最も長い歴史をもつ判例実務誌
商標法3条1項3号に掲げる商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と商品の産地、販売地の誤認
共同相続人がその全員の合意によって遺産分割前の相続財産を構成する特定不動産を第三者に売却した場合における代金債権の性質
債権差押及び転付命令が特別送達郵便物として名宛人である銀行支店の受付係に交付されたときに送達の効力を生じその後に本店へ転送されても右送達の効力に影響を及ぼさないとされた事例
建物所有を目的とする土地賃貸借契約の期間満了にあたり、賃貸人の一方的な請求により当然に相当の更新料の支払義務が賃借人に生ずる旨の事実たる慣習ないし慣習法の存否(消極)
競買人がないため、新競売が数回繰り返されて、当初の競売不動産評価時から6年6か月後に実施された新競売に際し、再評価を命ずることなく最低競売価額を定めたことが違法ではないとされた事例
1 妻の有責行為で婚姻が破綻した後他女と同棲した夫からの離婚請求が認容された事例 2 妻のヒステリー性性格に基づく行為などが婚姻を破綻したとされた事例
宗教法人の管長職の権限が世俗面に及ばず、宗教的側面につき法主の権限を除く残余全部に及びこの側面で代表主管するものである場合には、管長の地位は宗教活動上の権利であって管長の地位確認訴訟は法律上の争訟性を有しないとされた事例
金融機関所持の定期預金証書裏面受取人欄に預金者(架空名義)の担印があっても、これが民法486条所定の受取証書に当らないとして預金の払戻が認められないとされた事例
訴訟上の和解が相手方の欺罔行為に基づくものであるとして取消の意思表示をするとともに期日指定の申立をした事件につき、訴訟終了の判決がなされた事例
化粧品の使用により顔面黒皮症に罹患したことを理由とする損害賠償請求訴訟において、被告(化粧品製造業者)の申立てに基き、第三者たる医療機関の所持する原告(患者)の診療録(カルテ)の提出命令が、民訴法312条3号前段の適用により認容された事例
2才2ケ月の幼児が、市道から約3、40センチメートル離れた田の中にある直径約1・5メートル、深さ約80センチメートルの野つぼに落ちて死亡した事故につき、道路の管理に関する瑕疵及び野つぼの設置・保存に瑕疵がないとされた事例
デリック(起重機)等により船荷を船倉内から巻上げて荷揚げするについては、デッキマン(甲板上作業員)はたえず巻上げ中の船荷の動静を注視し、できるだけ安全な位置を保持しながら巻上げるよう、ウインチマン(起重機等運転員)に適切な合図を送る注意義務がある
同和地区住民の子弟が、市同和奨学振興会規程に基づく部落解放同盟市協議会支部長の確認を受けなくても、同会に対して、入学支度金及び進学奨励金の給付を求め得るとされた事例
ベトナム戦争参戦拒否による迫害を避けるため不法入国したという韓国人に対する法務大臣の特別在留不許可処分(裁決)が違法ではないとされた事例
大阪市長の定めた妊産婦対策費支給要綱に基づき同和地区住民のした妊産婦対策費支給申請が行訴法3条5項にいう「法令に基づく申請」に当たり、同市長がその支給の許否を決定しないことに対し、不作為の違法確認を求めることができるとされた事例
退去強制令書の無効確認請求を本案とする執行停止申立事件につき、「本案につき理由がないとみえるとき」に該当するとして申立を棄却した事例
譲渡担保権者が債務者(設定者)との契約に基づいて担保目的土地を第三者に賃貸し地代を収受しこれを利息債権に充当したことにより債務者に右土地につき充当利息債権額相当の不動産所得が生じるものとされた事例
行政処分取消訴訟の係属中に、法律の改正により被告処分庁から当該処分に関する権限の移管を受けた行政庁は法律上当然に右訴訟を承継し、先に法務大臣によって指定された訴訟代理人のある限り、訴訟手続は中断しないとされた事例
1 義務存否確認訴訟又は処分の差止めを求める訴えは原則として許されない 2 理容師法11条の3第2項(美容師法12条の2第2項)に基づく厚生大臣の指定基準等は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(消極)
1 都市計画法63条1項に基づく事業計画の変更認可の取消しを求める訴えの出訴期間は、右認可がなされた時から起算すべきであるとされた事例 2 土地収用法34条の3による手続開始の告示は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(消極)
建築確認処分に対する審査請求に参加の申立てをした付近住民が行政不服審査法24条1項にいう利害関係人に当たらないとされた事例
空港の周辺住民が提起した運輸大臣の定期航空運送業者に対する事業計画認可処分の事前差止めを求める訴えが不適法として却下された事例
