最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 行政処分の執行停止の性質 2 執行停止に対する内閣総理大臣の異議の合憲性 3 内閣総理大臣の異議の適否を別訴で争うことの能否
1 教科書検定手続において作成された文書は、教科書著作者との法律関係につき作成された文書か 2 教科書検定手続関係文書の開示と民事訴訟法272条の「職務上の秘密」 3 抗告審において文書提出命令申立却下決定を取り消す場合の措置
甲所有の従前地につき換地処分がなされ、その換地につき従前所有権を有していた所有者乙に対しなんらの換地処分等がない場合において甲の換地に対する権利
1 上級裁判所の裁判所書記官が執行文付与の権限を失う時期 2 裁判所書記官の執行文付与権限の喪失と執行文付与拒絶処分に対する異議申立の適否
1、宗教法人の代表役員および責任役員の地位にあることの確認を求める訴と確認の利益2、上告審における不服申立の範囲の拡張
1 旅券法13条1項5号所定の旅券発給拒絶事由と客観的事実考慮の許否 2 外務大臣が旅券法13条1項5号の規定による外務大臣の旅券発給拒否処分の適否と裁判所の判断の及ぶ範囲 3 旅券法13条1項5号所定の事由にあたるとしてした外務大臣の旅券発給拒否処分が正当とされた事例
一筆の土地の一部の賃借人が賃借地を含む土地に対する仮換地の指定に際し、賃借権の届出をしたが、土地区画整理事業施行者から使用収益部分の指定がない場合と仮換地の使用収益権
1 懲戒解雇に値する事由ありとしながらも、普通解雇としての告知をしたところ、客観的にみて、懲戒解雇に値する事由が存在せず、普通解雇に該当する事由が存在した場合におけるその解雇の効力 2 裁判で使用者に対し賃金支払を命ずる場合、賃金額より、諸社会保険料および源泉徴収税額を控除することの要否
1 交差点直近における横断自転車と直進自動車の過失割合 2 積極・消極損害が主張どおり認められるとしても全損害が自賠責保険金で填補ずみであるとされた事例
1 葬儀・法要費用として50万円を認めた事例 2 代表取締役の葬儀に伴い営業を休止したことによる会社の損害との因果関係(消極) 3 葬儀参列等のために航空往復運賃を認めた事例 4 代表取締役の死亡に伴い代表者変更登記費用等を支出したことによる会社の損害との因果関係(消極) 5 逸失利益の算定における収入の意味(消極)
1 逸失利益と税金の控除(消極) 2 慰謝料を請求額以上認めることの可否(積極) 3 入院雑費につき1日あたり250円の限度で相当性を認めた事例
1 3歳6月の女児の過失相殺能力(消極) 2 3歳6月の女児に付添っていた祖父に監督義務者としての過失を認めた事例 3 3歳6月の女児の逸失利益の算定事例 4 墓碑建立費の相当因果関係の有無(積極)
1 手形訴訟に対する独立当事者参加の許否 2 手形訴訟に対する独立当事者参加の不適法性と手形訴訟の通常訴訟移行 3 被告訴訟代理人が参加人訴訟代理人として、原被告を相手方としてした独立当事者参加の申出の効力 4 前項の独立当事者参加の申出の有効化の要件
1 労働条件に関する話合の中で何ら非違のない労働者を解雇したことが権利濫用と認められた一事例 2 口頭弁論終結後4か月余迄に限り賃金仮払の必要性を肯定しそれ以後の期間につきこれを否定した事例
1 いわゆる都教組勤評反対斗争事件最高裁判決(昭和44年4月2日言渡)の法理を懲戒事件に適用した一事例 2 当事者の陳述が、地公法37条の争議行為をしたとの自白にあたらないとされた事例
控訴審において被告人に公判期日の通知をすることなく被告人不出頭のまま実質審理を行なった違法があるとして破棄された事例
国税犯則取締法2条による臨検、捜査差押許可状に基づき当該処分を執行するについて、右許可状を処分を受ける者に対し示すことの要否
1 農地の売買委託を受けた者が任務に背いて二重売買する行為と背任罪 2 所有権移転請求権移転の付記登記と業務上横領罪の成否
1 軽犯罪法1条33号前段の「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をした者」の法意 2 軽犯罪法1条33号違反の有罪を認めたが刑の免除をした事例
適法な土地賃借権の譲受人が地上建物の所有権移転登記を経由する前に土地所有権が移転した場合とその後地上建物の所有権移転登記を経由したときの新地主に対する対抗力
不動産売買の履行期後売主の責に帰すべき事由によって履行不能となって数年後に当該契約が解除された場合において右不能時をもって填補賠償額算定の基準時とされた事例
借地権存続中、戦時罹災土地物件令罹災都市借地借家臨時処理法、接収不動産に関する借地借家臨時処理法の適用をうけ、更に特別都市計画法・土地区画整理法による仮換地指定のあった場合の該借地権の帰趨
