最も長い歴史をもつ判例実務誌
新聞記者の取材源は、民訴法281条1項3号にいう「職業ノ秘密」にあたるとして、記者の取材源に関する証言拒絶を正当とした事例
1 対立する債権につき相殺計算をする場合における債権額確定の基準時 2 民法634条2項所定の損害賠償債権の発生時期と期限の定めの有無
主位的主張と予備的主張との双方に対してされたと解すべき主張につき予備的主張との関係においてのみ判断の対象としたことが主位的主張との関係で判断遺脱を犯したものとされた事例
1 借地人が地上建物を第三者に譲渡した場合について、右借地人と建物譲受人との共同借地関係が成立したとの事実認定が違法であるとされた事例 2 共同借地人の一部の者に対してされた借地法12条に基づく賃料増額請求の効力
一部勝訴の仮執行宣言付第一審判決に基づく金銭債権の強制執行により金銭を取得したことを理由として附帯控訴状貼用印紙額についての訴訟救助付与の申立が却下された事例
仮処分債権者が仮処分執行時点において無過失であった場合と本案事件における仮処分債権者敗訴の控訴審判決送達による過失の推認
警察発表に取材し、犯罪組織の「黒幕」との見出しを付してなした新聞報道につき、その表現が真実に反しており、これを真実と信ずるについて相当な理由もなかったとして、名誉毀損による不法行為の成立を認めた事例
1 預託会員制ゴルフクラブの会則の法的性格がゴルフ場経営会社と会員との間の集団的な契約関係を規律する約款であるとされた事例 2 預託会員制ゴルフクラブに理事会の決議により会則を改正しうる旨の規定が存在しても、預託金返還請求権の履行期について一方的にその期間を変更しあるいは預託金の返還について理事会の承認を要するものとするような決議は原則として会員を拘束しないとされた事例
1 市街地改造法に基づく管理処分計画において施設建設物の一部を賃借りすることができる者として定められた者は旧建物賃借権を有していなかったとしても施設建築物の一部に対する賃借権を取得するとされた事例 2 賃借り希望の申出をする資格がない者に対し賃借りすることができる者と定めた管理処分計画の瑕疵は明白な瑕疵にあたらないとして同計画が無効であるとはいえないとされた事例 3 法規の解釈を誤解して賃料の一部不払の債務不履行につき信頼関係の破壊がないとして賃貸借契約の無催告解除が認められなかった事例
ビルの一室の賃貸借につき賃借人が差入れた敷金の性格を有する保証金の返還請求債権は、その性質上貸室明渡前には譲渡が禁止される債権とはいえないとされた事例
仮処分の本案訴訟において債権者敗訴の一審判決があり、右訴訟が現に控訴審に係属中であっても、債務者は、すでに一審に係属中の右仮処分異議事件において、本案判決の言渡により事情が変更したことを抗弁として主張することを妨げない
訴訟委任を受けた弁護士が、依頼者からの事情聴取及び依頼者に対する訴訟の進行状況等を報告しなかった結果依頼者を敗訴させた事案につき、右の弁護士に債務不履行の責任を認めた事例
航海中梱包に破損を生じた状態で陸揚された貨物につき、後日船積前、積載船舶未定として締結された海上保険契約を保険者に要素の錯誤があったとして無効とした事例
1 時効中断事由としての差押、仮差押は、権利者が自ら行うことを要すると解すべきである 2 第三債務者が消滅時効完成後に債務の一部を転付債権者に弁済しても、第三債務者の債務者に対する関係では、時効利益の放棄とはならない
1 新聞・テレビに対する材料提供者に各誉毀損の不法行為責任を認めた事例 2 男性に妻子があることを知りながら情交関係を結んだ女性の慰藉料請求が認められなかった事例 3 相手方の名誉を毀損する言動は相手方の自己に対する著しい名誉・信用毀損行為に対する防衛上已むを得ずなした反論であるとしてその違法性が阻却された事例
エッセイ中の「□□の生霊」との表現が一般読者において原告を指すと推知し得ない等の理由により、名誉毀損が成立しないとされた事例
1 航空法129条1項に基づく運輸大臣の許可は公共用飛行場の使用の許可を含むか(消極) 2 昭和45年運輸省告示第76号(昭和50年運輸省告示第340号による改正後のもの)及び昭和50年運輸省告示第341号に基づく特別着陸料の設定が無効であるとはいえないとされた事例 3 昭和45年運輸省告示第76号(昭和50年運輸省告示第340号及び昭和52年運輸省告示第345号による改正後のもの)に基づく延滞金の定めが無効であるとはいえないとされた事例
フィリピン共和国人男と日本人女の離婚事件につき、夫の本国法を適用して妻の離婚請求を排斥することがわが国の公序良俗に反するとして日本民法を適用して右の請求を認容した事例
賃借土地の使用目的変更承諾料債務の不履行を賃貸借契約の解除事由によるとしたが垣根の修理料不払は独立の解除事由にはならないと解した事例
