最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 譴責処分の付着しない労働契約上の地位確認ないしは右処分の不存在(無効)確認が適法とされた事例 2 労働協約所定の苦情処理手続が民訴法上の仲裁手続にあたらないとされた事例 3 使用者に対する労働者の企業秩序違反行為調査協力義務の範囲について判断した事例
1 労働組合は規約に定めがあっても、使用者に対し組合員の雇用関係確認を求める適格も利益もないとした事例 2 公労法17条は合憲であると判断した事例 3 国鉄職員の争議行為中禁止されるものの範囲につき基準を示した事例 4 動力車乗務員の争議行為中禁止されるものの範囲につき具体的基準を示した事例 5 争議行為の共謀、あおり、そそのかしが禁止される範囲につき争議行為に通常随伴するか否かを問わないとした事例 6 10割休暇闘争が争議行為にあたるとされた事例 7 動労幹部が合理化事前協議制の獲得等のため全国4拠点で実施した4時間休暇闘争が公労法の禁止する争議行為であって、これを理由とする解雇が正当とされた事例
1 地方自治法74条の2第8項の訴えの形式 2 右訴訟における異議決定手続上の瑕疵の取扱い 3 署名簿の署名の効力に関する異議についての審理手続が違法とされた事例
1 甲所有の物を買い受けた乙が売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合における丙の甲に対する物の引渡請求と甲の留置権の抗弁 2 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合においてその被担保債権の支払義務者が第三者であるときの判決主文
1 法人税青色申告についてした更正処分が理由附記の不備のため違法とされた事例 2 青色申告についてした更正処分の理由附記の不備と審査裁決による瑕疵の治癒
1 自作農創設特別措置法による買収計画または買収処分に対する取消訴訟の提起と買収土地の取得時効の中断 2 自作農創設特別措置法による土地の被買収者が右土地の売渡の相手方に対し取得時効を中断する方法 3 自作農創設特別措置法による買収土地が売渡の相手方により時効取得された場合と右土地の所有権の回復のみを目的とする買収計画取消訴訟の利益
1 市町村立小中学校教員の時間外勤務手当の負担者 2 静岡市立学校長の適法な権限に基づかない命令により時間外勤務をした教職員の時間外勤務手当請求権 3 静岡市立小中学校教職員の修学旅行ないし遠足における引率・付添いの勤務による時間外勤務手当請求権が認められた事例
日照・通風阻害を理由とする鉄筋コンクリート造6階建マンションのうち4階を超える部分の建築工事禁止を求める仮処分が却下された事例
1 執行官法19条の許可を受けないで他の執行官の援助を得てなした執行行為は違法か 2 建物の明渡を命ずる債務名義に基づき当該建物の一部に対する明渡の執行ができるか 3 1室の明渡執行の完了時期
1 従業員の無断私用運転の会社の車に同乗中負傷した被害同乗者が、当日の運行が会社の業務と直接関係のないことを知っていても、当該会社は自己の業務にさしつかえない限り自由に車の利用を従業員に許容している等の事情がある以上、その同乗が予測外であるとして運行供用者責任を免がれることができない。 2 慰藉料の算定に際し、好意同乗車側には、同乗者に危険の引受けがあるとしてこれを減額し、相手車側には過失の程度の小さいことをもって好意同乗による減額と同一の減額をした事例
1 佐藤首相訪米阻止闘争で兇器準備集合、公務執行妨害により起訴され勾留中の国会職員に対する起訴休職が裁量権の逸脱なしとされた事例 2 国会職員に対する起訴休職制度が憲法13条、28条、31条に違反しないとした事例 3 国会職員の公平審査制度は憲法28条に違反しないとされた事例 4 公平委員会の構成は不公平でないと判定した事例 5 公平審査手続が違法でないとされた事例
1 労基法上の安全衛生に関する規定が行政法規だからといって労働契約上の保護義務の内容たり得ないとはいえないとした事例 2 労働契約上の保護義務不履行による損害賠償請求において労災保険金控除後過失相殺をした事例 3 事故による外傷性脳神経症において被害者の心因性要因も症状に寄与しているとして信義則と過失相殺とを類推し逸失利益を若干減額した事例
春闘時に発令された組合事務所使用妨害禁止仮処分が、春闘終了後労使関係が正常に復し妨害のおそれがなくなったことを理由に事情変更により取り消された事例
バス運転士が所持金証明書を携帯せず私金を所持して乗務すること9回、収納料金から100円を無断寸借すること1回に及んだので懲戒解雇されたことは、権利濫用でないとした事例
