最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 参議院地方区の議員定数配分の不均衡と憲法14条1項 2 議員定数配分の不均衡の違憲性と選挙結果に異動を及ぼす虞の有無
1 保安林所在地の住民と、右保安林指定解除処分取消訴訟の原告適格の有無(積極) 2 右解除処分後の事由(森林性喪失又は代替施設工事)による訴えの利益の消滅の有無(消滅せず) 3 裁判所の違憲審査権行使の要件 4 いわゆる「統治行為」と司法審理の範囲 5 憲法9条の法意 6 自衛隊は憲法9条2項の「陸海空軍」に該当するか(肯定) 7 保安林指定解除処分の目的が違憲の場合と、森林法26条の「公益上の理由」の存否(否定)
未登記建物の所有者においてその建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを承認していた場合と民法94条2項の類推適用
株主総会における役員退職慰労金支給に関する「金額、支払時期、支払方法等を取締役会に一任する」との決議を有効とした事例
1 給与取得者の逸失利益の算定にあたり弁論終結後年率10パーセントの昇給こみベースアップを見込んだ事例 2 労災による退職のさいに退職金のほか一率支給される3000万円の見舞金が損害填補の性質を有すると解した事例
1 剣道試合中の突により生じた傷害につき、故意又は重過失なく、通常生ずべき傷害であれば被害者の予じめの承諾により免責されるとした事例 2 使用者が労働者の業務遂行中の負傷につき治療および災害補償手続上負担する配慮義務の範囲につき判示した事例
市長選挙に際し相手方候補の支援団体からの新聞配布に対し人格的利益の侵害を理由としてその配布等の禁止を求める請求が認められないとされた事例
高層マンションの居住者が、日照、通風の阻害を理由として隣地に建設予定の6階建マンションの3階以上の工事禁止を求めた仮処分申請が却下された事例
1 手形裏書と詐害行為取消権 2 人的抗弁の対抗を受ける手形の裏書は詐害行為となるか(積極) 3 請負契約の履行不能による損害賠償債権が詐害行為の後に発生した場合に、請負契約に基づく完成・引渡を求める債権が右行為以前に成立していることを理由として詐害行為取消権の被保全権利になるとされた事例 4 隠れた取立委任裏書の裏書人に対する裏書を詐害行為により取消す旨の訴が認容されるべき場合に、これと併合審理されているその被裏書人に対する手形金請求の訴の帰すう
タクシー会社の従業員親睦団体が「社長さん 2号をはなしてうちをかこってね、 ね」等のビラを含むビラ40枚を会社施設に無断貼付した行為が懲戒解雇事由に該当しないとした事例
1 労組がスト参加者にストによる賃金カット分を貸付けながら、スト中組合脱退者のみにその返還請求をしても組合員平等原則違反の取扱いといえないとした事例 2 組合脱退者が労組に闘争資金の返還を求めえないとした事例
1 試用期間の延長はその旨の合理的理由のある場合にのみ許される 2 試用期間延長の通知は必要であってこれを欠くとき、当初の期間満了とともに労働者は本採用者の地位を取得する
1 賃金協定(労働協約)失効後もこれが労働契約の内容となっている以上、事情変更の原則の適用ある場合を除き、使用者が一方的に賃金を減額することはできないとした事例 2 事情変更の原則を適用するだけの事情変更ありと認められなかった事例
後退車の後方安全確認義務違反を否定し、事故発生の責任は前方注視義務と通行区分遵守義務に違反した自動二輪車側にあるとした事例
農地の引渡しを求めることを主眼として弁護士に調停に関する行為を委任したところ、同弁護士が本人の意思を確認しないまま、右農地を耕作者に売り渡す旨を内容として成立させた農事調停が無効でないとされた事例
バス待合所の管理人がバス待合所内の長椅子を移動させたため、これに気付かず腰をおろそうとした待合客が転倒して負傷した事案につき、右管理人の過失を認めた事例
不動産の買主丙が売主乙の前主甲から中間省略により直接所有権移転登記を経た後、甲丙間の訴訟で甲乙間の売買契約が無効であるとの理由により右所有権移転登記の抹消登記手続をなすべき旨の判決があって確定した場合に、乙が丙に対して負う右不動産の所有権を取得して丙に移転し、かつ、その旨の所有権移転登記手続をなすべき義務の消滅時効の起算点