1 弁護士謝金算定の基礎となる「得たる利益」とは、当事者が当該訴訟の結果得た実質的経済的利益をいうものと解すべきである 2 数人の弁護士が共同して訴訟追行を受注した場合は、各弁護士は依頼者に対し連帯債権者の地位に立つものと解するのが相当である
洋菓子の販売委託契約が実質的には建物の一部の賃貸借契約であると解したうえ、受託者が建物所有者から右の実質上の賃貸借が無断転貸である旨の告知を受けたときは、民法559条、576条により以後賃料に相当する金員の支払を拒絶できるとした事例
地目を畑とする土地の現況が宅地であるとの当事者間に争いのない事実につき公益上の見地から自白としての拘束力を否定し得るか(積極)
原告が、死因贈与の申込を証する書証として提出したが、書面が署名及び指印につき疑問な点のあること、その記載内容に不自然な点があることからして真正に成立したと認められないとした事例
自衛隊員が公務従事中に死亡した事故につき、その原因が被害者自身にあることなどを理由に国の損害賠償を否定した事例 (A)基地開庁記念行事としての展示飛行中、飛行機の墜落によりその搭乗員が死亡した事案 (B)航空自衛隊員が海上における救難訓練に参加中溺死した事例
いわゆる日米行政協定に基づき国に雇傭され在日米軍に使用される労働者(非国家公務員)に対し国が安全配慮義務を負うとされた事例
1 売買契約当事者(独立の中間取次店)の認定事例 2 順次の売買契約に基づき商品を仕入れた場合であっても、その商品の受領が取引通念に照らし不公正な方法でなされたときは、最初の売主との関係では法律上の原因がないというべきである
1(1) 賃貸不動産の譲受人が、所有権移転登記を経由しても、これに優先する第三者の仮登記に基づく所有権移転登記が併存する場合は、右譲受人は賃借人に対して賃貸人の地位を主張できない (2) 賃貸不動産を相続した者は、登記なくして賃貸人の地位を主張できる 2(1) 賃料債務について、共同相続人の内1人がなした催告も有効である (2) 右催告に示された延滞家賃額が実際の額と相違していても同一性を損なうと考えられない限り催告は有効である (3) 賃借人の目的物返還義務は、物の同一性がなくなれば履行不能となって消滅する
国税犯則取締法に基づく捜索等が、捜索差押許可状に記載された場所と異る場所で行なわれ、かつ、翌日午前1時30分頃まで継続して行なわれたことが同法2条及び8条に違反する旨の主張が排斥された事例
1 公労法40条1項の規定が新設された趣旨 2 国有林野事業に従事する定員外職員は、雇用期間、身分保障、賃金、休日等の労働条件において定員内職員より若干不利益な取扱を受けているが、労基法91条所定の制限を超える減給処分が処分権の濫用とはならないとされた事例
1 国税も会社更生法210条の関係では他の共益債権と同様に取扱われ、なんら優先権を主張しうるものではない 2 会社更生法210条の2第3項では取消しうる対象から滞納処分が除かれているけれども、これは更生裁判所がなす簡易な手続による取消の対象から除外されたものにすぎず、行政訴訟による滞納処分の取消を禁じたものではない、とした事例
1 タイプ業務等による頚肩腕症候群の業務起因性が認められた事例 2 他の疾病による症状としての性格をもつ場合であっても、医学上業務を原因とする疾病としての性格をも有力に合わせもつ場合には業務上疾病と認められる 3 休業補償給付請求権の消滅時効の起算点
争議行為を行った公務員の懲戒処分について、人事院勧告の完全実施の有無も、懲戒権者の裁量の当否の判断の基準の一となるとされた事例
国有林野事業に従事する作業員の争議行為について、その争議行為の規模、態様、影響等に加えて作業員の地位等を考慮すると、懲戒処分は酷に過ぎ、処分権の濫用になるとされた事例
1 狭頭症による新生児の脳性麻痺と医師の出産施術との間に因果関係がないとした事例 2 狭頭症による新生児の脳性麻痺について吸引分娩術を施行し、帝王切開をしなかった医師に過失がないとした事例
レーダー式速度測定機を使用して速度違反車取締りに従事中、速度違反車として被告人車を検挙した違反車現認係警察官に、違反車両を現認した際被告人車とその先行車とを誤認したと疑う余地が十分にあるとして無罪が言い渡された事例
原判決の認定した「対向車とすれ違った際、その前照灯に眩惑され、前方注視が困難な状態に陥ったから、このような場合、直ちに一時停止するなどして同車とすれ違い視力の回復をまち進行すべき注意義務があるのに、これを怠り……」との注意義務違反を過失として、「すれ違った直後、進路前方約5メートルの地点に歩行中の被害者を発見し……、自車前部を同人に衝突させた」との発生した結果につき刑事責任を認めることは、理由にくいちがいがあるものとされた事例