最も長い歴史をもつ判例実務誌
死角がある大型貨物自動車を運転し、左折しようとして交差点で一時停止した自動車運転者に、一時停止をしているときから自車左後方の歩道上を通行してくる自転車等の有無及び動静を確認すべき注意義務があるとされた事例
休憩時間を自由に利用させる債務の不履行につき賃金相当額の損害賠償請求を認めず、慰藉料の支払請求のみを認容した原判決を支持した事例
都道府県警察の警察官がいわゆる交通犯罪の捜査を行うについて違法に他人に加えた損害と国の国家賠償法1条1項による賠償責任の有無
公務執行妨害罪で誤認逮捕されたが、その後無罪判決を受けた者の国家賠償請求が、逮捕警察官に過失がないとして排斥された事例
宗教法人の住職承継者の任命が有効とされ、かつその現代表役員(住職)、責任役員の就任が前代表役員(住職)の意思に基づかないことを理由に無効とされた事例
1 不法行為に基づく損害賠償請求と商法578条の適用(消極) 2 高価品の滅失につき運送人に不法行為責任を認めたが、高価品であることを明示しなかった荷送人にも過失があるとして4割の過失相殺をした事例
砕石の販売業者甲が、その販売先乙に舗装工事を請負わせた丙に対し、乙が倒産し代金が未収であるので砕石を回収したい旨申入れたのにかかわらず、丙が砕石を舗装工事に使用してしまった場合には、丙は甲に対する損害賠償責任を免れないとされた事例
1 権利自白撤回の要件 2 乙合資会社の無限責任社員を兼務している甲株式会社の代表取締役が甲会社を代表して乙会社から土地建物を賃借する行為と商法265条
他人を代理して自己名義で自創法による売渡形式を仮装して農地の譲渡を受けた者が右譲渡につき旧農地調整法4条(現行農地法3条)所定の知事の許可のないこと及び右売渡処分の存在を主張することが信義則上許されないとされた事例
債権転付命令が債務者及び第三債務者に送達された後においては、債権者が、強制執行停止決定が出されていることを知りながら敢えて右命令の申請に及んだといった特段の事情がない限り、右命令に対し執行法上の不服申立をすることができないとされた事例
換地処分後において、土地区画整理事業の施行者は、換地所有者に対し、第三者が換地上に権限なく所有する建物を移転除却して、換地を引渡すべき義務を負担するか(消極)
利息制限法超過利息が元本に充当されて過払が生れたずると過払分について返還請求ができることを知悉しながら元利金を支払った者は、その過払分を不当利得として返還請求することができないとされた事例
仮執行宣言付判決に対する上訴が係属中に、判決によって支払を命じられた債務につきその弁済としてされた給付は、その後上訴審で原告が請求を放棄したときは、不当利得として返還しなければならないとされた事例
自衛隊のジェット戦闘機が訓練中墜落した事故につき国に機体の点検整備についての安全配慮義務違反があるとして債務不履行による損害賠償請求が一部認容された事例
使用貸借農地の返還につき、そもそも農業委員会の許可を得ていなくて借主に適法な耕作権原がなく、また使用収益をなすに足る期間も経過していて貸主の返還請求が適法であるのに、借主が貸主の窮地に乗じて100万円の「迷惑料」の支払を約束させたのが、公序良俗に反し、借主の強迫によるものであるとした事例
1 債権者が、担保物件家屋の占有者である債務者を実力で追い出し、右家屋を占拠したのは、債務者の事前の承諾があったとしても、不法行為にあたる 2 右占有侵奪によって、債務者が当該家屋の換価処分を妨げられたとして、右処分によって得たであろう代金と被担保債権額との差額の損害賠償を認めた事例
株式会社が任期を終えた取締役につき再任しない旨決定し株主総会に附議しなかったことが、右取締役の期待権を侵害し不法行為に該当するとする主張が排斥された事例
建物賃貸借契約中、更新料として賃借人が賃貸人に対し、賃料の3ケ月分相当を支払う旨の特約がある場合において、これを賃料の2ケ月分とする限度において有効とした事例
債権者に保証を立てさせたうえで保全処分を発した場合は、疎明資料において被保全権利の不存在が明確であるなど特段の事情がある場合を除いて、被保全権利の疎明が不存在又は不十分であるというだけでは、直ちに保全処分が国賠法上違法とはならない
1 百貨店の特需部長が権限なく取引先のために第三者からの借入金の保証をした場合につき民法109条、110条の表見代理の主張が排斥された事例 2 第三者が権限のないことを知らなかったことに重大な過失があったとして百貨店の損害賠償責任が否定された例
妻がした頼母子講の申込が、講の実態、掛金、掛戻金の出所その他から見て夫婦共同の申込としてなされたものと解すべきもので、夫婦は講元に掛金支払の不可分債務を負うものとされた事例
石油元売会社(原告)とその特約店(被告)との間で締結された特約店所有にかかる給油所施設の賃貸借予約が公序良俗に反し無効とされた事例
自己所有の不動産の登記名義を20年余にわたり娘乙の所有名義として放任していた甲は、乙から右不動産を取得した丙に対し、その所有権取得につき登記の欠缺を主張する利益を有しない
被疑者の任意同行が実質的には逮捕行為に当たり違法ではあるけれども、右逮捕行為の違法性の程度はその後になされた勾留を違法とするほど重大ではないとして、右勾留中に作成された自白調書に証拠能力を認めた事例
銃砲刀剣類所持等取締法(昭和52年法律第57号による改正前のもの)22条により携帯を禁止される刃物と同法2条2項にいう刀剣類との関係
法人が定款等に定める営業年度を変更しても、法人税法15条の届出をしない限り、法人税法上の事業年度を変更する法律上の効果を生じないとした事例
盗犯等ノ防止及処分二関スル法律3条にいう「3回以上・・・・・・刑ノ執行ヲ受ケ・・・・・・」のなかには、併合罪中余罪についての裁判を含むか(積極)