最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 一人の死亡事故につき総額1億円を超える賠償(うち、慰藉料8000万円)を命じた事例 2 停止条件附慰藉料請求権と相続の関係
1 付審判請求の対象となる事件が刑訴法262条1項掲記の罪とこれ以外の罪を含んでいる場合と付審判手続の審理の範囲 2 いわゆるシー・ジャックの犯人射殺事件に関する付審判請求につき、射殺警察官の行為を正当防衛、したがってまた法令に基づく行為と認め、請求を棄却した事例
牽連犯または包括一罪として起訴された事実の一部を無罪とした第一審判決につき、被告人だけが控訴を申立てた場合における控訴審の職権調査の範囲
旧軍人が軍隊内において、同僚兵の過失による銑の暴発事故によって負傷した場合、右傷害は戦傷病者戦没者遺族等援護法にいう公務傷害にあたるとされた事例
1 政治犯罪人不引渡の原則は国際慣習法か 2 逃亡犯罪人引渡法2条1号、2号の適用要件 3 執行停止の申立てに対する裁判所の判断を受ける時間的余裕を与えないでした退去強制処分の執行が適法とされた事例
1 無免許の下請運送業者の起した交通事故に関する元請会社の運行供用者および使用者責任の成否 2 責任原因が自賠法3条の場合(人損)と民法709条の場合(物損)とにおける過失相殺割合の異同
1 従業員がその私有車を事実上会社の業務の遂行に継続利用していた場合には、会社は運行供用者責任を免れないとされた事例 2 青信号に変ったため、道路中央付近の安全地帯から降りて横断歩行する歩行者に右方交差点の車の動静について安全確認義務があるとされた事例 3 75才の男子につき自賠法施行令12級12号に該当する後遺症が認められながら逸失利益の喪失が認められなかった事例
解雇の事前協議協約につき、人員大量整理の必要性、規模、基準に関し協議をつくしたとしても、被解雇者の特定につき協議をつくしていないとして解雇の意思表示が無効とされた事例
原判決をした小法廷を構成する裁判官の退官による定足数の不足とその判決に対する訂正申立についての裁判をなすべき裁判所の構成
1 東京都公安委員会が集団示威運動を許可するにあたり付した条件にいう「ことさらなかけ足行進」の意義 2 約1分間の停止状態の継続が右同条件にいう「停滞」にあたるとされた事例
普通乗用自動車を窃取し、酒酔い運転による業務上過失傷害の事案について、原審で心神耗弱を認めたのを控訴審において、右心神耗弱を認めずに原審判決を破棄した事例
1 政治亡命者の不法入国を不処罰とする確立された国際慣習法の存否 2 「現在の危難」が存在しないとして、緊急避難の成立を否定した事例
任意同行及びそれに続く逮捕状執行前での取調の状態を逮捕と認め制限時間超過を理由に勾留請求を却下した原裁判を取り消した事例
債務者の無権代理人が作成を嘱託しかつ執行受諾の意思表示をして作成された公正証書に基づく不動産の強制競売手続によって競落人は不動産の所有権を取得するか
代物弁済予約形式(いわゆる帰属清算型)の債権担保契約について債権譲受人の後順位抵当権者に対する清算金の支払と引換に本登記手続承諾請求を認容した事例
1 建物に対する競売開始決定後右建物を買受けた者に対する根抵当権者の妨害排除・予防請求権を被保全権利とする仮処分申請が許されないとされた事例 2 競落許可決定後代金納付前の競落人の地位に基づく仮処分申請が許されないとされた事例
1 飲食店舗の賃料額を営業売上にスライドさせる約定がある場合に賃料増額請求権を行使することの当否 2 右約定による賃料額の弁済提供と賃料不払についての故意過失の有無
競落代金の全額を支払った競落人は、競落後に目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記を経た場合でも引渡命令を申立てることができるか
被相続人の賃借家屋について、相続人6名中の1名が、賃貸人との間で調停したことにより、遺産分割または他の相続人5名の相続持分権放棄にならないとした事例
1 民法860条により選任された特別代理人のした遺産分割の協議が無効でないとされた事例 2 右特別代理人が選任された場合に民法866条の適用があるか(積極) 3 右特別代理人が関与した遺産分割の協議が民法866条の取消原因にあたるとされた事例 4 右特別代理人が選任されている場合と後見人につき善管義務との関係
利害関係人に対する競売期日の通知もれと競落許可決定の効力 競落許可決定に対する異議或は抗告がなされず競落許可決定が確定し、競落代金が納入された以上、利害関係人に対し競売期日の通知がなされなかったとしても、かかる競売手続の瑕疵を理由に競落許可決定の効力を争うことは許されない
