最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 商法266条ノ3第1項前段の法意 2 株式会社の代表取締役が他の代表取締役その他の者に会社業務の一切を任せきりにした場合と任務の懈怠
1 対人賠償責任保険(任意保険)約款には、いわゆるノーアクシヨンクローズの趣旨が含まれるか(積極) 2 加害者が保険会社に対して有する任意保険金請求権に関し、被害者が提起した債権者代位訴訟は適法か(条件附積極) 3 右訴訟が適法な場合、保険会社に対し現在の給付を命ずることの可否(積極)
1 対人賠償責任保険(任意保険)約款には、いわゆるノーアクションクローズの趣旨が含まれるか(積極) 2 被害者は、加害者との間で損害賠償額が確定する以前に、加害者が保険会社に対して有する任意保険金請求権を代位行使することができるか(消極)
1 政治的意見による差別的取扱いとしてなされた解雇の効カ 2 イデオロギーの相違を理由とする解雇の成否 3 イデオロギーに基づく具体的行為を理由とする解雇の成否
甲組合の締結したユニオン・ショップ協定の効力は、右協定締結後に乙組合が結成された場合でも、乙組合の組合員に及ばないか
1 懲戒免職する旨の事前通知を受けない地位確認訴訟につき訴の利益なしとされた事例 2 就労請求権なしとされた事例 3 懲戒免職発令禁止請求権なしとされた事例 4 懲戒免職権不存在確認の訴訟が免職発令前に許される要件を判示した事例 5 右訴訟が労使間の弁明弁護手続係属中のため労使の自主解決の精神に則り確認の利益必要を欠くとされた事例
1 土地売買当事者間における建築制限の特約に反する建築差止請求の可否 2 右特約は、隣接土地買主(第三者)のためにする契約といえるか 3 日照通風その他住宅環境に対する侵害と差止請求の性格とその可否
1 仮換地上の建物の競落と法定地上権 2 仮換地の一部分につき売買契約を締結した場合と仮換地の使用収益権 3 従前の土地の共有者の1人の所有する仮換地上建物が競落された場合に法定地上権の成立が認められた事例 4 仮換地上の建物の競落により法定地上権が成立した場合において土地区画整理事業施行者から使用収益部分の指定を受けない間における競落人の建物所有による敷地の占有と不法占有の成否
道路法所定の道路として適法に供用の開始があった道路の敷地について所有権を取得し登記を経た第三者が道路管理者に対し使用権原取得の対抗要件の欠缺を主張しうる場合と右管理者に対する損害賠償請求の許否
会社更生法138条1項後段の規定によって調査することとなった更生債権または更生担保権と届出期間の徒過を事由とする異議の許否
自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が、右原因債権の一部弁済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用
1 被用者の職務外の自動車運転により生じた事故について、使用者に民法715条の責任を認めた事例 2 事故により致命傷を負って数日後に死亡した被害者の慰藉料請求権発生の有無(消極)
1 傾向経営の要件について判示した例 2 終期を付することなく将来の賃金の支払を命じた事例 3 賃金仮払の仮処分命令あるとき本案判決において仮執行宣言を付するか否かにつき理由を示した例
1 被解雇者の集団(争議団)に団体交渉及び争議権を認めた事例 2 天幕、立札、赤旗を設置したのが労働組合でなくて被解雇者個人であると認めた例 3 右争議団の右設置行為が正当な争議行為に当たるか否かを判断したうえ、会社の被解雇者に対する右天幕等の収去土地明渡請求を一部認容し、一部権利濫用として棄却した事例
1 労働協約就業規則等の書面に明記されない退職金支給基準に法的拘束力を認めた事例 2 退職金は円満退職者以外には支払わないとの規定の当否 3 右退職金支給基準の変更が退職金請求権に与える影響
1 「折畳自在脚」に関する実用新案権と権利侵害の成否(積極) 2 旧実用新案法と「型の考案」の意味 3 実用新案権の共有権者と損害額の按分比率 4 実用新案権に基づく差止予防請求が認められた事例
