最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 国家公務員法100条1項にいう「秘密」の意義 2 外交交渉終結前の個々の会談の具体的内容の秘密性の有無 3 国家公務員法111条にいう「そそのかし」の意義と同罪成立の要件 4 新聞記者の取材行為が右「そそのかし」の構成要件に該当することを認めながら、正当行為にあたるとして無罪の言渡をした事例
1 航空機の騒音等による生活妨害につき人格権、環境権侵害による損害賠償請求およびこれにもとづく差止請求の肯否 2 不法行為、差止請求の要件とての違法性と空港公共性 3 将来の慰謝料請求の当否 4 航空機の騒音等による賠償請求と国家賠償法1条1項の適用の肯否 5 航空機の騒音等の差止請求訴訟の民事訴訟性 6 航空機の騒音等による慰謝料算定の基準
(1 昭和27年法律第126号該当者に対する出入国管理令適用の有無 2 在日朝鮮人に対する退去強制処分について法務大臣の裁量権の行使が濫用に当るとした事例
1 いわゆるインフレ手当支給を目的とする争議行為が平和義務に違反するとしてその差止を命じた事例 2 いわゆるインフレ手当支給を目的とする争議行為が平和義務に違反しないとしてその差止を求める仮処分申請を却下した事例 3 右争議行為差止仮処分申請を必要性なしとして棄却した事例
熊本水俣病を告発する目的で株主となった、いわゆる一株運動派株主より提起されたチッソの定時株主総会決議取消請求が認容された事例
甲地から乙地を分割した残地(丙地)の買主が、売買契約に付随してなされた縄延地折半の特約に基づき、丙地に生じた縄延地の一部を、既に乙地を他に譲渡している旧乙地所有者に返還した場合において、縄延地の一部についてなされるべき登記の手続
賃権担保を目的とする代物弁済予約において債務者が目的物件の時価と被担保債権との差額の清算金を請求することが信義則に反し許されないとされた事例
残代金不払を理由に不動産売買契約を解除するにあたり、売主が所有権移転登記手続の履行提供をしないままでした残代金の支払催告および条件付契約解除の意思表示が有効とされた事例
執行裁判所に民訴550条の書面を提出してなされた執行処分の取消請求に対し、執行裁判所のとった措置に対する不服申立方法
被告名を誤まったため前訴を取下げるに至ったが、右は被告の法人格詐称が原因であるとして被告に対し損害賠償を請求し、認められなかった事例
自創法による農地買収等の無効確認請求訴訟で勝訴した者が、右訴訟係属中に右土地に加えられた工事により、その利用価値が極度に減少したとして市に対してその損害を求め認められた事例
金融業者が父名義の裏書を偽造した長男の持参した手形を割引きもしくは手形貸付をした場合につき、手形裏書の真否を調査することを怠った過失があるとして、損害賠償額の算定について斟酌した事例
1 仮換地を対象として売買がなされた場合と従前の土地についての売買の成否(積極) 2 土地の共有者全員がその各持分を第三者に売渡し、持分の移転登記を経由しない間に、共有者の1人から売渡済の持分の譲渡を受けた共有者が、その旨の登記を経由した場合と右第三者に対する対抗力の有無(消極) 3 登記請求権だけ独立して消滅時効にかかるか(消極)
1 農地の売渡処分が重大かつ明白な瑕疵があることにより無効とされた事例 2 農地売渡処分が農地の地番を誤ってなされた場合の効力
1 賃借土地の用法違反が信頼関係を破壊するほどのものと認められないとされた事例 2 賃借土地の無断転貸につき背信行為に当らないと認められる特段の事情が存在するとされた事例
建物工事の元請会社が倒産したため、下請人らが、未だ建物に付合していると認められない同人ら所有の工事材料を引きあげたことにより、注文主が、その回復工事をしなければならなくなった場合に、注文主は右下請人らに対し損害賠償の請求ができるかどうか問題となった事例
被害者の両親が治療費を支払った場合でも、加害者と被害者の両親の間の特別の関係から、右治療費を被害者の被るべき損害として、被害者において請求できないとされた事例
1 「ヒグマ」の縦覧施設の設置・管理に瑕疵があったとされた事例 2 柵を乗り越えて「ヒグマ」に接近して受傷した小学三年の児童についての過失の程度を約5割とした事例
被保険者である会社の名目上の取締役Aが深夜会社の車で同社従業員に運転させ、トルコ風呂に行く途中受傷した事故につき、同社はAに対し運行供用者責任を負わないとして同社の保険金請求を棄却した事例
障害等級1級(下半身麻痺)の後遺症を負った被害者に対する将来の付添看護費用として余命期間中1日当り1,000円を認めた事例