仮執行宣言付給付の第一審判決の控訴中債権全額の弁済があった場合の第二審の判決の主文と民訴法198条2項の申立てとの関係
1 遺言執行者による遺言の執行を妨げる行為に該るとされた例 2 遺言執行者に指定された者が就職しなかった場合と民法1013条の適用の有無
1 見舞金に対する返礼を否定した事例 2 被害者の座席の位置が不適当であったとして2割の過失を認めた事例 3 治療費と交通費については過失相殺をしなかった事例
1 右足関節運動制限の後遺症を残す傷害を被った大工の逸失利益の認定事例 2 入院雑費につき1日100円の割合で認容した事例
1 日雇のかたわら農業に従事していた被害者の寄与率を3割と認定した事例 2 幅員10.15米の斡旋国道のセンターライン直近を走行した被害者に1割の過失を認定した事例
1 附近の土地の利用状況の変化により借地条件を変更した事例 2 右変更に伴う付随処分として、更地価格の10%にあたる金銭の支払を命じた事例
売買一方の予約に関して会社更生手続開始前にされた仮登記がある場合においてその手続開始後に有すべき予約完結権の性質 更生債権としての届出の要否
1 取締役会は新株引受権を株主に与えるに際しその行使に条件を付しうるか 2 「株式申込の際払込金額と同額の申込証拠金を添えることを要することとし、かつ申込証拠金には利息を付しない」とすることは新株引受権行使の条件として不法であるか
1 会社の取締役にして、会社経営にかかるバーのマダムが、権限なく会社名義をもってした手形の振出につき、商法43条による会社の責任を認めた事例 2 会社が代表者個人宛に手形を振り出すことは、原因関係の如何を問わず商法265条にいわゆる「取引」にあたらないとされた事例
「モルタル・コンクリート建築材料の製造方法」に関する特許出願が不明瞭な記載があってその要旨を理解しえないため、発明を構成しないとされた事例
「アルコールの精製法」に関する発明について、出願人が指摘する合成アルコール中の着色性不純物の存在が認められないとして、その除去を目的とする発明を拒絶相当とした事例
「コロイド状重合体分散液を得る方法」に関する発明について分散剤の添加の時期についての認定が誤りとされ、拒絶相当とした審決が取り消された事例
1 「脂肪族炭化水素の塩素化方法」という発明の出願について、拒絶理由とした引用例の目的作用が異なるとした主張が排斥された事例 2 出願人が発明の内容とした技術思想が特許請求の範囲に記載されていないとされた事例
ソーセージに関する意匠につき、ソーセージをV字状とした意匠は1本のソーセージの中央をねじって二つ折の形とした意匠とは類似しないとした事例
「デッサン用クレヨンの製造法」に関する特許発明について、熱処理に関する技術手段が公知例における、炉の余熱を利用して放置する手段に比し、特段の効果なしとして特許を無効とした審決を是認した事例
「水圧工具」に関する特許発明について、その明細書に「好ましい実施態様」として2本のハンドルを挙げている場合であっても、それだけでは1本のハンドルの場合を排斥しているかどうかの結論を導くことはできないとした事例
「ビニール障子紙の製造法」に関する発明について、審決が挙げた引用例から容易に考えられるものとして、対象物、助剤、添加量に関する原告の主張を排斥した事例
公職選挙法違反の犯罪にかかる金員を被告人から没収すべきであるのに、没収できないとしてその価額を追徴した判決を違法とした事例
1 被告人の検察官に対する供述調書が虚偽の自白を誘発するおそれのある状況のもとで作成されたものとして、任意性に疑があるとされた事例 2 傷害致死罪において暴行を加えた結果仮死状態に陥った被害者を死亡したものと過信して犯跡隠ぺいの目的で水中に投棄した場合に暴行と死亡との間には刑法上の因果関係があるとされた事例
従来存したバラックを、数メートル隔った所有者同一で管理者が異なる地上に移築した所為に対し、新たな占有の開始ではなく同一占有状態の継続にすぎず、かつ、一時占有にすぎないとして無罪を言い渡した一審判決を破棄し、不動産侵奪罪の成立を認めた事例
訴因(証拠いん滅教唆)の明示を欠いた部分があるのに、検察官に釈明して補正追完させることなく審理判決したことが審理不尽にあたるとして破棄された事例
1 勾留されていた少年の被疑者が家庭裁判所に送致され観護措置がなされたときは勾留の裁判に対する準抗告は利益を欠き不適法とされた事例 2 観護措置のとられていた少年が検察官送致されたあとみなし勾留のまま起訴されたときは当該観護措置をした裁判官所属の家庭裁判所に対し勾留に関する準抗告を申立てるべきものとされた事例
