最も長い歴史をもつ判例実務誌
腎炎の治療としてなされたキドラの長期投与によって、クロロキン網膜症なる眼障害を惹起した医師の過失等が肯定された事例
精神病質との診断によりロボトミー(前頭葉白質切截術)を施行した結果、患者に対し人格低下という後遺症を被らせた場合において、同手術に関し本人の承諾を欠如しかつ手術の最終手段性の制約を逸脱した違法等があるとして、右手術を決定した医師及びこれを実施した医師らについて、不法行為による損害賠償責任を肯定した事例
未熟児網膜症医療過誤訴訟において、医師の診療に関する過失が肯定された事例 1 未熟児網膜症発生原因の認定 2 医師の注意義務ないし過失の判断基準 3 定期的眼底検査実施義務違反の成立 4 定期的眼底検査実施義務違反と視覚障害との相当因果関係 5 網膜の未熟性素因と財産的損害賠償減額の可否(消極) 6 失明同然の視覚障害を残した児の両親の慰藉料請求権(積極)
1 ストマイの副作用に対する国の措置に違法がないとされた事例 2 医師法24条の2所定の厚生大臣の指示の要件 3 厚生大臣がストマイにつき医師法24条の2所定の指示をしなかったことが違法ではないとされた事例 4 国は結核患者の医療の主体か(消極) 5 医薬品製造業者は医薬品につきその副作用等使用上の注意事項を添付文書等に記載する義務を負うか(積極) 6 ストマイの添付文書等に副作用の記載が欠けていたとして製造業者の責任を認めた事例
1 外国人は憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されるか 2 出入国管理令21条3項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうかの判断と法務大臣の裁量権 3 出入国管理令21条3項に基づく法務大臣の在留期間の更新を認めるに足りる相当な理由があるかどうかの判断に対する裁判所の審査 4 外国人の政治活動の自由と憲法の保障 5 外国人に対する憲法の基本的人権の保障と在留の許否を決する国の裁量 6 外国人の在留期間中の政治活動をしんしゃくした在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当な理由がないとして更新を不許可とした法務大臣の処分が違法とはいえないとされた事例
日本人の夫と日本語をほとんど解しない米国人の妻との間に日本で生まれ英語をほとんど解しない日米両国籍を有する女児の監護養育を妻に任せるのが幸福に適するとして妻から夫に対する子の引渡請求が認められた事例
「火の国観光ホテル」なる営業表示を使用する旅館業者の同業者に対する「火の国」の呼称を生ずる営業表示の使用差止請求が排斥された事例
1 ゴルフクラブの会員の地位の相続が否定された事例 2 ゴルフクラブの会員の死亡と同人を原告とする会員たる地位確認等請求訴訟の帰すう
1 警察署の看守係が、戒具として、柔道衣の帯及びタオルを使用したことが違法にあたらないとされた事例 2 監獄法19条1項に定める「暴行」がある場合にあたり、したがって、戒具の使用が許されるとされた事例
マンション分譲の際の広告及び説明により駐車場付であると信じてマンションを購入した者の駐車場使用を目的とする賃貸借契約は、マンションの分譲をうけた居住者がその所有する自動車の使用を必要としなくなるまで存続するという期間の定めがあるものというべきであるとした事例
係争地について被告の時効取得が認められ、これにより原告所有地が当初の被告所有地と隣接しなくなる場合、当初の原被告所有地の境界確定訴訟において原告は当事者適格を有するか
信用保証協会が債務者の物上保証人との間でした代位の頭割りの制限を排除する特約及び求償債務につき法定利率より高率の遅延損害金を定める特約は、抵当不動産の利害関係人に対しては効力を有しない
1 仮処分の本案判決で被保全権利の存在を否定する場合と不当仮処分を理由とする損害賠償の反訴についての仮処分申請人の過失の推定 2 仮処分の本案判決で被保全権利の存在が否定された場合において不当仮処分を理由とする損害賠償の反訴請求を排斥した事例
解散の決議をし任意整理に当っていた有限会社から、その整理資金を出した会社への事業用資産などの取引が有限会社法40条1項1号所定の営業譲渡にあたるとされた事例
共有者の一部が提起した土地境界確定訴訟を却下した一審判決に対する控訴審において残余の共有者がした共同訴訟参加により欠缺の補正が認められ、事件を一審に差戻すことなく控訴審の実体判断を示すのが相当とされた事例