資産を収用権者以外の者に譲渡した場合には、その資産が譲受人により公共事業のために用いられても、租税特別措置法(昭和44年法律第15号による改正前)31条1項2号、33条、33条の2の特例の適用がないとした事例
1 住宅地内の私道負担付宅地を買い受けた者が、売主においてその私道につき建築基準法42条1項5号の道路位置指定申請をすることを、黙示的に承諾していたものと推認された事例 2 道路位置指定申請書に建築基準法施行規則9条に定める所有者の承諾書が添付されなかった瑕疵は、その所有者が申請に承諾していたときは、道路位置指定処分を当然無効とするものではないとされた事例
密入国後約10年間を日本で生活し、経済的にも安定し、子供もある者に対し、在留特別許可を与えなかったことに、裁量権の濫用がないとした事例
更生会社の共益債権の支払いに充てることのできる一般財産の額が共益債権の額を下廻る場合、共益債権である租税債権にもとづき更生会社の財産に対し滞納処分をすることは許されないとした事例
1 国は社寺等の国有境内地の時価売払申請に応ずる義務があるか(消極) 2 国が社寺等の国有境内地の時価売払申請に応じない旨の通知は行訴法3条にいう処分といえるか(消極)
1 国民年金の給付に関する処分等に対する訴の提起に審査請求前置主義を採用することは憲法32条の「裁判を受ける権利」を侵害するか(積極) 2 社会保険審査会の再審査請求を経ていない訴提起に行訴法8条2項の「正当な理由」が認められた事例 3 障害福祉年金と老齢福祉年金の併給制限が憲法14条1項に違反しないとされた事例
1 農地小作人は、当該農地に係る農地法5条の所有権移転許可処分の無効確認を求める原告適格を有しないとされた事例 2 農地法5条の所有権移転許可処分の無効確認請求訴訟において、当該農地の所有者の原告適格が否定された事例
通商産業大臣が大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律3条3項に基づいて行う大規模小売店舗の表示及び公示を求める申請は法令に基づく申請に当たらないから、右申請に対する応答の不作為は、不作為違法確認の訴えの対象とはならないとされた事例
昭和21年勅令第263号に基づく教員適格審査のため、師範学校講師への発令が遅れたことは、福岡県職員の退職手当に関する条例附則12項でいう「任命権者の手続の遅延のため」に当たらないとされた事例
当座預金の払戻請求権を受働債権とし、原告の従業員が偽造小切手によって同一預金の払戻を受けたことによる被告銀行の損害賠償請求権を自働債権とする相殺が認められた事例
1 航海士の航行上の過失による海難事故につき国際海上物品渾送法に基づく免責が認められないとされた事例 2 航行中の船舶と曳航される船舶との衝突事故につき曳航される船舶側に過失が認められなかった事例
エポキシ樹脂塗料を点模様の凹凸に吹付け、凸部の頂部を平坦にする壁面の製作方法の発明において、クレーム中の「カツト」の語義は、公報自体の解釈からも文字通り「切り取る」ことを意味し、また当時の技術水準で困難ないし不適当視されていた「押しつぶす」工法までは含まれず、その権利範囲は「切り取る」工法に限定されるとした事例(侵害訴訟棄却維持)
意匠法3条1項1号にいう「公然知られた」意匠とは、単に不特定または多数者にとって知り得る状態にあるだけでは足りず、現実に知られている状態にあることを要する。したがって、意匠権の設定登録があっても意匠公報の発行がない以上、仮に意匠登録原簿・出願書類等を閲覧できる抽象的・偶然的可能性が考えられても、実際に閲覧等の事実がない以上、公然知られたものとすることはできない
特許法44条1項(昭和45年法律91号による改正前のもの)による分割出願は、特許請求の範囲に含まれる発明に限られず、これと同じく公開された発明の詳細な説明または図面に記載された発明についても許され、このことは出願公告決定の前後を通じて変らない
訂正審決の確定により特許請求の範囲が減縮され、クレームのジアゾ成分が引用例のジアゾ成分と一致しなくなったので、その一致を前提とした審決は、当然訂正後の発明の要旨に即した無効事由を欠いたことになり、裁判所は専門技術庁である特許庁の審理・判断を経ずして独自にこの点について判断できないから、結局、審決理由だけでは結論が誤っているものとして取消されねばならない
審決理由において追加的にされた効果の説明は、新たな拒絶理由とはいえないので、拒絶理由通知を欠いた手続の違法はないとされた事例(別理由で審決取消)
特許出願中の発明につき、特許を受ける権利の帰属が争われ、承継出願人(本訴原告)の権利が否定され、反訴原告(未出願)の特許を受ける権利の確認請求が認容された事例