1 実用新案権侵害による損害賠償請求事件における中間判決の事例 2 登録実用新案の技術的範囲と公知技術 3 損害賠償請求の対象方法に使用する装置につき実用新案登録出願公告がある場合の法律関係
約束手形の振出人が所持人との間で手形を受戻さずに手形債務の一部弁済、残額免除の和解をなした場合、この事実を右手形の再遡求権者に対抗できるか
1 市営プールにおける5才の幼児の溺死について、監視員の過失による市の不法行為責任が認められた事例 2 親権者が監視義務を尽さなかった過失を斟酌した事例
タクシーの運転者は、衝突事故により乗客が傷害を負った場合、運送契約上、相手車のナンバーを確認するなどして当該乗客の第三者に対する損害賠償請求権を確保すべき義務を負うか(消極)
原告ら3名に対し50万円の慰藉料請求に対し、その内の1名のみにつき40万円の慰藉料を認容することは、民訴法186条に違反しないとされた事例
1 借地権者が所有建物を第三者に賃貸している場合における建物の譲受価格 2 借家権価格を借地権価格と建物価格の合計額の40%とした事例
1 増改築許可の裁判において当事者間の利益の衡平を図るため財産上の給付を命ずるとは、許可の裁判によって借地権者に与えられる賃貸人の意思に反して増改築をなしうる権利が経済的価値を有する場合に相当の対価を支払わせることをいう 2 右にいう増改築許可により与えられる経済的価値を借地権価格の増加分としてとらえた事例
1 2人の土地所有者から隣接する土地を賃借りしている者が、一方の賃貸人に対して改築許可を求めた事例 2 既存建物を取り毀し、建物を新築することは、改築に含まれる 3 改築許可の裁判があっても、借地法7条の異議権は失なわれない
1 増改築許可の裁判と借地法7条の土地所有者の異議権 2 借地契約の残存期間は1年に満たないが、期間延長は更新拒絶の機会を失なわせるとして借地期間の延長をしなかった事例 3 増改築許可に伴う付随処分として、借地権価格の約3%にあたる金銭の支払を命じた事例
1 防火地域の指定等、付近の土地利用状況の変化を理由に借地条件を変更した事例 2 右許可に伴う付随処分として、借地条件変更による借地権価格の増加額(更地価格の10%)の給付を命じた事例
1 増改築許可の裁判と借地期間延長の付随処分 2 増改築許可に伴う付随処分として、更地価格の4%にあたる金銭の支払を命じた事例
1 増改築制限の特約の存否不明の場合には、増改築許可申立てを適法とする 2 朽廃とはいえない老朽家屋を土台から大改築することも、許可することができる 3 借地権の存続期間が満了に近くても、法定更新が予想されるときは、更新料相当額を給付させる必要はなく、増改築承諾料の支払いをさせるのが相当である
1 「螺旋ローター機関」に関する特許出願について周知技術を援用して引用例との相違点について進歩性なしとした事例 2 出願にかかる発明に含まれる一実施例における特殊な効果を主張立証してもそれだけで全面的効果ありとして特許すべきものとはいえないとされた事例
「軸承」に関する特許出願について出願人が限定的な発明なりとする主張が否定された引用例との構造上の相違は、設計上の微差にすぎないとされた事例
「繊維素グリコール酸ソーダの製造方法」という発明が、二つの引例から当然予測される効果の範囲を超えるものなしとしてその特許を拒絶するのを相当とした事例
かばん類について「ラビアン・セブン」との称呼を有する商標の登録出願について、「セブン」は数字の「七」であり、「ラビアン」と簡略化することが予想されるから、「ラビオン」という既登録商標に類似するものとして登録拒絶を相当とした事例
「黒鉛の粉砕方法」という発明の特許出願につき引例のものに対し単に粉砕対象物の水分除去手段を変えたにすぎないとした判断が誤りであるとされた事例
「吸風災防火装置」に関する特許願拒絶不服審判の拒絶相当とする審決が確定した場合、出願人からする再審請求は特許法171条2項の事由がある場合に限られる
「手編機の附属品箱」に関する実用新案登録願について、当事者が引用例から周知事項を適用したきわめて容易に想到しうるものとして登録拒絶を相当とした事例
