契約において賃借人に右目的違反があるときは、更新拒絶における正当事由の判断にあたって賃借人側の事情を考慮する余地がないとした事例
酒類小売店の経営委任契約の解除を「やむを得ない事由」によるものと認め、受任者の該契約解除に基づく損害賠償請求を排斥した事例
建物賃貸借契約における「他人に迷惑を及ぼす行為をしたときは契約を解除できる。」旨の約定に基づく解除が有効とされた事例
請求認容の原判決主文と同一内容の請求の趣旨を有する訴訟物が控訴審において選択的に追加され、これを認容すべき場合、控訴棄却または原判決取消の主文を要するか(消極)
1 生命保険契約申込後保険者の承諾前に被保険者が死亡した場合保険者の承諾を擬制することができるか(消極) 2 保険者が生命保険契約を承諾しなかったことが信義則に違反しないとされた事例
被告作成名義でその記名印部分が被告の記名印によって顕出されたことが争いのない書証について、詳細な理由を付して、その成立の真正を否定した事例
1 修理の依頼を受けて預かり保管中の自動車の盗難事故につき、善管注意義務違反があるとして、自動車修理業者に対し履行不能による損害賠償責任を認めた事例 2 修理依頼中の自動車の盗難を理由とする損害賠償請求につき、依頼当時当該自動車の合鍵が紛失していた事実を告げなかった依頼者に5割の過失相殺を認めた事例
1 公務員の違法行為を理由とする損害賠償責任は国又は公共団体に専属し、公務員個人はその責任を負担しない 2 保釈保証金没取決定が確定した場合、民事訴訟においては、該決定が著しく正義公平に反してされたなどの特段の事由がない限り右決定を違法と判断することができない
1 家庭裁判所が選任した財産管理人は不在者の法定代理人であるとされた事例 2 不在者氏名不詳財産管理人を被告とする訴は当事者の確定を欠き不適法であるとして訴が却下された事例
ブラジル国マットグロッソ州への入植者に対する国際協力事業団(ただし、その前身である日本海外移住振興株式会社)の不法行為責任が認められた事例
医院の経営者が日照通風妨害等を理由に、その隣地に建設中のマンション工事の差止めを求めた事案につき、受忍限度をこえないことを理由に右の差止めを求める仮処分を却下した事例