自賠法施行令別表の5級3号に該当する後遺症(一下肢を足関節以上で失ったもの)を残した被害者の逸失利益の算定について、労働能力喪失率を50パーセント程度と認定した事例
家具販売会社の商品を運送する者につき、同会社の運送部門を常時担当する関係にあったことが推認できるとして右会社の運行供用者責任を認めた事例
車両の運行により有形・無形の利益を得ている会社につき、車両の所有者の私事で運行中の事故に対する運行供用者責任を否定した事例
衝突後の車両が家屋内に飛びこんだ事故について、物損だけにとどまったけれども、深夜であり、原告およびその家族が衝撃のため多大の精神的苦痛を蒙ったことが認められるとして12万円の慰藉料を認めた事例
1 貨物自動車への荷物の積込が終った後に、荷台後部の側板を閉鎖しようとしたところ、板側が落下して発生した事故について、自動車の運行によるものと認めた事例 2 右側板の閉鎖に従事しなかった運転手に、過失を認め、免責の主張を斥けた事例
無免許運送業者の逸失利益は、事故時の収入に基づいて算定すべきではなく、事故時における運輸・通信業男子労働者の平均賃金によるべきであると判断した事例
外傷性頚部症候群の症状を呈し、524日間入院した被害者に対して、右入院のうち88日間を超える期間は、事故との相当因果関係を肯定することができないと判断した事例
地方公務員等共済組合法により遺族年金を受領した場合には、受給権者は、受領額の限度において、自らの相続した逸失利益の損害賠償請求権が減縮するとの判断をした事例
1 原付自転車を運転して県道を走行中、道路左側の山肌の壁面より剥離して落下し、路上に散乱していた石塊に乗りあげ、ハンドル操作の自由を失い、道路下へ転落死傷した事故について、道路管理者である県知事に管理上の瑕疵があるとして県に対する賠償請求を認容した事例 2 他方被害者にも、前方不注視、運転操作の誤りという過失があり、その事故発生に対する寄与の割合は80パーセントであると認めた事例
自賠法施行令別表の8級6号に該当する後遺症を残す被害者が、事故後、事故前を上廻る収入を得ている場合に、同人の逸失利益を、労働能力喪失率を15パーセントと認めて算出した事例
1 防火地域の指定等、土地の利用状況の変化を理由に建物の構造に関する借地条件変更申立を認容した事例 2 右認容にともなう付随処分として、更地価格の約15パーセントに相当する金銭の支払を命じた事例
1 準防火地域、準工業地域の指定、その他土地の利用状況の変化を理由に建物の構造に関する借地条件変更申立を認容した事例 2 右認容にともなう付随処分として、更地価格の12パーセントに相当する金銭の支払を命じた事例
1 商業地域、防火地域、第七種容積地区の指定、その他土地の利用状況の変化を理由に建物の構造に関する借地条件変更申立を認容した事例 2 右認容にともなう付随処分として、更地価格の約10パーセントに相当する金銭の支払を命じた事例
1 商業地域、準防火地域、第五種容積地区、その他土地の利用状況の変容積地区、その他土地の利用状況の変化を理由に建物の構造に関する借地条件変更申立を認容した事例 2 右認容にともなう付随処分として、更地価格の12パーセントに相当する金銭の支払を命じた事例
卵容器に関する意匠登録出願について本願意匠が引用例の写真版に示された電球容器に関する意匠と類似するとして拒絶審決を是認した事例
卵容器に関する意匠登録出願について、拒絶理由とされた引用意匠の内容が客観的に確定不可能であるとして、拒絶審決を取消した事例
「粉状鉱の排出設備を具えた焼結鉱冷却装置」に関する特許権につき引用文献の奥付が昭和35年9月30日となっていても、現実の発行は特許出願後の同年10月27日であったことに当事者間に争いなく、特許無効とした審決が取消された事例
「軟質塩化ビニールパイプの包装」に関する実用新案権について、その登録を無効とした審決を是認する判決確定後5年を経過したのちの再審請求の訴は不適法として却下されるべきである
「ベアリングとギアの取付装置」に関する大正10年法の下における実用新案登録願について出願公告後に提示された訂正案によっても、なお引例から容易推考の域を出ないして拒絶審決を是認した事例
目覚し兼用のトランジスタに関する実用新案権につき、本件考案は、無効理由とされた引用例の真空管式のものをトランジスタ式のものに改変したことに伴う必然的な作用効果又は設計上の改良を出ないとして登録を無効とした審決を是認した事例
「合成糸製造方法における改良」に関する特許出願について、引用例との相違点はいずれも出願前周知の事項ないし常套手段に属すことから、同一発明を理由とする拒絶審決を是認した事例