言論の応酬と名誉権侵害の成否 名誉権侵害を含む先行非難(批判)に対する反論について名誉毀損等による不法行為が成立する限界
1 農業協同組合が非組合員に対してなした貸付が農業協同組合法10条1項1号の事業の範囲外で無効とされ、かつ、右貸付金を担保するために締結された代物弁済予約および抵当権設定契約は、右貸付が無効であることによる同額の不当利得返還請求権を担保するものではないとされた事例 2 不動産の賃貸借の終了と貸主の間接占有の存否
1 抵当権設定物件である建物に設置されたエレベーター、配電盤に対し抵当権の効力が及ぶとされた事例 2 右エレベーター、配電盤の占有取得が占有改定によるときと民法192条の適用の有無
文学座研究生が、交通事故による傷害のため演技の続行が不可能になり、俳優を断念せざるを得なくなった事情をも考慮して慰謝料100万円を認容した事例
同族会社の従業員である息子が、会社の営業車を酩酊した友人に運転させ、助手席に同乗中に負傷した事故につき、右息子は事故当時の具体的運行供用者で、自賠法3条の「他人」には該当しないとした事例
交差点での出会い頭の衝突事故につき、事故が両当事者のいずれの信号無視によるものか明らかでなく、加害車の運転者の過失の立証がないとして同人への請求および保有者への物損請求を棄却し、反面右運転者の無過失および被害者の有過失の立証もないとして保有者への人損請求を全額認容した事例
交通事故による右内踝骨折の傷害から、電撃性肝炎に移行することは通常起らないとして、事故と電撃性肝炎による死亡との相当因果関係を否定した事例
製品運搬を依頼した会社が、車両所有者に対し、当該車両の運転者について、積極的な関与・依頼をなしたとしても、車両の使用、運転者の雇傭関係等につき、所有者との間に具体的取り決めがない以上、当該会社は、単なる荷主の立場にあるとして、当該会社に対する運行供用者責任および使用者責任を否定した事例
加害者間の求償請求につき、既払分については過失割合に応じた求償額を認容し、未払分については、未だ求償権が発生していないとして右請求を排斥した事例
国道上、路肩部分(未舗装部分の舗装部分と接した部分)に長さ5.3メートル、巾1.5メートル、深さ12センチメートルの凹部(事故当時水溜となっていた)が存することは、公の営造物の設置又は管理の瑕疵に該当すると判断した事例
被害者(死亡)と重婚的内縁関係にあった女性に対し、扶養請求権侵害に基づく賠償請求は、扶養を要する状態になかったとして否認し、慰藉料は150万円認めた事例
1 豪雨による山崩れによって起った交通事故につき、被告神戸市に道路管理上の瑕疵があるとされた事例 2 右事故につき運行供用者の免責(不可抗力)の主張の成否 3 被害者の過失の有無 4 好意同乗と慰藉料の減額
1 売買契約の債務の履行として車両を引渡した後の事故につき、自動車販売会社の運行供用者責任を否定した事例 2 運転者が飲酒していることを知り、かつ定員を2名も超過する状態で長距離を走行する車両にあえて同乗する不注意につき5割の過失相殺をした事例
事故発生後に設立された会社が個人会社であって実体は変らないとして権利義務はそのまま承継されたものとみて、使用者責任を認めた事例
交通事故による受傷の後に抑うつ症状、躁うつ病の発病によって左手首切断の自傷行為をなした場合につき、事故との相当因果関係を認めなかった事例
会社の取締役が、交通事故により遂行できなくなった職務の割合に応じた役員報酬につき会社から受給することを辞退したうえ、これを加害者に対し自己の被った損害として請求できるとした事例
国道から分岐している小道に入るべく右折しようとした自動車とそれを追越そうとした後続車が接触した事故について、右折車の運転手に過失を認め、過失割合を右折車6、後続車4とした事例
A所有の自動車をその夫Bが運転し、Aと2子C・Dが同乗中電車と衝突して全員死亡した事故について、Bの両親がC・Dの相続人として損害賠償を請求したのに対し、A・Bとも運行供用者と認めたが、Bに対する請求権は混同により、Aに対する請求権は目的達成により各消滅したとして棄却した事例
精肉店経営者と独立開店した元従業員との間に、経営者が開業資金を貸付け、名称使用を黙認し、肉の仕入に便宜を図る等の援助をし、それに対して元従業員も閑な時などに店舗の手伝、自己所有車(事故車)を使用しての配達をするという関係にある場合、元従業員が手伝の帰途に起した事故について、経営者に運行供用者責任を認めた事例