臨海工業地帯開発組合からの所有地買収を免れるため代替地を買入れてこれを提供しようとしたが、右買入れが地主の無権代理人との間でなされたことが判明したため右代替地を取得し得ず、自己所有地を提供せざるを得なくなった場合、無権代理人に対してなされた損害賠償請求訴訟における損害額の算定につき、自己所有地及び右代替地のその後の値上りをいかに考慮すべきか
昭和37年法律67号による改正前の国税徴収法施行当時、非営業貸付金の元本利息及び損害金の一部の弁済を受け残額を免除した場合について、利息損害金の貸倒れによる回収不能が認められないとして同法161条による過誤納付の主張が排斥された事例
15名の共同鑑定人中の1人がさきに鑑定の対象について私的鑑定をしている場合その鑑定人のみについて忌避を申し立てることができるか(積極)
同一所有者に属する土地及び地上建物について各別に優先順位を異にする抵当権が設定されている場合において右土地及び地上建物が一括して競売ないし入札払いに付されるときの評価額と法定地上権斟酌の要否
賃借権設定の仮登記を有する者は競売法27条4項3号にいわゆる「登記簿ニ登記シタル不動産上ノ権利者」にあたるか(消極)
ガードレール塗装工事の作業場、資材置場として使用するための土地の賃貸借が建物所有を目的とするものにあたらないとされた事例
有限会社の代表取締役が、同人の義弟でその会社従業員(総務部長)の無権代理人として、市中の金融業者との間に結んだ担保契約につき、民法110条の正当理由がないとされた事例
スロットマシンが大量に賭博用に改造され暴力団員に売渡されたかのような犯罪事実の新聞記事が事実に反し関係者の名誉を毀損したものとして、新聞社に不法行為責任が認められた事例
隣接する田の耕作者など限られたわずかの人しか近付かない山林中の腐朽した立木が風で倒れて下草刈り中の田の耕作者にあたったためその者が死亡した事故につき、当該立木の腐朽が民法717条2項の瑕疵にあたらないとされた事例
4才2か月の幼児が簡易水道の格納庫の鉄扉に手指を挟まれて負傷したのは、右鉄扉の保存に瑕疵があり、かつ安全対策義務違反があったためであるとして、占有者である水道組合と水道供給業務担当者とを共同不法行為者として損害賠償請求を認めた事例
情交関係があったかどうかは、男女間の機微に属することであるとしながらも、判示のような事情が認められる場合には性的交渉があったと推認するのが相当であるとされた事例
裁判上の書類の送達は、転送を申出た受送達者又はその代人の意図、動機等主観的事情に拘らず、法定の方式に従い、正当な受領権者に交付された以上、有効である
1 信用保証協会と銀行間に銀行は信用保証協会の保証付貸付金をもって旧債振替をしてはならない旨の約定があるにもかかわらず銀行が旧債振替をした場合と信用保証協会の保証責任 2 信用保証協会の保証付貸付金の債務者が信用保証協会に対して負担する借入金残額に対する借入債務の弁済期の翌日から代位弁済の前日までの一定割合の違約金の性質
自転車通行人が道路に落ちていた拳大のセメントレンガの破片に乗り上げ転倒して後続自動車に轢過され死亡した事故につき、道路管理者の道路管理の瑕疵に基づく損害賠償責任を否定した事例
抵当権者が仮処分によって賃借権の付着しない状態で建物を競落させたいとの意図のもとになされた執行官保管・賃借権設定仮登記抹消の仮処分申請は、仮処分の付従性及び仮定性の要求に反するから許されないとして却下された事例
民訴法665条2項所定の「競買価額ヲ申出ツ可キ催告後満一時間」を過ぎないうちに競売を終局したことが違法であるとして競売許可決定が取り消された事例
売買の目的たる土地につき所有権移転登記の抹消予告登記が存する場合において「売主力相当ノ担保ヲ供シタ」ものと認められた事例
1 土地所有権移転登記手続を求める旧訴から供託金還付請求権確認の新訴への変換的訴の変更が適法とされた事例 2 廃川敷地の公示のなされるときに当該廃川敷地下付請求権を有することの確認を求める訴の利益(積極) 3 旧訴の請求原因事実が新訴の抗弁事実に対する先行自白と認められなかった事例
電車軌道の踏切を自転車で横断中の被害者が急行電車にれき過された事故につき右踏切に警報機の設置を欠いたことが工作物設置の瑕疵に該ると認められた事例
営業を継続していない破産会社に対する債務の履行地については、商法516条1、3項は適用されず、民法の規定が適用されるものと解するのが相当であるとされた事例
自動車が舗装工事によって生じた道路の段差に乗り上げた衝撃により助手席同乗者が受傷した事故につき、右段差を半年余にわたって放置し、しかも適切な標識を設置しなかったことが道路の管理の瑕疵に当るとされた事例(過失相殺3割)
