最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 被疑者の逮捕・勾留の違法性および捜査官の故意・過失の判断基準 2 公訴提起の違法性および検察官の故意・過失を肯定した事例 3 検察官手持証拠の開示義務 4 無罪判決を受けた被告人の妻と子につき固有の慰藉料請求権を認めた事例 5 国家賠償のほかに公務員個人の損害賠償責任を認めることの適否
1 公立学校教職員に対する勤務評定制度が適法とされた事例 2 勤務評定書の提出命令に従わない公立小学校長に対する懲戒免職処分が適法とされた事例
1 いわゆる採用内定者につき採用内定契約成立の時期を判断した事例 2 採用内定契約とは将来一定の時期に何らの意思表示を要せず試傭労働契約を成立させる旨の無名契約であると判断した事例 3 採用内定契約の取消は合理的理由により制限されるとした事例
税務調査を行なうに際しては具体的な調査理由を開示する必要があり、また反面、調査は限定的に行なわれなければならないとした事例
抗告期間経過後の抗告申立であることを理由として即時抗告を却下した決定に対する不服申立が特別抗告の申立でなくして再審抗告の申立であると判断された事例
不在者の財産管理人が訴を提起したのち不在者に対し訴提起前に死亡したものと看作す失踪宣告が確定した場合における右訴の適否
一定金額について連帯保証する権限ある代理人がその範囲を超えて多額の金銭債務についてした連帯保証は右代理権ある金額の限度において有効であるとされた事例
農地買収処分が無効であるが、被売渡人が該農地を時効取得した場合、被買収者が国に該農地の喪失による損害賠償請求をすることの可否(消極)
1 債権担保の目的をもってする債権譲渡契約において、被担保債権、譲渡債権ともに将来の変動が予想される場合の債権譲渡契約の効力 2 その場合、債権譲渡とともに、譲渡人に付与された債権譲渡通知に関する代理権限の範囲 3 債権の譲受人が、譲渡人の代理によってした債権譲渡通知が、破産法74条1項により否認された一事例
本人の実印と印鑑証明書を所持する代理人と金融機関との間で継続的取引契約上の債務につき締結された連帯保証契約と民法110条の代理権ありと信ずべき正当の理由の有無
1 役員退任後における当該役員を選任した株主総会決議の不存在確認を求める訴の利益の有無 2 表見取締役で構成された取締役会の決議により招集された臨時株主総会における決議の効力
和解により、建物及び敷地の売買契約解除を条件として建物及び敷地を明渡すべき義務のある買主から、売買契約解除前に建物を賃借した者に対する執行力の拡張
1 宗教法人としての法人格取得以前の神社を権利能力なき財団とし、これとその後に宗教法人となった神社との間に同一性を認めた事例 2 神社の敷地について取得時効の完成が認められた事例
1 警報機等の保安設備を欠いたことに土地の工作物の設置・管理に瑕疵があるとされた事例 2 踏切の存在を示す警戒標識の設置を欠いたことに国道の管理に瑕疵があるとされた事例 3 保安設備の設置・管理者たる電鉄会社と国道の管理者である国および国道の費用負担者である県との間でほぼ同一の過失割合で共同不法行為責任が認められた事例
1 交差点における直進車同志の衝突事故において、広路進行車に徐行義務違反の過失を認めた事例 2 被害車の助手席に同乗した者(運転免許を有する)は、運転者に徐行などの警告をする義務違反の過失があるか
ワンマンバスの乗務時間に関する地労委斡旋案に基づくと称する会社の業務命令を拒否し、労組自から右斡旋案に即応すると称する運行表で自主運行した措置をやむを得ない行為と認め、会社の業務妨害禁止仮処分申請を却下した事例
上告審において、真犯人が別におり起訴猶予処分に付された旨の検察官の答弁書が提出されたことにより、原判決に事実誤認の疑いがあるとして破棄自判(無罪)の裁判がなされた事例
金融機関の得意先係につき、基本となる預金契約を結んでいる顧客との間で個別的な預金契約を締結する権限があるとされた事例