小学校1年生の火傷事故と担任教諭の不法行為責任 小学校1年の女児が校内で熱湯の入った薬缶を持ち運び中転倒して火傷した場合でも、判示のような事実関係のもとでは担任教諭は民法上の不法行為責任を負わない
1 傷害による慰藉料請求権は当然に相続の対象となる 2 夜間酒を飲んで横断禁止場所を横断中、左方から進行して来たスピード違反の自動車に衝突して傷害を負った55才の男性に60パーセントの過失相殺を認めた事例
1 幅員5.5メートルの住宅街道路を自転車で走行中、見とおしのきかない交差点において時速45キロメートルを超える自動車と出合頭に衝突した8才の男子に20パーセントの過失相殺を認めた事例 2 自賠法等級12級該当の頭部外傷後遺症を残す右男子の慰藉料算定例
後方に追従車があることを知りながら、後方の安全を確認せず、急に右折しようとした車と、これを追い越そうとして衝突するに至った直進車の過失割合を7対3とした事例
1 入院雑費等の賠償額認定を個別判定方式によった事例 2 付近に横断歩道がある地点での横断歩行者と乗用車の接触事故につき、過失割合を歩行者4、自動車6とした事例
1 6才11カ月の被害者の飛出し事故につき、免責の抗弁を排斥したが、被害者自身とその監護者にも50%の過失があると判示した事例 2 学童の逸失利益算定の基礎に、全企業20才男子平均給与額を採用し、原告主張の全国勤労者の平均賃金によらなかった事例
借地契約の残存期間が約2年であり、期間満了時における更新拒絶の正当事由の有無が予測できない、として、借地条件変更申立てを棄却した事例
1 裏書の連続を欠く手形の所持人が実質的権利を有するものとして手形上の権利を行使することができるものとされた事例 2 期限後裏書により手形を取得した者に対する振出人の手形を詐取されたとの抗弁が認められた事例
社団法人自動車整備振興会が行なう自動車整備士養成のための講習が昭和44年法律第64号による改正前の地方税法73条の4第1項3号所定の旧職業訓練法2条2項に規定する職業訓練に該当しないとされた事例
「無段変速機」という発明の特許出願について、その流体可変分配機構について、明細書に開示されていない機構を主張しても採用できないとした事例
「穀粒変流装置」という発明の特許出願について、その特許請求の範囲における用語例は、とくに明記され、あるいは明確に定義されている場合を除いては限定的に解釈すべきではないとした事例
ボーリング用手袋に関する登録意匠の登録無効審判について、手袋の掌側のみならず手の甲側の意匠をも無視すべきではないから、手の甲側の意匠において引用意匠と一見して異なっている場合は両意匠は類似するとはいえないとした事例
「管状容器」という発明の特許出願について、明細書に明確に記載されていなくても経験則上分明な効果までも顧慮すべきでないとするのは相当でないとし、審決を取消した事例
「干物棹」に関する登録実用新案の登録無効審判について、引例には、材料の割裂を防止し、かつ干物の汚染損傷を防ぐ構成および作用効果について言及するところなしとして、登録を無効とした審決を取り消した事例
1 「移動式鑽孔装置」に関する特許発明の特許無効審判において、無効理由として引用された文献の写真およびその説明から理解しうる技術内容をもってすれば、特許を無効とした審決を是認しうるとした事例 2 右無効審判に関し、旧特許法4条2号にいう「容易に実施しうべき」とあるのは、明細書中の実施例や図面に該当するものに限らず、その「発明の要旨たる技術思想そのものの実施」をいう
「バランスウュイト付自在平行定規」に関する登録実用新案の登録無効審判について、引例に、可撓性の紐帯がプーリーの全周を囲繞した状態で掛張されている点を誤認したとして、その審判請求を排斥した審決を取り消した事例
「水素及び一酸化炭素を含有する気体の製造法」の特許出願について、その燃焼室の形状、圧力及び反応要件に関する限定条件が臨界的意義を有しないとして拒絶相当の結論を是認した事例
「広告装置」に関する特許出願について、飛行機による曳き流しの広告装置をもって一定の場所に設置する本件のものを容易推考とはいえないとして、拒絶相当とした審決を取り消した事例
自転車等を指定商品とする登録商標と無効理由として引用された商標とがともに首の長い鳥の上部とその下にリボンを思わせる図形を共通にするから、離隔観察によれば類似するものとして、登録を無効としなかった審決を取り消した事例
「螺旋状の又は結び輪状の合成物質糸状体又は帯状体より成るチャックおよびその製造方法」に関する特許出願について、各構成要素の結合のもたらす独特の効果ありとする出願人の主張が排斥された事例
