最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 注意義務判断の基準((イ)(ロ)) 2 眼底検査の実施義務の成立((イ)(ロ)) 3 酸素療法実施上の過失の成否((ロ))
全身麻酔による骨盤骨折術の施行中、患者が悪性過高熱となり、脳循環不全等により死亡するに至った事故につき麻酔担当医らに、患者の体質、家族歴等に関する問診義務の違背等がないとした事例
個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的としてされた知事の児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものとして国家賠償法1条1項にいう公権力の違法な行使にあたるとされた事例
1 民事事件又は行政事件の訴訟当事者たる受刑在監者が口頭弁論期日に出頭する権利と憲法の保障 2 受刑在監者から、その者を当事者とする裁判所への出頭許可申請があった場合における刑務所長の許否裁量基準 3 行政庁に対するいわゆる義務確認訴訟、処分の差止訴訟、義務づけ訴訟の許否
太平洋戦争における未帰還者について厚生大臣に対し現地調査をなすべき義務のあることの確認を求めるいわゆる無名抗告訴訟の適否(消極)
地方公共団体との間で土地交換契約をしたが所有権移転登記を経ていなかった者の新旧両土地についての固定資産税、都市計画税の支払義務
1 証明書類の添付のない国税通則法23条の更正請求の適法性 2 国税通則法23条の更正請求の棄却処分取消請求訴訟における所得の立証責任
使用者の警告制止にもかかわらず使用者の所有ないし占有する工場の敷地内において従業員に対し組合活動としてビラを配布する行為を継続することが正当な組合活動とはいえずこの者に対する出勤停止処分は無効でないとされた事例
船舶抵当権に優先する先取特権で担保される「雇傭契約に因りて生じたる船長その他の船員の債権」とは、予備船員を含まない船長その他の船員の最後のしかも過去1年以内に雇止となった雇入契約(商法295条にいう雇傭契約とは異る)から生じた給料およびその他の各種手当、退職金をいうが、給料以外の債権は、その対象在籍期間に対する当該船舶への乗組期間(これに付加される有給、傷病休暇期間も含む)の割合に応じた限度に限ると解した事例
父の認知及び入籍手続により自動的に父が親権者になる趣旨の大韓民国民法第909条の規定が、法例第30条に則り適用を排除された事例
離婚のやむなきに至らしめた共同不法行為者に対する損害賠償(慰謝料)請求において、共同不法行為の成立が認められた場合にも、一方加害者の行為の結果に対する度合いが非常に少ない場合で、かつ、そのことが証明されている場合には、その者については右関与の度合いに応じた範囲での責任のみしか負わすことができないとされた事例
1 多額の金銭的対価を得てなされた認知請求権放棄の意思表示の効カ 2 認知請求権放棄後の訴提起が権利濫用とならないとされた事例
養親の一方が死亡した後養子が生存養親と離縁した場合に養子を直ちに縁組前の氏に復せしめる戸籍先例を妥当として追認した事例
銀行預金を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して右預金の払戻請求をなすことを要するとの事実たる慣習があるとしたが、共同相続人の1人が右慣習による意思を有していたとは認められないとして、預金払戻請求を認めた事例
架空名義の記名定期預金の預金者は金員の出捐者であるとし、預入者を預金者としてなした相殺につき民法478条の類推適用が否定された事例
取引先の小売業者に対する競争品の取扱いを禁止した継続的取引契約が有効であるとして、右契約に違反した小売業者に対し損害賠償の支払を命じた事例
他人の名称もしくは著名な略称として商標法4条1項8号の不登録事由にあたると判断した二つの事例 (A)商標「Sonyan」は、語尾の2文字「An」が英語の語尾として直感され易いから、ソニー株式会社の著名な略称「Sony」を主要部として含み、無効とすべきである。 (B)1 美容医学の研究団体である財団法人日本美容医学研究会(無効審判請求人)の名称としての要部は「日本美容医学研究会」であるから、商標「日本美容医学研究会」は、他人の名称を含み、無効とすべきである 2 不登録事由としての他人の肖像・氏名・名称は、著名であることを要しない
周知事項を前提にすれば、明細書の考案の詳細な説明が、実用新案法5条3項の要件を充たしていないとはいえないとして、開示不十分を理由として拒絶した審決を取消した事例
1 商品の形態も不正競争防止法1条1項1号における商品表示たり得る 2 商品の形態がその技術的機能に由来するものであれば不正競争防止法による保護は受けられない
1 「都山流尺八」は普通名称である 2 「財団法人都山流尺八楽会」と「都山流尺八協会」の名称は混同されるおそれがないとして、名称使用禁止を求める仮処分申請が却下された事例
後日領得する意思で、集金先から勤務会社宛の売掛金を自己の銀行預金口座に振込ませた行為について、財産上の損害発生及び任務違背行為がないとして背任罪の成立を否定した事例
無線通信の共同聴取の事案において、その一部の者につき他の者に対する無線通信の秘密漏洩罪(電波法109条1項)の成立を認めた事例
審理に際し、いわゆる支援者と目される多数の者が法廷内外で不当な行状を繰り返したことにつき、被告人もこれと一体となっていたことが明らかであるほか、被告人みずからも、裁判所構内まで来ておりながら入廷しないとか、無断退廷、出廷拒否等、訴訟秩序をことさらに無視し、審理の進行をいたずらに遅延させるような態度に出たことなどを指摘し、このような訴訟への対応の仕方は被告人に反省の念がないことの徴表であると判断し、このことを情状のひとつとして量刑上参酌した事例