夫が債権担保のためにする代物弁済予約の目的に供した土地建物を占有する妻は、予約完結により右物件を取得する債権者からの明渡請求に対し、物件の価格と債権額との差額の支払と物件の引渡とにつき有する夫の同時履行の抗弁を援用しうるか
単車の運転者が先行するバスを左から追越す際に歩車道区分標識柱に接触して転倒し、バスの後車輪で引きずられて死亡した事故につき、バス会社に自賠法3条但書の免責を認めた事例
賃金規定等により昇給が定められていない給与所得者の逸失利益の算定につき、35才に至るまで賃金センサスの男子労働者の年令別平均給与と比較し、毎年1万円の昇給を認めた事例
内妻のいた子の死亡事故につき両親のみが損害賠償請求をした場合、内妻の扶養請求権喪失による損害は、同居の期間、現在の生活状況、再婚の可能性から判断し、退職金と自賠責保険金により填補済であり時効期間も徒過したので加害者が重ねて請求されることはないとして、特にその部分を分けることなく全損害を認定し、これから填補総額を控除して両親に対する賠償額を定めた事例
親と生計をともにしている子(男・19才)が、父親の営む酒類販売業を手伝って得た小遣銭や兄達からの援助で自動車を購入し、時には店舗の使用する駐車場に保管し、エンジンキーを店舗内に置いていた事実だけでは間接的な運行支配や運行利益を受けうる可能性が認められるにすぎず、それがいまだ現実のものとなっていない以上親の運行供用者責任は認められないとした事例
追突事故による外傷性頚部症侯部の傷害の結果、視力低下(左右両眼とも0.03度、事故前両眼共1.5度)をきたした事案につき、事故との因果関係を認めた事例
1 横断禁止の交差点を横断中の歩行者と制限速度を20粁オーバーして時速60粁の速度のまま、ハンドル操作だけで歩行者を避けようとして衝突した事案につき、両者の過失割合を前者3、後者7とした事例 2 61才の老人が事故後1年2カ月後に内臓疾患のために死亡した事案につき、事故と死亡との間に相当因果関係を認めた事例
1 示談は錯誤により無効とした事例 2 本件請求治療費の他に健康保険による治療費も相当高額なものがあり、健康保険支払分のうち原告の過失割合に対応する部分は原告の自己負担分とみなされるから過失相殺の計算にあたっては本件請求治療費は対象外とするとした事例
1 横断歩道から50米のところを横断中、車輌の通過を待って立ち止っていた歩行者が車にはねとばされた事案につき、歩行者の過失を2割とした事例 2 漁師の逸失利益算定例
自動車修理会社の修理工が日曜日で休日であったが整備士の講習会に出席し、その休憩中に、被告会社が保管中の他人の自動車を運転中に事故を起した事案につき、使用者責任を認めた事例
1 12才の男子の逸失利益算定例 2 少年数名が自転車に乗り淀川提防上を走行中、その中の1人が急にハンドルを左に切ったために後続自動車が衝突した事案につき、両者の過失割合を前者35、後者65とした事例
1 いわゆる、鞭打ち損傷につき、休業期間24ケ月、その後3年間15%の労働能力の喪失を認め、慰藉料160万円とした事例 2 逸失利益の算定につき職業そのものを認めなかった事例
時速50粁で進行中、左前方の自転車を避けるために後続追越車を知らずに大きく右転把したため、追越車が右転把しすぎて電柱に衝突した事案につき過失割合を前者3、後車7とし、原告である後車同乗者のうち、同車の所有者については被害者側に含めて過失相殺を適用し、その他の好意同乗者については慰藉料斟酌事情にとどめた事例
被告会社の店員が被告会社所有の車を運転中、顔見しりの不良から強いられて、同人が運転技術が極めて未熟で酒気帯び運転であることを知りながら、同人が運転するのを黙認していたときに事故が発生した事案につき、店員に車の管理上の過失があるとして被告会社に運行供用者責任を認めた事例
歩道上に駐車車輌があり、歩けない状態であったために車道上を歩行中、対向自動車に衝突された事案につき、歩行者には過失はないとして過失相殺しなかった事例
1 工員の逸失利益算定につき、べースアップおよび昇給を認めた事例 2 同人の退職金損害および餞別金損害をも認めた事例