「自動調心軸承の製造方法」に関する特許出願について引用例における合成樹脂に代えて外側環状体を強靭な弾性を有する金属を用いたことは、十分に技術的意義を有し、単なる材料の選択ではないとして拒絶審決を取消した事例
「脱穀截断装置における截断藁の放出装置」に関する実用新案登録願について先願考案は本願考案のものをも包含するとし拒絶審決を是認した事例
「非藁の誘導排出装置」に関する実用新案登録願について、脱穀機において排藁口にクリンプ網を設けることは二つの引例からきわめて容易に推考しうるとして拒絶審決を是認した事例
「印刷機用給紙機」に関する意匠権につき、その登録無効審判を請求した会社が破産宣告を受けたのち、なされた審決は、手続中断中の審決であるとして取消された事例
消火器に関する実用新案権に基づく損害賠償請求事件について、被告側係員の作成した図面に基づいて作成された対象物件の構造に関する自白の撤回が許されないものとした事例
「乾燥昆布の製造法」に関する特許発明の訂正審判を排斥した審決について、数個の訂正請求事項のうち一つの事項についてのみ訂正を許すべきものとして、審決取消請求の一部を認容した事例
「動力耕耘機の車輪移動装置」に関する特許権につき、元の権利者に対する無効審判請求は不適法であって、これを現権利者に対する請求に訂正することは許されないとして、訂正を認めた審決を取消した事例
「物干用竿掛」に関する意匠権に基づく損害賠償請求事件について、イ号物件が登録意匠の範囲に属するかどうかについては、支持台を設けない状態で判断すべしとして、権利者の主張を認容した事例
隊道推進工法に関する特許権に基づく差止請求について、イ号方法が迂回または不完全利用であるとの権利者の主張が排斥された事例
「連続式ホンザンビータ」に関する実用新案登録願について、引例のバター整形機との相違点に格別の技術的意義なしとして拒絶審決を是認した事例
「合成繊維の嵩性捲縮糸による特殊縮織物の製造法」に関する特許出願について、引用例と周知技術から容易に考えられるとして拒絶審決を是認した事例
「貯蔵可能樹脂粉末」に関する特許出願について、引用例のものとは、得られる樹脂粉末の組成を異にし、用法を異にするとして、拒絶審決を取消した事例
「狭隙面・曲面等の研磨に便ならしめた可撓性車輪形研磨工具」という実用新案登録願について、権利者の主張する作用効果も、個々との公知技術について当然予測される効果の単なる集合の域を出ないとして、拒絶審決を是認した事例
「合成樹脂袋密封法」という特許権について、特許を無効とした審決が、袋の口部を強く押し包む口金が、上下の型に沿って変形するに当り、その肉が内方にのみ膨出するという本件特許発明の技術思想を看過しているとして、審決を取消した事例
「電解二酸化マンガンの製造法」に関する特許出願について、物理的方法によってチタニウム板の酸化フィルムを除去し粗面とする技術思想はすでに引用例に開示されているとして拒絶審決を是認した事例
「磁気資料記憶装置」に関する特許出願について、出願前公知のツイスタ記憶装置を勘案して、発明の要旨を認定すべきものとし、拒絶審決を取り消した事例
「刈取脱穀機における穀稈搬送装置」の実用新案権につき、その登録を無効とする審決が当事者間に争いのない事実により、搬送チエンおよび挟扼杆を穀稈供給口に傾斜して取付ける構造に関する引用例との相違点を看過したとして、取消された事例
1 暴行の態様と右暴行により生じた傷害の部位などの判示について矛盾がないものとされた事例 2 証人尋問の請求を却下した原審の措置に訴訟手続の法令違反としての審理不尽の疑いがあるが判決に影響を及ぼすことが明らかであるとまではいえないとされた事例
1 兇器準備集合罪の成立時期 2 兇器準備集合罪における共同加害の目的につき加害対象の認識を欠かないとされた事例 3 アジア大平洋協議会(いわゆるアスパック)の性格、政治的使命と司法審査権
精神病者の祈祷治療に当った祈祷者の傷害致死事案につき、祈祷者が祈祷性精神病にかかっていたことを理由に、その責任能力が否定された事例
1 入院手続をとって部屋の使用を開始した後1週間後に入院したのに、診断書に入院手続をとった日を入院日と記載した場合診断書虚偽記載罪が成立するか(消極) 2 患者が無断で外出、外泊し病院に殆んどおらず、診断も治療も受けていないのに診断書に「入院加療中」と記載した場合診断書虚偽記載罪が成立するか(消極)
息子に「むじな」が憑いているものと信じて、その追い出しを図った母親の傷害致死事案につき、母親が祈祷性精神病にかかっていたことを理由に、その責任能力が否定された事例