最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたって尽くすべき注意義務の程度 2 印影照合についての銀行の注意義務と免責約款の効力 3 当座勘定取引契約に基づき手形の支払委託をうけた銀行が振出日欄白地の約束手形を支払った場合における取引先に対する効力
地方自治体が地域開発のためなしたセメント企業誘致に対し、公害防止対策が充分でなく、また、誘致により生活の場が奪われるとして反対する漁民から、右誘致を推進した県知事、市、これに協力した漁業協同組合に対してなされた右誘致防止を目的とする訴訟(いわゆる工場進出反対訴訟)が認められた事例
新東京国際空港公団が空港反対同盟に対し、空港建設工事上必要があるとして求めた妨害物の撤去と土地明渡の断行の仮処分が認められた事例
1 罹災都市借地借家臨時処理法2条による賃借の申出の方法 2 罹災都市借地借家臨時処理法2条による賃借の申出があったとはいえないとされた事例
他の候補者の戸籍簿に記載された氏名、氏または名と同一の通称を有する候補者がある場合と公職選挙法68条の2の適用の有無
1 競売期日の公告に記載された租税その他の公課の金類に些細な誤記がある場合の公告の適否 2 右公告に記載される最低競売価額が、過誤によりきわめて少額減額して記載された場合、それを理由に競落許可決定を違法として取り消すことの当否
1 会社合併契約書承認のための株主総会において株主たる当該合併の相手方当事会社は特別利害関係人に当るか(消極) 2 営業譲渡のための株主総会において株主たる当該相手方たる譲受会社の株主(親会社)は特別利害関係人に当るか(消極)
村名義で自創法により国から山林等(附帯地)の売渡処分がなされている事案につき、耕作者と村との間に信託行為がなされていたと認められた事例
1 民法709条に基づく損害賠償請求において、被告の過失として運転免許を受けていない者に自動車の運転を委ねた旨主張された場合、裁判所が、事故当時被告自ら運転し前方不注視等の過失を犯したと認定してその不法行為責任を肯定することは弁論主義に反しない 2 交通事故による死亡に基づく慰謝料の算定につき被害者が好意(無償)同乗者であることを考慮した事例
1 原職復帰まで「諸給与相当額」を支払うべき旨を命じた救済命令が内容不特定の違法なしとされた事例 2 この救済命令につき緊急命令を発するに当り裁判所は金額を明示すべきでないとされた事例
1 病院附属の看護婦養成を目的とする学校の卒業生と病院との間に雇傭契約が成立しないと判定された事例 2 雇入れに関する慣習法が認められなかった事例 3 思想信条を理由とする雇入拒否が債務不履行不法行為を構成しないとされた事例
交通事故による業務上過失致傷罪で禁錮6月執行猶予2年の刑に処せられた電々公社職員に対する分限免職処分を裁量逸脱があり無効であるとした事例
中央緑地帯の存する広い道路に狭い道路が交わる場所において中央緑地帯の切れ目から広い道路の車道を横断しようとする車両がその車道を直進する車両の進行を妨げてはならないとされた事例
1 刑訴法429条1項、430条2項にいう「不服がある者」の意義 2 差押許可の裁判に基づく差押処分後右裁判自体の取消を求めることの適否 3 第三者の物を差し押える場合の必要性について判示した事例
1 常習累犯窃盗を構成する窃盗の手段として住居侵入がなされている場合の擬律 2 数個の常習累犯窃盗の間に窃盗の手段としての住居侵入がなされている場合の擬律
代物弁済予約に基づく仮登記の本登記請求の訴において原告の勝訴が確定し、本登記がなされた場合、右本登記前、二審の口頭弁論終結後に、右不動産の所有権を取得したとしてその移転登記を得たが、前記本登記に際し職権でこれを抹消された第三者は、尓後差額の返還があるまで弁済ないし代位弁済により物件を取戻し得るとして右仮登記に基づく本登記の抹消を請求することができるか(消極)
いわゆる清算型代物弁済予約に基づく本登記および引渡請求と予約完結時の物件評価額と債権額との差額の支払との同時履行を認めた事例