父運転の車に同乗、死亡するに至った子が、自賠責保険の被害者請求で填補をうけられるのは、被保険者が現実に賠償または出捐すべき範囲に限られるとし、逸失利益請求は許されないとした事例
事故後の症状と治療には、事故によるものと事故前の転落事故によるものとが含まれていて、その割合につき事故によるものを4割程度と判断した事例
被害者の体質(左股関節脱臼による左大腿骨の萎縮)も、後遺症(左膝関節拘縮)の発生原因の一つであり、その寄与の割合は、事故が3、体質が1であると判断した事例
老令のため、事故前すでに病に罹っていた被害者の事故による後遺症状に対する慰藉料を、事故後の後遺障害相当保険金額より、事故前の該当後遺障害相当金額を控除する方法により算定した事例
1 増改築許可の申立を認容した事例 2 許可に伴う附随処分により期間延長の裁判をしない以上、借地期間延長の効力を生じない
代表取締役の招集によらない集会は、株主総会で招集権者として指名された株主が招集したものであっても株主総会ではないから、右総会でなした決議は不存在であり、また、右集会に株主全員が出席しないかぎり全員出席集会としての株主総会の成立も認め得ない
「生産工場における部品治工具管理室」に関する実用新案登録願について、食器棚などのキャビネットを用いた引用例に周知技術を合せ考え、拒絶相当とした審決を是認した事例
「オゾン化防止用組成物」に関する特許出願について、既知の耐オゾン剤のなかから、二種を選択し特定の割合で混合しても、顕著な作用効果を奏しなければ進歩性なしとして拒絶相当の審決を是認した事例
「椀状回転鋼線刷子」に関する実用新案登録願について、本願刷子の構造のもつ技術的意味および拒絶理由とした引用例における充填板の有する機能を看過したとして拒絶相当とした審決を取消した事例
「装炭車における給炭装置」に関する特許を無効とした審決について無効理由とした引用例との相違点は、当業者が容易に選択実施できるものないしは設計変更の域を出ないとして審決の結論を是認した事例
「湿地用装軌車輌の履板」に関する特許発明について、訂正審判を請求した訂正発明の構成要件が全部引用例に開示されている以上、訂正を許さなかった審決は正当であるとした事例
「履帯」に関する実用新案の登録を無効とした審決について、接地面の断面形状を正弦波曲線状とする履帯の構造がすでに引用例に開示されているとして、審決の結論を是認した事例
「書籍用ケース」に関する実用新案登録出願について、本願考案において、各構成片を組立て接合する方法が周知技術とはいえないから、このことが先願考案の構成要件となっていない以上、同一考案とはいえないとして審決を取り消した事例
「転写マーク」の実用新案登録出願について、マーク層と接着剤層とが積層構造となっている点を看過したとして、引用例から容易推考とした審決を取り消した事例
「香料入複写紙製造法」に関する特許出願について、同一ないし近似の技術分野における二つの引用例から容易に推考しうるものとして拒絶相当の審決の結論を是認した事例
「多少粘性を帯びた潤製の酸性の粉末洗剤」に関する特許出願について、塩酸と硫酸とは均等物であるし、中性洗剤を加えることにも格段の作用効果なしとして、拒絶相当とした審決を是認した事例
「端面シール組立体」に関する特許出願について、拒絶理由とされた引用例のものとは技術的構成ないし機能を異にし、顕著な作用効果もあるとして、引用例から容易推考とした判断は誤りとして、審決を取り消した事例
化学品、薬剤などを指定商品とする「ハイチーム」なる商標登録出願について、この語が「高級な酸素または高級な酸素製剤」であるという商品の品質を表示するものとはいえないとして、拒絶相当とした審決を取り消した事例
「動力刈払機」に関する実用新案登録願について、分割前の原出願と本出願が同一考案とした審決の判断は誤っているとして審決を取り消した事例
「共軛ポリオレフィン炭化水素重合体の製造方法」に関する特許出願について、先願発明における触媒が固形物質を含有するものであり、訂正後の本願発明のものはこれを含有しない点において異なり、同一発明とはいえないとして拒絶相当とした審決を取消した事例