平穏な家庭生活を営んでいるものに対し執拗に面会を求めて自宅や会社に立入ったり、頻繁に電話をするなどしたことが違法として、慰藉料の支払いを命じるとともに、人格権ないし人格的利益の侵害として、妨害行為の差止めを命じた事例
1 国税徴収法39条所定の第二次納税義務につき「徴収すべき額に不足する」かどうかを判定する基準時 2 会社の法人格を利用しながらその形骸化を作り出した者の包括承継人がその法人格を否認することは許されないとされた事例
義弟といわゆる交替運転による観光ドライブ中の事故で受傷した義兄からの加害者に対する損害賠償請求につき、義弟の運転上の過失が民法722条2項にいう被害者の過失にあたるとされた事例
所有者である父親から自動車の無償貸与を受け常時これを運行の用に供していた者が、友人と共に外で食事をしドライブを楽しむため、右友人の求めにより同人に自動車を運転させ、本人は同乗して進行中事故に遭遇したときは、本人は、右友人に対し自賠法3条にいう他人であることを主張して損害賠償を求めることは許されない
いわゆるスモン訴訟において、スモンの原因、患者の病状等の鑑定を命じられた15名の鑑定人のうちの1名について、鑑定対象につき訴訟外で当事者の一方の依頼によって鑑定したことがあることを理由として忌避の申立が認められた事例
ひとさし指の先端切断創の治療を継続した後、同指を全部切断するに至った場合に、医師のとった措置が適切であったとして、診療債務の不履行責任を否定した事例
民法877条所定の親族関係の存在しない者相互間において、扶養に関する法律関係が家事調停により定められている場合、右調停の当事者間において調停条項変更を求める調停が申し立てられ、この調停条項変更を求める調停が不成立となったときは、その調停条件が終了するに止まり、それが審判事件に移行することはない
遺産分割の審判として、遣産の取得者に対し、いわゆる債務負担による金銭の支払を命ずるには、遺産取得者の遺産相続関始後の使用収益の態様その他一切の事情を考慮して、分割払を命じなければならないような特段の事情がない限り、単に一時に支払ができないという理由のみで分割払ないし支払猶予を容認すべきではないとされた事例
実質上回復すべき地位を有しない有限会社の取締役が提起したその取締役を解任する旨の社員総会決議不存在確認の訴の利益(消極)
商標権侵害を容認した4事例 (A)1 被告使用の標章「TECHNOS ROYAL MASTER」の要部は「TECHNOS」にあるので、原告の登録商標「TECHNOS」と称呼・観念・外観上から類似するので商標権侵害が成立する 二、商標権侵害による損害額は原告の実施許諾による事例から卸売価格の2パーセントとするのが相当である 三、阻却事由としていわゆる真正商品の並行輸入というためには、商標権者である原告が、原産国の製造・商標権者と同一人が、これと同視できる関係にあることを要する (B) 被告使用の標章「TEAL」等からは「テアル」、「テイアル」、「テイール」の称呼が生じるので、「テアク」、「テイアク」「テイーク」「テイアック」の称呼が生じる原告の登録商標「TEAC」に類似するとして、商標権侵害を認め、使用差止として販売・展示・広告の頒布を禁じ商品の廃棄を命じた事例 (C)1 字体で若干異なるだけの標章「CONTINENTAL」の使用による商標権の侵害を認め、標章を附した商品の輸入・譲渡・展示を禁じ、商品の廃棄を命じた事例 2 標章「Continental」は頭文字以外が小文字からなり字体を若干異にするが、本件登録商標「CONTINENTAL」と取引上実質的な差異がないから、その使用は本件登録商標の使用というに妨げない (D) 被告の使用する標章「盛光」「登録盛光」からは「もりみつ」の称呼を生じるから、「かねひさもりみつ」のほか「もりみつ」の称呼を生じる原告の登録商標「カネヒサ(図形)盛光」に類似するので、商標権侵害に当るとして、先使用権、中用権等の抗弁をしりぞけ、差止請求と、販売価格の3パーセント相当額の損害賠償請求が認められた事例
商品の形態自体も出所表示の機能を有すれば、不正競争防止法1条を有すれば、不正競争防止法1条1項1号にいう「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」とみてよいが、原告製品であるシャネル・バッグの形態上の特徴が、訴提起時または弁論終結時に原告の商品表示として周知性をそなえていなかったとして、差止請求が棄却された事例