最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 地方公共団体の長のした職務権限外の行為についての相手方の悪意・重過失と民法44条1項 2 町長のした職務権限外の行為につき相手方がその職務行為に属さないことを知らなかったことに重大な過失があるとされた事例
不法行為により死亡した国家公務員の得べかりし利益の喪失による損害賠償債権を相続した者が右公務員の死亡により遺族に支給される退職手当、遺族年金、遺族補償金の受給権者でない場合と相続した損害賠償債権額から右各給付相当額を控除することの可否
1 判決正本が届出の送達場所において同居者あるいは事務員に適法に送達されたと認められた事例 2 控訴の追完が認められないとされた事例
農地法5条1項本文の規定による知事の許可を法定条件とする農地の売買契約締結後において、右土地が都市計画法の規定による市街化区域となり、さらに適法に宅地化した場合と買主の所有権取得の時期
建物の賃貸借契約において賃貸人が改造を理由に一時的に建物の返還を受けて改造を完成したのちこれを第三者に賃貸して引き渡した場合と賃借人に対する損害賠償責任
1 応訴、反訴提起、控訴提起がいずれも不法行為に該当しないとされた事例 2 訴訟中の攻撃防禦方法について違法性がないとされた事例
浴室における換気装置の不備によって一酸化中毒死事故についてその設置者およびガス供給者の債務不履行および不法行為責任が否定された事例
1 受傷した失業者の逸失利益を否定した事例 2 傷害の発生原因が不明であるとして、自賠責保険金、傷害保険金の請求をいずれも否定した事例
手形を流通に付する意思をもって手形用紙の振出人欄及び支払場所欄の記載をし、振出人名下に押印した者は、その意思に反して流通におかれた右手形について責任を負うと認められた事例
毒物及び劇薬取締法5条、同法施行規則4条の4所定の拒否事由がない場合においても、保健衛生上の安全を明らかに害すると認めるときは、輸入等の登録拒否処分をすることができるとされた事例
1 日本自転車振興会が競輪選手に対して行った競輪出場のあっせんの保留が違法とされた事例 2 右違法なあっせんの保留についての日本自転車振興会役員個人の損害賠償責任
1 文房具販売業者に対してなされた同業者6名の平均的差益率、所得率による推計課税が、右同業者の選択につき立地条件、営業年数、同業者との近接度、販売方法(店頭売と納品売)を考慮していないとして合理性がないとされた事例 2 推計課税の必要性が肯定された事例 3 同業者の住所氏名を明らかにしないでする推計方法の適否及び、同業者の住所、氏名を明らかにしない書証の形式的証拠力の有無(いずれも積極) 4 行政事件訴訟法33条1項により訴えが却下された事例
名古屋市の地下鉄建設工事に関する事業認定、収用裁決につき、起業地内の土地所有者・借地権者らからなされた執行停止の申立が、回復困難な損害があるとはいえず、かつ停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとして却下された事例
1 放送会社労組の争議行為としてのマラソン実況中継車ピケティングが正当性を欠くとされた事例 2 争議行為開始の事前通告がおくれても争議行為の正当性は失われないとされた事例
経営難打開のための方策は経営者の判断に委ねられているが、労働者の生存権との関係もあり、経営者は合理化のための解雇をさけるべく、それ以外に合理化の目的を達しうる手段がありかつこれが容易であれば、その方法をとるべき信義則上の義務を負うとして17名の整理解雇が合理性を欠き不当労働行為であるとした事例
反戦系大衆行動に参加して逮捕され欠勤し会社当局者に抗議行動をとった者に対する懲戒解雇が、犯罪事実は明らかでないが、欠勤は労働者の責に帰すべきものであり、その後の会社当局に対する抗議行動により業務を妨げたことを理由に、権利濫用でないとされた事例
米軍の人員貨物の航空輸送を業とする会社が、その乗員を横田基地から都内宿舎まで送迎するため雇傭していた自動車運転手を、米軍需要減退による乗員送迎数減少を理由として整理解雇したことが、解雇権濫用にならないとされた事例
スクラムすわりこみにより取引先の納品を妨げ、又スクラムバリケード等により従業員の出社を妨害する等のピケティングが正当性なしとされた事例
海外技術協力事業団が海外技術協力の為の派遣予定者に対し派遣契約成立を見込んで支度料等を交付したところ、右契約が不成立に終ったので不当利得として返還を求めたのに対し、契約不成立につき事業団に責ありとして信義則によって右請求を棄却した事例
令状によらない捜索差押につき刑訴法220条1項2号の「逮捕の現場」の要件を欠くとしてその適法性を否定し、右違法な捜索差押によって収集された証拠物および右証拠物についての鑑定書は、証拠としての許容性を有しないとされた事例
必要的弁護事件において、弁護人が在廷命令に従わず退廷した場合に、弁護人が在廷しないまま審理を進めることができるか(消極)
1 都市計画法29条の開発工事にあたる宅地造成に関する工事をしようとする者は、都道府県知事の開発許可のほか宅地造成等規制法8条1項による許可をも受けなければならない 2 売買目的物件である建物につき建築基準法6条の確認を受けていないこと、及びその宅地につき右の宅地造成の許可、開発許可を受けていないことは、いずれも宅地建物取引業法47条1項にいう「重要事項」に該る
1 暴力行為等処罰に関する法律1条に定める共同暴行罪の罪数 2 学生集団が他の学生集団に共同暴行を加えたという暴力行為等処罰に関する法律1条違反の事件について訴因の明示を欠くとされた事例
デモ行進につき所轄警察署長が道路交通法77条3項に基づいて付した「隊列は4列縦隊とすること」という条件が違法でないとされた事例
1 道路標識の設置場所が適切でないため交差点で左折した車両に対する関係で適法有効なものといえないとされた事例 2 道路標識による最高速度の指定が無効である場合において故意による法定最高速度遵守義務違反の罪が成立するとされた事例
市が管理する公園で4才になる児童が熊に上腕部を咬断された事故について、同公園の看守人が業務上過失致傷の責任を問われたのに対し、無罪の言渡がなされた事例
土木工事の施行途中に生じた死傷事故について工事注文者である県側の監督員であった被告人に過失が認められないとされた事例
1 武器等製造法三一条後段にいう「銃砲」の意義 2 ウインチェスター銃型モデルガンを改造した所為が同法31条前段の罪にあたるとされた事例