「グリコールとテレフタール酸とのエステル製造法」の特許無効審判の請求を排斤した審決につき、本件特許発明が顕著な効果を有するとした判断が是認された事例
「電気絶縁方法」に関する特許出願につき、拒絶理由とした引用例に示された物質が「ポリカルボネート」であるとした判断が誤ったとして審決を取消した事例
「5ガロン缶胴組合せ兼馳漬し方法及び装置」に関する特許権につき、共有契約書が他から融資を受けるための方便として作成されたものとし、共有部分に基づく請求を棄却した事例
「熱風に重油水蒸気を添加する銑鉄製造用高炉」に関する特許発明につき、特許権者が鉄鋼メーカーから受領した金300万円が実施許諾の対価であるとされ差止請求が排斥された事例
「学習机」に関する意匠権について、公報に記載された登録意匠に作図上の誤りなどが何個所もあってもこれを善解し、差止請求を是認した事例
1 「机」に関する意匠権に基づく差止請求事件において、差止請求の対象物件の追加が訴変更を許さない場合に該当しないとされた事例 2 右事件において、意匠権侵害の成立を認めるにあたり、「利用」の理論を用いた事例
1 婚姻関係が破綻している場合の夫婦間の婚姻費用の分担については、破綻につき有責性を認めがたい場合においても、婚姻費用分担が婚姻共同生活体を観念的に前提としていることを考慮すれば、その破綻の程度に応じておのずから婚姻費用の分担額の範囲に差異を認めるべきである 2 未成熟子扶養と破綻している夫婦間の扶養との関係については、未成熟子と生活を共にし現に扶養している配偶者側の生活保持を考慮し、しかる後に夫婦扶養を考えざるを得ないと解する 3 申立人と相手方との間の婚姻関係の破綻の程度、相手方の経済力、未成熟子との生活保持の必要性などの事情を考慮して申立人の入院費用の一定時までの未払分金額とそれ以後の入院費用の一部分を夫である相手方に負担させ、負担分については申立人の兄弟姉妹による親族扶養に期
1 婚姻費用分担の審判変更の申立においては、さきになされた審判確定後に生じた事情の変更を主張することを要する 2 別居中の夫婦間における子の監護に関する事項については、当事者間に協議が調わず協議をすることができないときは、民法766条、家事審判法9条1項乙類4号を類推適用して家事審判の対象となしうる
親権者(父)が出稼中のため姉とともに養護施設に収容されている子について他方の親(母)からの親権者変更申立事件につき、事件本人は右施設において姉と仲よく快活に生活しており、姉妹を引き離して事件本人を申立人の監護下におくのは適当でないこと、申立人は事件本人を放置して現在の夫と家出したものであるところ、この夫は無職で就職の意思もなく申立人の収入に頼っていること、本件申立の動機についても事件本人に対する愛情よりもその養育あるいは同居生活を通じて現在の夫との円満な夫婦生活の維持を主たる目的としていることなど判示事情のもとにおいては、事件本人の親権者を申立人に変更することは事件本人の福祉をはかることにはならないとして右申立を却下した事例
夫婦の一方が他方の生活に協力扶助をし、他方が婚姻する以前から有する財産の維持について若干の寄与をしたとしても、それが配偶者として通常の協力扶助の範囲内にとどまる限り、他方の死後、遺産分割にあたり、自己の負担した分につき不当利得として遺産から償還を求めるとか、自己の負担額に応じた潜在的持分を他方の特有財産のうえに取得し、右部分を分割にあたり遺産の範囲から控除するとかの形式で、自己の他方の生活に対する寄与分の精算を求めることはできない。
家事審判法9条1項乙類10号所定の遺産分割の審判は遺産を各共同相続人に分割することを趣旨とするものであり、ある特定の財産が共同相続人の一部の者の固有の財産であることを確認することは民事訴訟において決せられるべきことであって、遺産分割の審判の主文においてこれを宣言することは許されない
夫の不貞、不行跡を原因として調停離婚した妻が旧姓に復したため、従前より自己名義により経営してきた洋服店を維持経営するのに支障をきたし、生活上も不利益がある場合には戸籍法107条にいう「やむを得ない事由」にあたるとして、離婚前の氏に変更することを許可した事例