「稲収穫機における自動脱粒装置」の発明に関する特許出願について、周知技術をも参照すれば引例から容易に考えられるものとして拒絶相当の結論を是認した事例
「重畳高周波数励磁電流での錐状体記録」という発明の特許出願について、特許請求の範囲の記載がきわめて拙劣晦渋難解のそしりを免れないとしても、明細書の記載を綜合して理解可能であるから、審決は発明の要旨の認定を誤まったとして審決を取り消した事例
「回転接手」の登録実用新案についての登録無効審判において無効理由として挙げられた引用例の技術内容に関する認定を誤まったとして審決を取り消した事例
「イオン歯刷子の使用方法」という発明の特許出願について、その技術内容が人体の存在を必須の構成要件とするものであるから、特許すべきではないとした事例
「石油こんろの芯」に関する実用新案登録出願について、引用例との相違点も古くから普通に用いられている手段にすぎないとして拒絶相当の結論を是認した事例
「ファードリナークロス並びにその製造方法」の発明に関する特許出願について、公知ないし慣用の技術から当業者の容易に推考しうる程度のものとして拒絶相当との結論を是認した事例
「建築材保護板」という考案に関する実用新案登録出願について、拒絶理由として引用された「隅角被覆具」とは使用の目的態様、基本的構成を異にする物品であるとして拒絶相当とした審決を取り消した事例
不正競争防止法1条1項1号にいう「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」のうちには、商品の形態自体がきわめて特徴的であって、特定企業の商品であることが看取できるものをも含む
父母離婚後親権者となった父が死亡したので母が後見人に選定されたところ、右後見人が未成年者に支払われる生命保険金を着服費消するおそれがあるので、未成年者名義で銀行預金するよう同人に指示するとともに預金証書を未成年者の勤務先に対し保管を依頼したが、後見人はその後も右勤務先に対し預金証書の引渡しを要求したり、未成年者の居室に無断で侵入しそれを物色するなど判示事情のもとにおいては、右後見人は、既に18歳に達し独立の生計を営んでいる未成年者に対する後見の任務に適さない
被相続人は生前において、抗告人に対し、その法定相続分をはるかにこえる農地その他の不動産を贈与し、自己の営んできた農業を自己と同居してともに農耕に従事してきた抗告人に継がせる意思であったこと、日付記載を欠くため自筆遺言証書としては効力のない書面中に、全財産を抗告人に譲渡する旨の記載があることなど判示事情のもとにおいては、被相続人は抗告人に対する右生前贈与につき特別受益の持戻免除の意思を表示していたものと認めるのが相当である
相続人の一部の者と意を通じ、その者の利益代表者の如きふるまいをし、受遺者全員の意思を無視し、且つその意思に反して事実上の利益保護の行為をせず、相続人間の紛争を激化させる言動をするなど判示認定事情のもとにおいては、右遺言執行者の行為は遺言を適正に執行し、主として全受遺者の利益を保護する任務に反するから解任するのが相当である
戸籍の実務において、当用漢字表中のある特定の文字の旧字体を使用した出生届もこれを受理する取扱いになったとしても、それ以前に新字体を使用して届け出られた戸籍名を旧字体を使用した名に変更する正当な事由があるということはできない
戸籍上の親子の間に親子関係不存在確認審判に基づく戸籍訂正により無籍者となった子につき、その実母に出生届の意思がない場合について、子(申立人)の出生当時の母の戸籍を回復して就籍することを許可した事例
1 婚姻届出に関しては、戸籍法100条2項(分籍届)同108条2項(転籍届)のように、戸籍謄本の添付を必要的なものとはされておらず、同法施行規則63条により市町村長は届出又は申請の受理に際し戸籍の記載又は調査のため必要があるときは戸籍謄本又は抄本その他の書類の提出を求めることができると規定されているにすぎないから、戸籍謄本(抄本)の不添付を理由として、戸籍管掌者が婚姻届の受理を拒むことは許されない 2 婚姻届書中、本籍地の町名地番あるいは届出人氏名記載の訂正個所に訂正印の押印を欠いている場合、右訂正記載は当該届書において本質的に重要な事項とは認められないから、戸籍法34条2項の趣旨よりして、右婚姻届の受理を拒むことは許されない
数人の扶養義務者がいずれも保護義務者として適切に義務を遂行できないことが明らかである場合には、当初から精神衛生法21条の定めるところにより精神障害者の居住地を管轄する他の市町村長が保護義務者になるから、扶養義務者を保護義務者に選任する申立は失当として却下すべきである