1 昭和40年3月改正前の旧法人税法違反事件につき、簿外固定資産の減価償却費の損金算入を認容した事例 2 第三者名義による所得税確定申告の許否(否定) 3 第三者名義による所得税納税申告に基く納付税額部分につき、故意あるものとして逋脱税額の算定上除算すべきでないとされた事例 4 一罪の成立する入場税法違反の事実につき、公訴時効が完成したことを理由として口頭による起訴状訂正の申立がなされたのに対し、公訴の取消にあたり要式性を欠くとして許さず免訴の言い渡しをした事例
1 行使の目的をもって、1万円札の半切と千円札の半切を、切り口をそろえてセロテープで貼り合せて制作した場合について、通過偽造およびその未遂罪の成立を否定した事例 2 通貨偽造・偽造通貨行使罪の公訴事実については、罪とならないが、公訴事実の同一である釣銭詐欺については十分な証拠があるけれども、諸般の情状を考慮して、今更検察官に訴因変更を命じまたは促して詐欺罪で処罰するまでのことはないとして、そのまま無罪を言い渡した事例
1 暴力団のなぐり込みに対する反撃の事案について、殺人の共謀共同正犯の起訴に対し傷害致死を認定した事例 2 右同起訴に対し、殺人の幇助を認定した事例
判示事実関係のもとにおいては、原審が、当事者間において平素来訪を拒みあうような間柄で、互に消息不明であるといっても、これのみでは生死不分明に該当しないとして公示催告の手続ならびにこれに基づく必要な調査を経由せず申立を却下したことは早計に失する。
婚姻が既に破綻し、その段階では円満な同居生活の実現が到底期待できないような場合には、たとえ抽象的には同居義務の存在が認められても、その具体的内容を形成する同居審判申立は理由がない。
1 現実において夫婦間の信頼関係が全く失われ、円満な婚姻共同生活の継続が期待できない場合は、具体的な同居義務を形成することはできない。 2 婚姻の破綻状態に至った責任の大半は申立人にあるが全面的に申立人ひとりの責任ともいいきれない場合、婚姻費用分担の程度は、相手方と同じ程度の生活をさせる必要はないが、少くとも申立人において最低生活の維持を可能とする程度において、分担する義務がある。
民法770条1項4号にいう強度の精神病とは、民法752条にいう夫婦間の協力義務が充分に果されない程度の精神障害を意味し、必ずしも禁治産宣告の理由となる精神障害ないしは精神的死亡に達していることを要するものではない。
永年に亘って何等の実体もない家名の存続のため以外に、氏変更の必要性、あるいは呼称上の便宜等は全く見られず、更に将来にわたってもその家名を維持するため申立人が現在予定する養子等に対し好ましくない結果を生ずる虞れがないではない場合には、子の氏変更を許可するのは相当でない。
後見と親権とを区別する民法の立場からいえば、むしろ父又は母の監護教育の職分をできるだけ親権者として行使させることが国民感情に適するから、死亡した単独親権者父から生存する母に親権者を変更することができるものと解する。
物質生活では劣っていても、親権者や同胞との間の強い情愛の絆と親権者に対する信頼感を基礎とする精神的に安定和合した家族環境こそ最も大事なものであるから、経済力においては申立人父が優れているという理由のみでは、親権者変更申立を認容することはできない。
親権喪失申立却下審判に対する即時抗告中に未成年者が成年に達したときは、事件本人の親権は自然消滅し、しかも親権喪失の宣告は既往に遡るものではないから、抗告の実益はない。
相手方が受取った特別弔慰金は、被相続人が勤務していた銀行の特別弔慰金規定からすると遺産とみるべきではないが、遺族の生活保障的性格を持ち遺贈に準ずるものであるから民法903条の特別受益に該当する。
遺産たる土地に根抵当権が設定されており、又その土地上の建物の所有権をめぐって訴訟が係属中であることが認められるので、抵当権の負担が消滅し、かつ地上物の帰属に関する民事紛争が解決を見るまでは、到底適正な分割をなすに適さないから5年間分割禁止をするのが相当である。
遺産分割の申立のあった被相続人所有名義の不動産全部の帰属について、地裁に訴訟が係属している場合には、遺産分割の調停ないし審判による解決は不可能であるから、遺産全部について2年間分割禁止するのが相当である。
申立人の氏「佃屋」が誤読されやすいとしても、人の呼称として人格の同一性の認識に混乱を招く程の誤読とも解されない場合には、氏の変更を許可すべきでない。
1 日本に本国法上の住所を有していないが判示居住関係によれば外国人間の養子縁組事件について日本の裁判所に裁判管轄権を認めることができる。 2 米国国際私法上養子縁組の準拠法についてはいわゆる法廷地主義をとっているものというべきところ、それは裁判管轄権概念と密接な関係を有する概念であって、日本のように裁判管轄権概念と準拠法概念とに直接関連をもたせない法制のもとでは、日本が法廷地であるからといって反致により直ちに日本法を適用すべきであるとはいえない。 3 法例19条2項に規定する養子縁組に関する準拠法としとしての養親の本国法と養母の本国法が異なる場合においては法例20条に準じ養父の本国法をいう。