1 「面接触撚ストランド鋼索」に関する実用新案登録出願について、引例のものと、その材質および取扱業界を異にしても、撚線としての型について共通性を有し、用途も必ずしも無縁ではないとして、材料の選択に困難なしとした事例 2 右出願について、出願前現実にその考案にかかるものを製作販売した者がなかったとしても、当事者が引例その他から容易に推考しうる程度のものであるとの審決の判断を誤りとすることはできない
「全工作機械」という発明の特許出願について、出願前公知の万能工作機械およびいくつかの周知の技術を単に組み合わせたにすぎないとして、特許を拒絶するのを相当とした事例
「室内で物品を清毒する方法及び装置」という発明の特許出願について手続補正書によって追加補正された構成要素を看過し、発明の要旨の認定を誤ったとして審決を取り消した事例
「建築用板」に関する発明について引用例のビニール製包装材とはその作用効果を異にし引用例から容易に推考しうるものではないとして拒絶相当とした審決を取り消した事例
浪費の事実のみならず、そのまま放置すると前後の思慮なく負債を増し、その産を破り、その結果自己及び家族が困窮におちいることは必然であるとして準禁治産宣告をした原審判を相当として抗告を棄却した事例
30年近くもの婚姻生活において、夫の営業を積極的に助けて来たが、自己の営業を顧みない夫との離婚に際し財産分与として受けたその営業を引続き営んでいる申立人に、離婚後復氏した氏の使用をこのまま強いることは、申立人に社会生活および経済活動の面で甚だしい不便不利益を与えるなど判示事情のもとにおいては、営業上の屋号と同じ呼称である前記婚姻中の氏に変更することができる
離婚の原因たる申立人の行為が外形的には有責とみられても、それが精神的疾患に影響されていると認められ、しかもその疾患が離婚後も残存している場合には、少くとも扶養的意昧における財産分与を肯定すべきである
すでに離婚判決において自からの不貞行為にもとづく慰藉料の支払いを命ぜられている妻からの財産分与申立に対し、婚姻中における当事者双方の稼働収入の比率が1対4であるから、相手方が申立人に支払うべき財産分与額は、その基礎となるべき額の4分の1が相当であるとした事例
申立人らおよびその母と相手方の各世帯の収入から労研方式による各構成員の最低生活費を控除した残額は両世帯ともほとんど等しく、申立人らの母と相手方父が離婚の際父が申立人らの母に支払った申立人らの養育費の額を申立人ら世帯のそれに加えると、申立人らはその法定代理人である母に養育される方が相手方におけるよりも高い生活水準を享受し得ると考えられるとして養育料請求を却下した事例
1 相続人の調査にも拘らず、積極財産、消極財産ともに不明の場合には、限定承認申述書にその旨を付記すれば足りる 2 限定承認申述の受理審判を家事審判規則115条1項に定める方式によらず、理由を付記した審判書を作成してなした事例
1(1) 相続開始当時存在した遺産たる物件であっても、遺産分割の審判時に現存しないものは、分割審判の対象とすることはできない (2) 遺産売得金を第三者に貸付けた貸金債権は、遺産と同一視できる代替物とみることはできない 2 民法906条は裁判所が諸般の事情を考慮して妥当な裁量を働かせうる余地を認めているものと解されるから、各相続人に対する帰属財産の一定時点における評価額の対比は必ずしも具体的相続分の比率に一致することを要しない 3 相続開始以後遺産の管理保存等のために支出した費用および遺産による収益に関する相続人相互間の調整清算は、遺産分割の審判事項に属しない
相続人のある者から相続分として金員を受領し、当該遺産について相続分のないことを記載した受領書を交付した場合は、右金員を受け取ることにより同人の相続分は他の相続人に譲渡されたものと認められる
審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより即時抗告のみすることができるところ、家事審判規則127条によると、遺言執行者選任の申立を却下した審判に対しては即時抗告が許されるが、遺言執行者選任の審判に対しては即時抗告を許容する規定が存しないから、右選任審判に対して不服申立はできない