1 パリ条約による優先権に基づく出願と特許法の生産方法の推定 2 特許法の生産方法の推定と推定を覆えすための抗弁 3 特許権に基づく差止請求の対象方法について出願公告がなされたときの法律関係
警察官が相手方の同意を得ずにショルダーバックのチャックを開き内容物を検査して証拠を発見・差押えた行為が具体的状況の下で適法とされた事例
第三者がすでに被害者の救護の措置をとっている場合にも、加害者たる被告人に道交法72条1項前段の救護義務があるとされた事例
拾得した一般線引小切手による小切手金額の支払を受けようとして、その目的を遂げなかった場合に詐欺未遂の成立を否定した事例
赤色の停止信号に気づかず横断歩行者をはねた事故につき、信号機が赤と断定するのには疑問があるとして、その過失責任を否定した事例
交通整理の行なわれていない、交差点で右折しようとする車両の運転者の後続車に対する注意義務とその後続車両運転者の先行車に対する注意義務
信号を看過して交差点で衝突した双方の運転者の過失責任(2件) イ 黄色信号を看過して交差点に進入したとする過失責任が否定された事例 ロ 赤色信号を看過して交差点に進入したとする過失責任が肯定された事例
手形判決を取消して請求を棄却した判決に対する控訴審で控訴棄却を言渡すにあたり、民訴法198条2項による返還を命ずることの可否
1 不動産の賃貸人がその不動産の所有権を第三者に移転しても、旧所有者が賃貸人の地位を失わないとされた事例 2 土地の賃料増額請求後、新たに増額の条件が具備しなくても、重ねて増額の請求をすることができるとされた事例
土地の賃借人から賃貸人に対する借地の二重賃貸による債務の履行不能に基づく損害賠償の請求について過失相殺が認められた事例
第三者異議訴訟等の控訴審において担保を供して強制執行停止決定を得た場合には、特段の事情のない限り一審での執行停止のための担保の事由は消減しない
信用組合が割引手形の買戻請求債権を自働債権として相殺するにつき割引依頼人に対する意思表示を要しないとする契約の効力(消極)
賃借建物の構造変更、造作付加には賃貸人の書面の承諾を要するとの特約に違背した賃借人に対する契約解除を許さなかった事例
臨済宗東福寺派管長に対する「右者今般宗盟上不行為ノ点ニ依リ師弟ノ関係離脱到シ候ニ付僧籍削除被成下度此段請願候也」、同管長名義の「依願除籍之件許可する」なる書面は法律関係を証する書面に当るか(消極)
酔いと疲れで道路上に横臥していた者を、交差点で大曲りに右折して来た普通乗用車が轢過負傷させた事故につき、右横臥者に対し約3割3分の過失相殺をした事例
自己車両で被害者を受傷させ、その損害全部を支払った原告が、事故は専ら被告所有の被告運転者の過失によるとして、第三者弁済による代位求償請求をしたのに対し、事故が双方の過失によると認定し、共同不法行為に基づく求償として請求を一部認容しても、弁論主義に反しないとした事例
1 下請人の雇傭人である加害運転者を直接指揮監督する立場にあったとして元請人に使用者責任を認めた事例 2 求償権担保のために加害車両の登録名義人となっていたにすぎない者は自賠法3条の運行供用者にあたらないとした事例
交通事故の被害者の勤務する会社が休業中も被害者に支払った給与について、加害者のための事務管理にあたるとして会社からの加害者に対するそれ相当額の償還請求を認めた事例
1 兄の所有する車を大破された弟(運転者)からの車両損の請求を認めた事例 2 縁故入学による入学も、法的に保護される利益であるとして、大学が1年間遅れた部分の損害を認めた事例
軽微な追突事故による傷害で、他覚的・客観的所見に乏しく、自覚的愁訴を主とする鞭打症状について、心因的なものがあることを肯定しながら、これを特段考慮することなく、神経精神科脳神経外科の鑑定に基づき自賠法施行令別表7級3、4号に該当するものと認め、3年間については56%、その後5年間については28%、その後5年間については14%、更にその後5年間については7%の労働能力を喪失するものとして逸失利益を算定した事例
夫の運転していた車が、駐車中の他車に衝突し、同乗の子が死亡、妻が負傷した事故につき、子および妻の他人性は認めたが、慰藉料については、親族関係にあることをもって通常の3分の2程度を減額し、更に好意同乗をもってその5分の1を減額した事例
発車の瞬間、あるいはその直後の電車に、ホームから転落してはさまれ重傷を負った被害者から、電鉄会社に対する賠償請求につき、工作物の管理設置の瑕疵、駅長車掌の過失を認めず、商法590条2項の免責も成立するとして電鉄会社の責任を否定した事例
