最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して行う組合活動の当否 2 日本国有鉄道労働組合の組合員が組合活動に際し職員詰所備付けのロッカーに要求事項等を記入したビラを貼付する行為が正当な組合活動にあたらないとされた事例
公会堂使用許可取消処分が地方自治法244条2項にいう正当な理由がないのに公の施設の利用を拒んだものであって違法であるとして国家賠償責任が肯定された事例
競落許可決定の対象建物が、その敷地たる宅地と共に一括して競売することの妨げとなるような事情は何もないのに、右建物のみが競売された場合、同建物につき定められた特定の最低競売価額が、右建物競落のとき、その敷地たる宅地に設定したものとされる法廷地上権の価額を過少評価したことに基因し、不当に低廉であり、結局、競売期日公告に適法な最低競売価額の記載を欠くものとして競落許可が取り消された事例
借地条件変更申立事件が係属し、その検証、鑑定等の証拠調が近く行われることが予測される段階において、借地人が増改築禁止特約に違反して改築工事をなしたときは、土地賃貸借について賃貸人、賃借人間の信頼関係を破壊するおそれがあると認められた事例
偽造の登記済証を使ってなされた登記申請を受理したことについて登記官に過失はあるが、そのことと右登記済証を真正なものと誤信して無権利者から土地を買受けたことによる損害との間に因果関係がないとされた事例
不動産の登記済証及び評価証明書、本人の実印及び印鑑証明書、本人の実印だけが押捺された農協組合所定の農協取引約定書、根抵当権設定契約証書及び登記手続のための委任状を持参した僣称代理人との間で締結された農協取引契約及び担保権設定契約につき、民法110条の表見代理の成立が否定された事例
国際電信電話株式会社が加入者の申出により現実の通話者に対し通話料の請求をしてその支払が得られなかったのに、加入電話につき通話中止の措置をとらずに加入者に右の通話料を請求したことが権利濫用にならないとされた事例
共同住宅の賃借人が、賃貸人に無断でベランダで犬を飼育して他の入居者被害を及ぼし、賃貸人が入居者の苦情に基づき、犬の飼育を中止すべき旨を再三申入れたのに、これに耳をかそうとしないなど判事の事情があるときは賃貸借契約更新拒絶の正当事由があるとした事例
建物の設計等を請負った者が完成させた設計が、建築主との間の設計監理請負契約に基づく債務の履行に当らないとして、その設計料等の請求を棄却した事例
被告が第1回口頭弁論期日に欠席し、右期日終了後に請求原因を争う趣旨を記載した答弁書を裁判所に提出した場合、裁判所は右記載内容を弁論の全趣旨として斟酌し、被告が原告の主張を争ったものとすることはできない
債務者に対し、A会社に対する売掛金債権の不能による損害を商法266条ノ3により追求する訴は、右の債権に対する保証債務の履行請求権を被保全債権とする仮差押の本案に当るか(消極)
民事訴訟においても忌避申立が訴訟遅延のみを目的としていることが明白な場合は忌避された裁判官が自ら右申立を却下することができる
1 敷金返還請求権を目的とする質権設定契約の効力(積極) 2 第三債務者が質権者を特定しないでなした質権設定に対する事前の承諾の効力(積極)
金融業者が代理人と自称する者との間に不動産譲渡担保契約を締結するに当り、直接本人につき代理権の有無を確認しなかった等を理由に表見代理の成立を否定した事例
職業画家が印刷会社の被用者の過失によってその作品を紛失され損害をこうむった事案につき、絵画の紛失による物損とそれに基づく精神的損害を全体として評価算定した事例
既存債務の弁済に関連して手形が授受された場合に、それを代物弁済とするには特にこの点に関する当事者の合意の存在が必要であるところ、右合意が認められないとした事例
農地に通行地役権の設定を受け、これを現実に通路として使用していたものが、その後右通路をコンクリートで舗装し、農地として回復が困難な非農地としたときは、右通行地役権設定は右舗装時以後知事の許可をまつまでもなく有効となるものと解すべきである
仮処分決定に対する異議申立てに伴う執行停止の申請が、右仮処分の執行により申請人たる仮処分債務者に回復し難い著しい損害を被らせるに至るものとは認め難いとして却下された事例
同一マンションにおける階下居住者からの、漏水原因の調査、修理について入室を拒否した階上居住者に対する損害賠償請求が認められた事例
1 被疑者以外の第三者の自宅における捜索、差押につき、警察官の右令状請求及び捜索、差押の実施方法に違法はないとして、地方公共団体の損害賠償責任を否定した事例 2 前項の捜索、差押の実施等に関する記事を掲載した新聞報道につき、個々の見出し及び記事を総合すると、相当数の読者に真実に反する印象を与えかねず、新聞社において、これを真実と信ずるについて相当の理由があったと認めるべき証拠もないとして、名誉毀損による不法行為の成立を認めた事例
職務質問のため自動車の発進を制止しようとして開いたドアと車体の間から手をのばしエンジンを切ろうとしたりハンドルをつかんだりした警察官の行為が適法とされた事例
1 爆発物製造所持の罪と同使用の罪とが併合罪の関係にあるとされた事例 2 爆発物取締罰則11条の自首には該らないが、刑法42条の自首に該るとされ、これを量刑の一資料として斟酌された事例 3 控訴審の破棄判決に対し被告人が上告の申立てをなしたが、上告趣意はすべて排斥され、上告棄却されたとき、上告審における未決勾留の算入はいわゆる裁定算入である
客の持込んだ生のビデオテープに有償で、自己のわいせつビデオテープを転写し又は客の持込んだわいせつビデオテープ等を転写した行為は、わいせつ図画販売に当たる