巾員約50メートルで、片側四通行帯よりなり、第二、第三通行帯は信号待ちの車輌が連なって停止している道路(甲道路)と巾員6.5メートルの道路(乙道路)が交差する交差点内において、乙道路より交差点に進入して停止車輌の間を進行して来た自動二輪車と甲道路第四通行帯を進行して来た乗用車が衝突した事故について、過失割合を自動二輪車6、乗用車4とした事例
明確な給与関係規則と昇給制度のある大企業の従業員の死亡事故について、被害者が過去に昇給し、将来も昇給する可能性が高いと認められる場合には、諸手当、賞与および退職金の算定基礎となる基本給のみの定期昇給見込を逸失利益の算定にあたり考慮することは、控え目な算定方法として許されるとした事例
級友(高校生)に依頼し、その運転する原付自転車の後部荷台に同乗して、放課後家まで送って貰う途中、級友の過失(一時停止義務違反)も加わって、普通貨物自動車と衝突した事故について、被害者にも、運転者に対して指示・助言等をなす義務を怠った過失があるとして1割の過失相殺をしたが、運転者である級友の過失は被害者側の過失とみるべきでないとした事例
1 自動車貸借人がその実質において貸借名義貸人であることを理由に運行供用者責任を否定した事例 2 工事注文者の自動車運行供用者責任(消極) 3 道路の管理につき瑕疵が認められないとされた事例
借地上の建物増改築に対し地主の事前承諾があったか否かにつき紛争のある事案につき、増改築の承諾に代る許可申立をした借地人に申立適格がないとした事例
1 脱退組合員が組合在籍中の機関決定による臨時組合費の徴収債権の不確定を主張し、これが認められなかった事例 2 右臨時組合費の徴収決定が、公労法17条違反の行為を助長する結果になるとしても、それが直ちに民法90条に違反し無効であるとはいえないとされた事例
「金属の接着法」に関する特許出願について、長時間経過後の接着の実施が可能であることは化学常識上自明のこととし、このことを特段の効果とする出願人の主張が排斥された事例
「改良せる触媒および触媒を使用する重合方法」に関する特許出願について、その発明の一実施例が引用例の一実施例に比し、格段の作用効果の相違があっても、それほどでもない場合もあるとして全体として拒絶相当とした事例
「直接運動を回転運動に変換する装置」に関する特許出願について、引用例との相違点が直接運動と回転運動との点にあっても、運動量の変換機構として格段の差異なしとして拒絶審決を是認した事例
「自動跳上バケット装置」に関する特許出願について、出願人の主張する作用効果も周知の事項に属するとして拒絶審決を是認した事例
「複式軸間隔自在調節装置付き多軸穿孔機」に関する実用新案登録出願について引用例との相違点も普通に用いられる手段であるとし拒絶審決を是認した事例
「輪状物の梱包材」に関する実用新案権に基づく差止仮処分申請却下決定に対する抗告事件につき、権利侵害の成立を否定して、抗告を棄却した事例
1 「札幌ラーメンどさん子」が東京都内および近郊で広く知られた営業表示であるから、同じ標章を使用する行為について差止請求を認容した事例 2 「どさん子」という商号の登記の抹消請求が排斥された事例 3 「札幌ラーメンどさん子」という営業表示が広く知られていても「どさん子」という商号登記の抹消請求が排斥された事例
1 「ハンガー」に関する実用新案権について、公知技術を参酌し対象物件の構造との相違点から、権利侵害を否定した事例 2 「ハンガー」に関する意匠権について、連繋部の形状における相違点から権利侵害を否定した事例
導火線が不完全であるか、または導火線・雷管を欠いた手製爆弾およびダイナマイトが爆発物取締罰則の爆発物と認められた事例
自動車運転者の業務上過失傷害事件に関し、起訴状記載の公訴事実以外に事実を付加認定するについて、訴因の変更を要しないとされた事例
1 反抗抑圧状態にある被害者不知の間になされた財物の奪取につき強盗罪の成立を認めた事例 2 強盗強姦罪の包括一罪を構成するとされた事例
駅構内で貨車にセメントの積込み作業をしている日通人夫が積込みを終った貨車を押し流しこれを留置中の機関車等に接触させる場合の注意義務
認定事実に対する適条が混乱している場合につき、それが理由不備に当らず、訴訟手続の法令違反であって、判決に影響を及ぼすことが明らかでないとされた事例