タクシーの乗客として同乗中、追突されて負傷したバー経営を兼業とする工員の休業損害算定に際し、妻の附添費用は認めないかわりに、バー経営に際しての妻の寄与率を控除せず、又工場分の休業日数267日については、昼夜兼業にもともと困難が存する、として右のうち180日に限定してこれを認めた事例
長年肺結核を患っていた者が、追突事故によって鞭打ち損傷を蒙り、その後心不全に至った事案について、心不全発病を双方の原因競合によるものとし、そのうち鞭打ち損傷は3分の1寄与したとして、この限度で事故との相当因果関係を認めた事例
面識ある第三者らと飲酒し悪酔した車の保有者が、自己の車の後部座席で居眠りしている間に右第三者に運転された場合でも、車の保有者は自賠法3条および民法709条の責任を免れないとして、衝突されて死亡したタクシーの運転手の遺族からの請求、タクシー会社からの物損の請求を認めた事例
交通整理の行われていない見透しの悪い交差点を横断中の小学生に自動車が交差点中央附近で接触した事案につき、前者の過失は慰藉料算定についてのみ斟酌し、その余の損害については後者の過失の重大さに照らして、過失相殺しなかった事例
事故日、昭和39年11月26日、調停申立、同42年11月25日、同不成立、同43年9月16日、訴の提起、同月19日、請求額584,200円、その後同46年9月9日請求額を900,000円に拡張した事案につき、調停の申立時に拡張請求額と同額の提起があったものと認め、全額につき消滅時効の中断を認めた事例
車を奪われ運転して逃げられそうになったので、取り戻すべく車内で抵抗中に起きた事故につき、車の所有者の運行供用者責任を否定した事例
事故によって胸部・背部を打撲した事案につき、死亡直前まで治療を行っていた胸膜炎との因果関係は認め、直接の死亡原因となった急性白血病との因果関係は否定した事例
1 土砂崩れをさけるために後退中崖下に転落した事案につき、道路管理者に責任を認めた事例 2 車の同乗者に、運転者に対する運転中止勧告等の義務を怠った過失として1割を過失相殺した事例 3 好意同乗者の慰藉料を2割減額した事例
1 事故による頚椎損傷の傷害で入院治療を受けたが、退院直後、更に腰痛をも訴えて治療が長期間に及んだ事案について、心因的要因によって長びいた傾向がみられるとして、特に腰痛発生後の治療は被告のみの責任に帰することは相当でないとした事例 2 宿直勤務手当は一般労働の対価ではなく、宿直勤務に従事しなかったとしてもこれを損害ということはできないとした事例
新車であっても自動車登録を受けたあとは10万円ないし15万円程度、交換価値が下落するものであることは公知の事実であるとした事例
寝具類の販売を業としている者のような自営業者の収入を正確に把握するためには過去1年ないし3年間の収益の実態を立証する必要があると判断した事例
1 交通事故による鞭打症と自殺との間に条件的な関係があることは否定できないが、相当因果関係が認められないと判断した事例 2 右のように条件的な関係にしろ原因結果の関係が認められるときには、傷害による逸失利益の算定にあたり、公平の見地から自殺という後発的事情は斟酌すべきでないとした事例
中央分離帯の端に設置された街路灯に衝突した事故について、右街路灯が破損して点火していなかったことと事故の発生との間に相当因果関係がないと判断した事例
病院の施設・附属品等一切を含む経営を譲り受けた者に対し、現実の引渡しのなされていない自動車の起した事故について、運行供用者責任と使用者責任を認めた事例
1 夫の兄の経営する事業の従業員の運転する自動車に同乗していた女性が、右従業員の過失も競合して事故が発生し受傷した場合、右従業員の過失は被害者側の過失ではないとした事例 2 クラブとバーを経営し、同時に両店のママとして稼働していた女性の稼働期間を10年間とした事例 3 受傷者の夫に固有の慰藉料を認め、幼少の子供に認めなかった事例
交通事故による傷害の治療費として金銭を支払ったが、右治療は事故と相当因果関係がなく、不当利得返還請求権が発生するに至った場合、右不当利得返還請求権を自働債権とし、右事故に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺が許されるとした事例
1 借家人に建物ならびに土地賃借権譲渡を許可した事例 2 右譲渡に伴う付随処分として借家権を考慮しない借地権価格の10%に当る金銭の支払いを命じた事例
建物譲渡に伴う借地権譲渡申立を認容し、譲渡許可に伴う付随処分として借地権価格の10%に相当する金銭の支払いを命じた事例
1 増改築許可申立を却下した事例 2 更地を建物所有の目的で賃借した借地人が建物建築につき増改築許可の申立をした事例