将来一定の金額に達するまで逐次貸金を数回にわたって行うために、あらかじめ右限度額を貸金額として一定日時一定の約旨で現実に貸与したこととして作成した公正証書の債務名義としての効力(消極)
賃貸中の建物の売買による所有権の移転の有無につき当事者間に争いある場合、買主に売主(賃貸人)の賃借人(第三債務者)に対する賃料債権の処分禁止仮処分を認めた事例
泥酔してグリーンベルト縁に坐り込んでいたが、立ち上ろうと中腰になったときにはねられた歩行者に3割の過殺がなされた事例
車の下で整備点検をしていることを知らずに、当該車両を移動させたために轢過してしまった加害者と、外部には覚知しがたい状況で歯止めをせず整備点検をしていた被害者との過失割合を前者6、後者4とした事例
事故後修理を施し、1年半使用後、下取に出したところ、通例の場合より10万円低額の下取価値となった車につき、右金額を事故によって生じた減額損害額とした事例
1 運送会社の代表取締役に代理監督者責任を認めなかった事例 2 弟運転の車に同乗中、右弟の過失と被告の過失により死亡するに至った兄の遺族の被告に対する請求につき、右兄弟が生活関係を一体とするものとはいえないなどの理由から、弟の過失を被害者側の過失としなかった事例 3 同一事故により発生した物損損害賠償請求権を自働債権とし、損害賠償請求権を受働債権とする相殺の抗弁が容れられた事例 4 農業従事者の純利益算定例
運転者に対しては、原告の過失の立証不充分として民法709条の責任を認めず、車の保有者に対しては、「右運転者として注意義務に欠けるところがあったのではないかとの疑問が残り・・・」とし、免責の立証がないとして運行供用者責任を認めた事例
合資会社より株式会社へ組織変更をするために合資会社の他に株式会社を設立して、前社より後社へ営業譲渡した事案につき、後社は譲渡人の商号続用の場合にあたるとして、前社の損害賠償の責任を負うとした事例
1 過失相殺における被害者側の帰責能力を不要とした事例 2 女幼児(2才8ケ月)の右頬部に幅約2糎、長さ4糎と幅約1糎長さ3糎の2本の線状痕の後遺症がある事案において一切の慰藉料を60万円とした事例
1 第一事故後、第二事故までの損害は第一事故の加害者が負担し、第二事故以後の損害のうち、第一事故の加害者に2、第二事故の加害者に8の割合によって負担させた事例 2 医師への謝礼を否定した事例
被告会社の従業員が自己の所有自動車を運転して社長夫人を同乗させたうえ、歳暮配り中に起した事故につき、被告会社に使用者責任を認め、運行供用者責任を認めなかった事例
自賠責保険金請求において、保険契約名義人(名義貸与人)が自己の所有として登録されている事故車によって事故に遭遇した事案につき、名義貸与人は運行供用者ではなく、自賠法3条の他人であるとし、自賠法16条に基づく請求を認めた事例
修理業者が修理のために委託を受けた車を、修理を終え所有者へ引渡すべく所有者宅へ向って運転中の事故につき、所有者に運行供用者責任を認めた事例
1 自動車修理業者につき、預り保管中の車を従業員が勤務時間外に無断私用運転し、惹起した事故において、運行供用者責任を肯定した事例 2 農業従業者の逸失利益算定例
1 借地条件変更に伴う付随処分として、更地価格の約11%に当る金銭の支払いを命じた事例 2 客観的事情の変更は、借地契約が成立した当初における事情と現在の事情との間にみられる変更をいう 3 借地の一部についても借地条件変更申立は許される
1 増改築許可申立を棄却した事例 2 増築予定地に借家契約に附随する敷地利用権を有する借家人がおり、増築に反対している事案
当解雇を理由に地位保全及び賃金支払を内容とする仮処分を得た後、使用者が解雇の意思表示を撤回したことによる被保全権利の消滅