附近土地の利用状況の変化を理由に借地条件を変更し、財産上の給付として、右変更による借地権価格の増加分(更地価格の8%)に相当する金銭の支払いを命じた事例
個人商店の経営者が手形行為として記名捺印するにつき、商店名と経営者の氏名を記載し、商店之印と表示された印影を押捺しただけの場合に手形要件としての記名捺印があると認めた事例
英国で振り出された為替手形の裏面の英文でタイプされた保証文言の下に大阪府においてローマ字で「ケイ・タナカ」と手書きした者に対し手形保証の責任を認めた事例
「背抜上衣」に関する実用新案の登録を無効とした審決につき、公知技術がズボンに関するものであるとき、これを背広上衣に応用することは容易ではないとして審決を取り消した事例
「物体上の被覆厚の測定方法並びに装置」に関する特許出願について、不足手数料を給付した補正書に誤記があったため、給付がなったものとして審判請求書を却下した決定を取消した事例
「濾過器」に関する実用新案登録出願について、考案の曲面壁は引例のものと材質および構造において顕著な差があるとして、拒絶相当とした審決を取り消した事例
「刈取脱穀機」に関する実用新案登録出願について、先願の考案に含まれる切断装置の設置箇所に関する二つの場合の一つについて出願したものとして同一考案との理由による拒絶審決を是認した事例
「精麦機における転軸部の構造」に関する実用新案権であっても、その権利範囲は精米機における同一の構成を具えるものに及ぶとし、差止めおよび損害賠償の請求を認容した事例
「DL-ピロリドンカルボン酸の製造法」に関する特許出願について、引用例のものとはその基本的技術思想を異にするとし、拒絶審決を取り消した事例
「合成樹脂製仕切兼用包装体」に関する実用新案登録出願について、引用例の材質を転換したにすぎないとした審決が取り消された事例
「被服類のポケット」に関する実用新案登録出願について、周知の織布製ポケットの底部を引用例の網片で形成したにすぎないとして拒絶審決を是認した事例
「ハンダ合金」に関する特許出願について、本願発明における金属の組成割合が引用例の範囲内にあるとして、引用例と同一発明とした拒絶審決を是認した事例
「コンクリート板の接合装置」に関する技術出願について、部材の接着材としてポリエステル樹脂中に砂を混入したものを用いることによる効果を主張しても、明細書にその記載なしとして拒絶審決を是認した事例
「書架支柱製造装置」に関する特許出願について、引用例と対象物、構成、作動方式および作用効果の各点における相違点から拒絶審決を取消した事例
1 電気機器について、二つの円内のそれぞれに鶴の絵と寿の字を画いて組み合わせた商標出願について、鶴を円形に画いた引用例をもって拒絶するのを相当とした事例 2 商標登録願拒絶査定不服審判において、拒絶査定と異なる拒絶理由によって拒絶相当の見解に到達しても拒絶査定を取消すことなく、審判請求を排斥すれば足りるとした事例
ベンジンに関する「二葉衿神」という商標について、社員が有する権利を会社が許諾によって使用していても、社員退社後使用権限なしとして権利侵害の判断が示された事例
「ゴルフ用手袋」に関する実用新案権について「手首部分をしめるようになっている」との要件を欠くものは権利侵害にならないが、ベルベットファスナーを用いても「緊締バンドと止具」に該当し、権利侵害が成立するとの判断を示した事例
被告人が2人の女性を芸妓とバーのホステスとに就職斡旋して職業安定法等違反により有罪とした一審判決を破棄し無罪とした事例
1 公判手続の更新に際し従前の公判期日の公判調書取調の範囲 2 公判手続更新に先き立ち裁判官が更新前の公判調書を読んでいても事件につき予断をいだいたことにはならない
自動車の運転者が交通事故を惹起したにも拘らず被害者の救護義務と事故の報告義務を尽さなかったことが自己の負傷に基づく意識喪失による疑いが濃厚であるとして無罪を言い渡した一審判決を破棄して有罪とした事例
交通事件で、一審の有罪判決に証拠によらず事実認定をした違法ありとして改めて事実取調をなしたうえ被告人の過失を認定した事例
交通事故防止のための注意義務の懈怠が数個存在する場合に刑法上の責任条件たる過失は事故の発生に最も接着したもののみに限らないとされた事例
交差点における右折車と直進車との衝突事故で右折車が直進車の有無を確認せずに右折したことに過失を認めた第一審判決を破棄して、右折車は既に右折していたとし、直進車に過失ありとした事例
後進車が先行車の右折地点を予測することが困難で、間もなくこれを追い抜き得る等特段の事情があるため信頼の原則の適用を排除した事例