1 昭和25年東京都条例44号(以下「都公安条例」という)3条1項但書と憲法21条 2 都公安条例5条のうち東京都公安委員会が付けた条件の違反を処罰する部分と憲法31条 3 集団示威運動につき付された交通秩序維持に関する条件の違反を処罰することと憲法31条・21条 4 都公安条例4条は警察官職務執行法5条との関係で憲法94条・地方自治法14条1項に違反するか
1 東京都公安条例5条のうち3条1項但書の規定による条件の違反を処罰する部分と憲法31条 2 東京都公安委員会が右条例による許可、不許可の決定および条件の付与を警視総監以下の警察官に委ねている同条例の運用の合憲性
監禁を共謀し実行行為に関与した者の、実行行為の中途において他の共犯者の異議なく犯行から離脱した場合における、その後の実行行為に対する刑責
任意性に疑のある被告人の司法警察員に対する供述調書における供述と、供述内容において一致する検察官に対する供述調書について、証拠能力を認めた事例
1 いわゆる庁舎管理規程により発せられた退去命令に基づく排除行為が適法とされた事例 2 不退去の現行犯に対する警察官の「制止」程度の強制力の行使が、警職法5条に違反しないとされた事例
1 交差点を右折する車両の運転者に、右折開始にあたり安全を確認しなかった点に過失があると認めた事例 2 道交法37条の法意
禁治産宣告申立事件において、審理の結果、心神喪失の程度にはいたらないが心神耗弱であると認められる場合には、心神喪失と心神耗弱とは精神障害の程度の差であるから、制度の性質からみて、裁判所は申立人の主張に拘束されず準禁治産の宣告をなすを妨げないと解する
本件保佐人は、その就任当初は事件本人の借財の事後処理のため、事件本人から同人の印章や預金通帳等を預り、後見人同様の財産管理をしてきたが、右借財の件が処理された後も後見人的な考え方は変らず、このため事件本人所有の土地の活用に関し、右保佐人と事件本人間に意見の対立をみるようになり、その上事件本人が自己の生活の困窮化もあって、保佐人に対し繰返し印章の引渡しや預金通帳等の返還を求めても頑強にこれを拒否するなど判示事情のもとにあっては、保佐人としての任務の範囲を逸脱しており、保佐の任務に適しない事由があるものと認めるのが相当である
扶養義務者の収入に対してその妻が協力寄与するものであるとしても、民法762条1項は、夫婦の一方が婚姻中自己の名で得た財産はその特有財産とすると定められ、夫婦相互の協力寄与に対しては、別に財産分与請求権、相続権ないし扶養請求権者等が認められているのであるから、右扶養義務者の扶養能力の有無を調査するにあたり、稼動による収入をそのままその収入額としたのは相当である
遺産に属する不動産について、相続人から他の相続人に対し、遺産分割協議の無効を主張して共有持分確認及び所有権移転登記の一部抹消(更正)登記手続請求の訴が提起され、原告勝訴の判決が確定した場合、該判決によって遺産分割協議成立の事実が否定された結果、分割前の相続財産として各相続人の相続分に応じた共有関係となるから、遺産分割審判に当っては分割協議のあった事実を斟酌してはならない
遺産である土地を取得する者と同土地上の建物を取得する者とが異なる遺産分割について、原審判は右建物取得者に敷地使用権をも取得させる趣旨であることが判文上充分窺えるが、その使用権原が明らかでないとして、原審判を変更し、主文において右建物の敷地につき期間20年の使用貸借権を設定させた事例
遺産分割をなすに際しての遺産評価は相続開始当時においてなさるべきであるが、被相続人が死亡した40余年以前の評価をすることは望み得ないので、分割時に直近する市町村長のなす固定資産評価額より評価比を求め、これと一定時の鑑定価額等その他一切の事情を総合考慮して遺産の分割をなした事例
父母離婚の際子の親権者について協議がないままその子の親権者を父である相手方として届出がなされたので、子の養育にあたっている母から親権者変更の申立がなされ、調停において、子の親権者は相手方(父)であることを確認したにもかかわらず、その直後に再度親権者変更の申立がなされた事案につき、親権者を変更すべき事情の変更がないとして申立を却下した事例